【完結】World cuisine おいしい世界~ほのぼの系ではありません。恋愛×調合×料理

SAI

文字の大きさ
55 / 226
第二章

11. トトの調合講義と新しい調合料理の完成

しおりを挟む
翌日は朝から食堂の厨房に立っていた。調理場には昨日貰った魔木や魔花が並んでいる。

「そういえば、チャオの実はどうしますか?」

「あぁ、あれね。マイナス効力を持つものを調べるのって大変なのよね。だから魔木研究室に返しちゃおうかと思って。」

「えぇっ、もし大丈夫なら、いただくことはできますか?」
「あげるのは構わないけど、この研究所から持ち出すことはできないわよ。一応ね、ヤバい物だと困るし。」
「わかりました。ちょっと色々調べてみたいので、私用に取っておいてもらえると助かります。」

「わかったわ。あとで保管魔法をかけてあげる。腐ったら困るでしょ。」
「ありがとうございます!」

私は頭を下げた。

「さて、今日は早速料理をしてみるわ。まず、調合の組み合わせね。何と何を合わせてどんな効果が得られるか。そしてその効果を壊さないように味を調える。こんなイメージかしら。」

私とトトさんはただ頷く。

「この中で組み合わせるといい感じの調合薬になりそうなのはどれかしら?トトは調合研究室にいたのよね。ぜひ教えて欲しいわ。」

クロッカさんの微笑みにトトさんがビクッと顔を上げたが、私が分かる範囲でよろしければ、と言った。

「グリンの葉はわりと何にでも使えそうですね。爽快効果があるので、眠り妨害効果のあるクロと組み合わせたら効力がアップしそうです。」

「「たしかに。」」

「あとは、夏の涼しげな料理に使うのも良さそうですね。組み合わせによっては、熱冷まし効果のある調合料理も作れそうです。その場合、体内の水分量のUP効果があるボテンと組み合わせるのも良さそうです。」

「本当だ。こうして考えるとここにある材料だけでも色々な調合料理が出来そうですね。」
「ライファは何かある?」

「うーん、この爪のびる効果のあるカシュ花ですが効力がカシュ花よりも強いものと組み合わせることで、そちらの効力を伸ばすような働きをするのではないかなと思いました。ここでいうと、スキップの実が脚力増強の効力があるので、そちらの力が伸びれば役立つのかなと思います。」

「・・・ライファさんは今まで調合の勉強をしたことはあるのですか?」

トトさんが聞いてくる。

「まぁ、少しですけど。」

「なかなか大胆な発想だと思います。調合は発想力だと言われているのです。何に何をどのようにどの割合で調合するか、どれひとつ違っても同じ薬にはなりません。ライファさんの発想はしっかりと調合を学んだ人のもののようだと思いまして。」

「あら、そうなの?すごいじゃない!これでうちの研究室もしばらくは安泰ね!」

クロッカさんは嬉しそうに目を細めた。

そうか、師匠の元で特に意識もせずに調合していたけれど、いつの間にかちゃんと知識として身についていたのか。師匠は自分がやるのは面倒だから私にやらせているのだとばかり思っていたのに。ん?いや、そこは合っているかも。私はあれこれ考えつつも師匠に感謝した。


「とりあえず、グリンの葉のエキスを抽出してポン花の蜜とクロの花を混ぜて固めたゼリーを作ってみたいですね。それだけじゃ寂しいので、ピンパのゼリーも作って。」

私は研究室から持ってきていた紙にグラスの絵を描いて、そこに四角くカットした二種類のゼリーを入れて果物を添えた絵を描いた。

「こんな感じでゼリーにしてみたらどうでしょうか。ピンパのゼリーには何の効果もないですけど、このゼリーがあることでグリンの葉のゼリーも食べやすくなると思うんですよね。」

