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第十一話【たこ焼きくるくるパーティ】お客さまもやってくる?
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ダイニングテーブルの上には卓上カセットコンロやキャベツ、生地になる液が入ったボウルなど、様々な材料がずらりと並んでいる。
「これで出来るの?たこ焼きが?」
穴がたくさん開いた鉄板を眺めながら不思議そうに呟いた美寧に、怜が「そうです」と返事をする。
「たこ焼き作りは初めてですか?」
「うん。……食べるのも初めて」
「そうなんですか?」
驚きを滲ませた怜の声と同時に、はす向かいに座っている高柳が物珍しそうな視線を美寧に向けた。
「たこ焼きを食べたことないのは珍しいな……アレルギーとかだったか?それなら悪かったな、俺がこれにしようと言ったから」
「や、ちがいます…アレルギーとかじゃなくて、ただ……たまたま食べる機会がなかっただけで……」
「そうなのか?学校帰りに友達と食べたりしないのか?」
「え、えっと……」
「ナギと一緒にするなよ?ミネは育ちが良いんだ。買い食いをして帰るような行儀の悪いことはしないんだよ」
言葉に詰まった美寧の隣から、助け舟を出すように怜が割って入った。
「悪かったな、行儀が悪くて。成長期だったんだから仕方ないだろ?部活で動くし、食っても食ってもいつも腹が減ってたんだから」
「だからそんなにでかくなったんだろ」
「フジに言われてもなぁ」
「……ふふっ」
聞こえてきた笑い声に友人同士の二人は言葉を止めた。見ると、美寧が肩を震わせくすくすと楽しそうに笑っている。
「ミネ?」
「笑ってごめんなさい。だって、ふふっ、れいちゃん……ナギさんと一緒だといつもとちがうんだもん……」
そう言ってまた肩を揺らしてくすくすと笑う。
大きな瞳をきゅっとつぶって笑うその顔は本当に楽し気で、その声は鈴を転がしたように可愛らしい。
怜の瞳が自然と柔らかくなる。
「そろそろ焼き始めないといつまでたっても食べられないぞ?」
高柳に言われ、怜はカセットコンロを点火した。
やってみると、たこ焼き作りはとても楽しかった。
怜の家で卓上コンロを使うのが初めということもあるけれど、何より美寧がはまったのは、たこ焼きを竹串でくるりと回転させること。
最初は全然うまく行かず、焼けかけのたこ焼きをぐちゃぐちゃにしてしまっていたけれど、怜にフォローされながらめげずに何個かチャレンジした結果、少しだけコツを掴めそうになってきた。コツを掴みかけると俄然楽しくなってくる。
たこ焼きが焼き上がるまでの間に、飲み物で乾杯をしようという話になった。
「ビールとワインありがとう、ナギ」
「いや、いつも同じで悪いな」
怜と高柳がお互いのグラスにビールを傾け合ったのは、今どき珍しい瓶ビール。
怜は瓶を持つ手に視線を感じて、隣を振り向いた。
「ミネも飲んでみますか?」
「えっ?」
「気になるなら味見してみますか?」
美寧はアルコールにあまり強くない。成人してからまだ一年と少ししか経っていないのも一因だろう。
美寧が高柳の手土産である瓶ビールへ興味を持ったと思った怜は、彼女の顔を覗き込むように見た。
美寧は怜が手に持った瓶をしばしじっと見つめた後、左右に首を振り「ううん、いい」と断った。
「というか、フジ。未成年に酒を勧めたらダメだろうが」
「ナギ……ミネは成人している」
「えっ!……高校生くらいだと……」
“類は友を呼ぶ”と言うが、あまり表情を変えることのない怜の友人は、珍しく驚いた顔をした。
「ナギ……いくら何でも俺は高校生には手を出さない」
「てっ、だしっ……」
高柳に高校生に間違えられた時は不満そうな顔をしていた美寧だけれど、怜の発言に一気に顔を赤くした。
「……手を?フジが?このちっこいのに??」
「ちっこっ……!」
遠慮の欠片もない高柳の発言に、今度は違う意味で顔が気色ばむ。『高校生』だとか『ちっこい』だとか、自分で分かってはいても他人に指摘されると面白くない。
流石に何か反論しようと美寧が口を開きかけた時、頭を怜の手が優しく撫でた。
「失礼だぞ、ナギ。小さくて可愛いのはミネの最大の魅力だ」
みじんも照れることなくそう言い放った友人を、高柳は唖然とした顔で見つめていたが、少しすると隣に視線を移動させ口を開いた。
「失礼なことを言って悪かったな」
「い、いえっ……」
真面目な顔で頭を下げられて慌てる。両手を顔の前で振りながら美寧が「もういいです」と言うと、高柳が顔を上げた。
