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第七話【リメイク♡ロコモコ弁当】いつも何処でも想うのは
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駅前の商店街を通り、いつものように公園を通り抜ける。
時刻は六時を回ろうとしているが、夏の夕暮れは遅く、辺りはまだ明るい。
その日結局、怜は仕事を予定より一時間早く切り上げ、いつものように帰路に着いた。
やっぱりここ数日間の美寧の様子が気になっていたからだ。
(あれから、ミネとゆっくりする時間もなかったからな……)
竹下に予定外に進呈した休暇の為、怜は当分休めそうにない。この土日も留守にしてしまったこともあって、今夜くらいは家でミネとゆっくり過ごそうと思ったのだ。
恋人になってもう二週間以上経つというのに、恋人らしいデートにすら連れて行けていない怜を、美寧は責めることはない。
それどころか、毎日帰りが遅く休日もろくに取れていない怜に、気を遣っているようだ。
(そう言えば、水族館にもまだ連れていけていないな……)
我ながらダメな恋人だ。
これまでの相手とは、そんなことを気にしたことも無かった。
大体は相手の方から『○○へ行きたい』だとか『次はいつ会える?』と連絡が来ていたので、そうする必要が無かった。というよりも、怜が自分の方から相手に求めるより先に、相手が怜を求めていた。
だけど美寧は違う。
怜に遠慮しているのかそれともマイペースなのか、『○○が欲しい』『○○して欲しい』と言うのを聞いたことがない。
それは、怜が彼女の気持ちを察し、先回りして希望を叶えてしまうせいもある。
もっと美寧に我がままを言って欲しい。心から自分に甘えて欲しい。
そう思うけれど、彼女の中にある見えない『壁』のような何かを、彼女が自分で取り払うまで、焦らずじっくり待つつもりでいる。
そういう意味でも、『恋人練習』はちょうどよいのかもしれない。
「俺の子猫は思ったよりも頑固だからな」
ひとりごちた怜の視界に、我が家の玄関先が見えた。
我が家の玄関前まで辿り着いた怜は、鍵を開け年季の入った扉をゆっくりと横に滑らせる。
「ただいま」
奥に向かって声を掛けるが、返事はない。
奥の方で何やら物音がするから、美寧は居るのだろう。いつものように飛び出してこないのは、手が離せない状態なのかもしれない。
靴を脱いで上り框に足を掛けた時、キッチンから『ガシャーン』と大きな音と同時に悲鳴のような声がした。
「ミネっ!!」
何ごとかと慌てて家に上がり、キッチンの扉をあけた怜の目に飛び込んできたのは、丸い瞳に大きな雫を湛え、床にしゃがみこんでいる美寧の姿だった。
【第七話了】
駅前の商店街を通り、いつものように公園を通り抜ける。
時刻は六時を回ろうとしているが、夏の夕暮れは遅く、辺りはまだ明るい。
その日結局、怜は仕事を予定より一時間早く切り上げ、いつものように帰路に着いた。
やっぱりここ数日間の美寧の様子が気になっていたからだ。
(あれから、ミネとゆっくりする時間もなかったからな……)
竹下に予定外に進呈した休暇の為、怜は当分休めそうにない。この土日も留守にしてしまったこともあって、今夜くらいは家でミネとゆっくり過ごそうと思ったのだ。
恋人になってもう二週間以上経つというのに、恋人らしいデートにすら連れて行けていない怜を、美寧は責めることはない。
それどころか、毎日帰りが遅く休日もろくに取れていない怜に、気を遣っているようだ。
(そう言えば、水族館にもまだ連れていけていないな……)
我ながらダメな恋人だ。
これまでの相手とは、そんなことを気にしたことも無かった。
大体は相手の方から『○○へ行きたい』だとか『次はいつ会える?』と連絡が来ていたので、そうする必要が無かった。というよりも、怜が自分の方から相手に求めるより先に、相手が怜を求めていた。
だけど美寧は違う。
怜に遠慮しているのかそれともマイペースなのか、『○○が欲しい』『○○して欲しい』と言うのを聞いたことがない。
それは、怜が彼女の気持ちを察し、先回りして希望を叶えてしまうせいもある。
もっと美寧に我がままを言って欲しい。心から自分に甘えて欲しい。
そう思うけれど、彼女の中にある見えない『壁』のような何かを、彼女が自分で取り払うまで、焦らずじっくり待つつもりでいる。
そういう意味でも、『恋人練習』はちょうどよいのかもしれない。
「俺の子猫は思ったよりも頑固だからな」
ひとりごちた怜の視界に、我が家の玄関先が見えた。
我が家の玄関前まで辿り着いた怜は、鍵を開け年季の入った扉をゆっくりと横に滑らせる。
「ただいま」
奥に向かって声を掛けるが、返事はない。
奥の方で何やら物音がするから、美寧は居るのだろう。いつものように飛び出してこないのは、手が離せない状態なのかもしれない。
靴を脱いで上り框に足を掛けた時、キッチンから『ガシャーン』と大きな音と同時に悲鳴のような声がした。
「ミネっ!!」
何ごとかと慌てて家に上がり、キッチンの扉をあけた怜の目に飛び込んできたのは、丸い瞳に大きな雫を湛え、床にしゃがみこんでいる美寧の姿だった。
【第七話了】
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