「うんうん、綺麗そうね!夏の食欲のない日にはぴったりのゼリーになりそうね。」

「今ある目覚めのぜりーよりも食べやすくて効力が強い物になりそうづすね。研究者たちが喜ぶと思います。」

3人でふむふむ、と頷いた。

「先ほどライファさんが提案したカシュの花とスキップの実を合わせた何かも作ってみたいですね。上手くいけば騎士団に買い取ってもらえるかもしれませんよ。」

トトさんの言葉にクロッカさんの目が光る。

「それだ!!騎士団に認められればこの研究室もより多くの人に認められることになる。これはいいわ!」
「騎士団が使いやすいとなると、どんなのがいいんですか?」

私が聞くとクロッカさんが答える。

「戦いの最中、もしくは直前の接種を考えるのなら液体よりも、口の中にポイッと放り込めるようなものが良いかなぁ。」

「水なしで食べることが出来るということも条件に入れた方が良さそうですね。」
「うーん。」

「でも、カシュの花はともかく、このスキップの実の味は強烈よ。」
「たしかに。酸味と口に広がるもわっとした香りはまるで腐ったものを食べたかのようでした・・・。」

トトさんがうぅっと声を発した。味を思い出したらしい。この強烈な味を消さなくてはいけないのだ。
何か強烈に味を消すことが出来るもの・・・私は夢の中のレシピを漁った。カレーとか?いや、カレーは持ち運びが難しいだろうし、匂いも強烈だ。チョコレートはどうだろう。いや、あれは喉が渇くか。チョコレートだと濃いけれどブラウニーならどうだろうか。果物をいれれば随分と食べやすくもなるだろうし。とりあえず、作ってみてからの判断になるな。

「ひとつ、レシピが思い浮かんだのですがトトルートってターザニアで手に入りますか?何も混ざっていないシンプルな物がいいんですけど。」

「あぁ、ターザニアの中心通りにトトルート専門店があるわよ。そこに頼めば、買うことができるかもしれないわ。」

クロッカさんがそう言って、トトルートを買いにでかけている間にグリンの葉とピンパのゼリーを作り冷蔵庫を開ける。冷蔵庫の中にはコオリーンが3匹いて、食材の影に隠れたりして遊んでいるところだった。

「このゼリーたちをよろしく頼む。」

私はそう言うとコオリーンたちにゼリーを預けた。
それから、ブラウニー用にと林檎によく似た果物のサワをお酒とポン花の蜜を入れて煮込んでおく。



 午後にクロッカさんが帰ってきてからは試作の連続だった。

サワンヤの粉を多くすれば口の中の水分が奪われるしトトルートを多くすれば甘くなりすぎる。その上、なぜか出来上がったものはスキップの実の効力が失われ、食べて10分くらいすると爪が伸びた。
次に作り直す過程で、二人には内緒にしてスキルで効果をチェックしながら作る。そうすると、熱いトトルートに擦りおろしたスキップの実を混ぜた時点で効果が消滅することが分かった。

何度か検証を重ね、サワをお酒とポン花で煮る時に擦りおろしたスキップの実を混ぜると、スキップの実の周りにコーティングができるようで熱いトトルートに混ぜても効力は消失しないようだった。

二人にはスキップの実の臭みを消すためにお酒で煮ると説明した。事実、そのお蔭で臭みが半減。出来上がったサワとスキップの実のお酒煮はなかなか食べられる味になっていた。その材料を合わせてブラウニーを完成させる。
スキルを確認すれば、脚力増強効果4になっている。おぉ、効力アップ成功だ。
クロッカさんは研究室に効力測定薬を取りにいくと、せっせと検査をした。

「あ、効力が4になってる。成功よ!」

その後、効力4が保てるブラウニーの大きさを割り出し2×2cmの大きさにカットした。スキルで見ると効力はちゃんと4のままだ。

「よし、食べてみましょう。私とトトで食べてみるわね。ライファは4分の1くらいの大きさならいいんじゃないかしら。」

私はクロッカさんに言われた通りに4分の1の大きさにカットする。スキルで確認すると効力はちゃんと1に減少していた。

「うんうん、これは美味しいわ。ティータイムのおやつみたい。」

「確かに甘いですもんね。でも中にサワを入れて正解でしたね。サワが甘さを抑える役割と口の中で奪われる水分を少和らげてくれている気がします。」

トトさんが口の中をモゴモゴさせて味わいながら言う。

「おいしい、味は結構思いどおりになったのですが、やっぱりお茶があった方が美味しいですね。」
「そうねぇ、でも、この大きさだし大丈夫じゃない?彼ら意外と甘い物も好きよ。」