「そろそろ乾杯にしようか」という怜の言葉を合図に、三人はビールとジュースの入ったグラスを持ち上げ「乾杯」と声を揃えた。
ダイニングテーブルの上には卓上カセットコンロやキャベツ、生地になる液が入ったボウルなど、様々な材料がずらりと並んでいる。
「これで出来るの?たこ焼きが?」
穴がたくさん開いた鉄板を眺めながら不思議そうに呟いた美寧に、怜が「そうです」と返事をする。
「たこ焼き作りは初めてですか?」
「うん。……食べるのも初めて」
「そうなんですか?」
驚きを滲ませた怜の声と同時に、はす向かいに座っている高柳が物珍しそうな視線を美寧に向けた。
「たこ焼きを食べたことないのは珍しいな……アレルギーとかだったか?それなら悪かったな、俺がこれにしようと言ったから」
「や、ちがいます…アレルギーとかじゃなくて、ただ……たまたま食べる機会がなかっただけで……」
「そうなのか?学校帰りに友達と食べたりしないのか?」
「え、えっと……」
「ナギと一緒にするなよ?ミネは育ちが良いんだ。買い食いをして帰るような行儀の悪いことはしないんだよ」
言葉に詰まった美寧の隣から、助け舟を出すように怜が割って入った。
「悪かったな、行儀が悪くて。成長期だったんだから仕方ないだろ?部活で動くし、食っても食ってもいつも腹が減ってたんだから」
「だからそんなにでかくなったんだろ」
「フジに言われてもなぁ」
「……ふふっ」
聞こえてきた笑い声に友人同士の二人は言葉を止めた。見ると、美寧が肩を震わせくすくすと楽しそうに笑っている。
「ミネ?」
「笑ってごめんなさい。だって、ふふっ、れいちゃん……ナギさんと一緒だといつもとちがうんだもん……」
そう言ってまた肩を揺らしてくすくすと笑う。
大きな瞳をきゅっとつぶって笑うその顔は本当に楽し気で、その声は鈴を転がしたように可愛らしい。
怜の瞳が自然と柔らかくなる。
「そろそろ焼き始めないといつまでたっても食べられないぞ?」
高柳に言われ、怜はカセットコンロを点火した。
やってみると、たこ焼き作りはとても楽しかった。
怜の家で卓上コンロを使うのが初めということもあるけれど、何より美寧がはまったのは、たこ焼きを竹串でくるりと回転させること。
最初は全然うまく行かず、焼けかけのたこ焼きをぐちゃぐちゃにしてしまっていたけれど、怜にフォローされながらめげずに何個かチャレンジした結果、少しだけコツを掴めそうになってきた。コツを掴みかけると俄然楽しくなってくる。
たこ焼きが焼き上がるまでの間に、飲み物で乾杯をしようという話になった。
「ビールとワインありがとう、ナギ」
「いや、いつも同じで悪いな」
怜と高柳がお互いのグラスにビールを傾け合ったのは、今どき珍しい瓶ビール。
怜は瓶を持つ手に視線を感じて、隣を振り向いた。
「ミネも飲んでみますか?」
「えっ?」
「気になるなら味見してみますか?」
美寧はアルコールにあまり強くない。成人してからまだ一年と少ししか経っていないのも一因だろう。
美寧が高柳の手土産である瓶ビールへ興味を持ったと思った怜は、彼女の顔を覗き込むように見た。
美寧は怜が手に持った瓶をしばしじっと見つめた後、左右に首を振り「ううん、いい」と断った。
「というか、フジ。未成年に酒を勧めたらダメだろうが」
「ナギ……ミネは成人している」
「えっ!……高校生くらいだと……」
“類は友を呼ぶ”と言うが、あまり表情を変えることのない怜の友人は、珍しく驚いた顔をした。
「ナギ……いくら何でも俺は高校生には手を出さない」
「てっ、だしっ……」
高柳に高校生に間違えられた時は不満そうな顔をしていた美寧だけれど、怜の発言に一気に顔を赤くした。
「……手を?フジが?このちっこいのに??」
「ちっこっ……!」
遠慮の欠片もない高柳の発言に、今度は違う意味で顔が気色ばむ。『高校生』だとか『ちっこい』だとか、自分で分かってはいても他人に指摘されると面白くない。
流石に何か反論しようと美寧が口を開きかけた時、頭を怜の手が優しく撫でた。
「失礼だぞ、ナギ。小さくて可愛いのはミネの最大の魅力だ」
みじんも照れることなくそう言い放った友人を、高柳は唖然とした顔で見つめていたが、少しすると隣に視線を移動させ口を開いた。
「失礼なことを言って悪かったな」
「い、いえっ……」
真面目な顔で頭を下げられて慌てる。両手を顔の前で振りながら美寧が「もういいです」と言うと、高柳が顔を上げた。
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