クロッカさんさんは大ざっぱだ。

「上出来だわ!早速、騎士団に研究室に来るよう連絡しておくわ!」

クロッカさんは急いで研究室に戻ろうとして勢い余って厨房のドアに激突した。

「「クロッカさん!!」」

私とトトさんが駆け寄る。

「大丈夫ですか?」

声をかけると、大丈夫よ、あいたたた。といってクロッカさんが立ち上がった。私たちに話しながら駆けだしたので顔が横を向いていて鼻は無事だったが右の頬骨のあたりが赤くなっていた。

「これ、脚力増強だったのをすっかり忘れていたわ。効力は確かにあるわね。」

クロッカさんが、へへへ、と笑った。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

転生調理令嬢は諦めることを知らない!

eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。 それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。 子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。 最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。 八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。 それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。 また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。 オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。 同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。 それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。 弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。

せっかく傾国級の美人に生まれたのですから、ホントにやらなきゃ損ですよ?

志波 連
恋愛
病弱な父親とまだ学生の弟を抱えた没落寸前のオースティン伯爵家令嬢であるルシアに縁談が来た。相手は学生時代、一方的に憧れていた上級生であるエルランド伯爵家の嫡男ルイス。 父の看病と伯爵家業務で忙しく、結婚は諦めていたルシアだったが、結婚すれば多額の資金援助を受けられるという条件に、嫁ぐ決意を固める。 多忙を理由に顔合わせにも婚約式にも出てこないルイス。不信感を抱くが、弟のためには絶対に援助が必要だと考えるルシアは、黙って全てを受け入れた。 オースティン伯爵の健康状態を考慮して半年後に結婚式をあげることになり、ルイスが住んでいるエルランド伯爵家のタウンハウスに同居するためにやってきたルシア。 それでも帰ってこない夫に泣くことも怒ることも縋ることもせず、非道な夫を庇い続けるルシアの姿に深く同情した使用人たちは遂に立ち上がる。 この作品は小説家になろう及びpixivでも掲載しています ホットランキング1位!ありがとうございます!皆様のおかげです!感謝します!

夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~

狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない! 隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。 わたし、もう王妃やめる! 政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。 離婚できないなら人間をやめるわ! 王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。 これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ! フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。 よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。 「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」 やめてえ!そんなところ撫でないで~! 夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――

追放聖女35歳、拾われ王妃になりました

真曽木トウル
恋愛
王女ルイーズは、両親と王太子だった兄を亡くした20歳から15年間、祖国を“聖女”として統治した。 自分は結婚も即位もすることなく、愛する兄の娘が女王として即位するまで国を守るために……。 ところが兄の娘メアリーと宰相たちの裏切りに遭い、自分が追放されることになってしまう。 とりあえず亡き母の母国に身を寄せようと考えたルイーズだったが、なぜか大学の学友だった他国の王ウィルフレッドが「うちに来い」と迎えに来る。 彼はルイーズが15年前に求婚を断った相手。 聖職者が必要なのかと思いきや、なぜかもう一回求婚されて?? 大人なようで素直じゃない2人の両片想い婚。 ●他作品とは特に世界観のつながりはありません。 ●『小説家になろう』に先行して掲載しております。

【完結済】悪役令嬢の妹様

ファンタジー
 星守 真珠深(ほしもり ますみ)は社畜お局様街道をひた走る日本人女性。  そんな彼女が現在嵌っているのが『マジカルナイト・ミラクルドリーム』というベタな乙女ゲームに悪役令嬢として登場するアイシア・フォン・ラステリノーア公爵令嬢。  ぶっちゃけて言うと、ヒロイン、攻略対象共にどちらかと言えば嫌悪感しかない。しかし、何とかアイシアの断罪回避ルートはないものかと、探しに探してとうとう全ルート開き終えたのだが、全ては無駄な努力に終わってしまった。  やり場のない気持ちを抱え、気分転換にコンビニに行こうとしたら、気づけば悪楽令嬢アイシアの妹として転生していた。  ―――アイシアお姉様は私が守る!  最推し悪役令嬢、アイシアお姉様の断罪回避転生ライフを今ここに開始する! ※長編版をご希望下さり、本当にありがとうございます<(_ _)>  既に書き終えた物な為、激しく拙いですが特に手直し他はしていません。 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ※小説家になろう様にも掲載させていただいています。 ※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。 ※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。 ※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。 ※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。 ※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。 ※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。 ※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

処理中です...