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第十三話【ほろにがカラメルプリン】その笑顔が見たいから
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「美寧」
眠りながらうなされている彼女に声をかける。何度目かの時、長い睫毛を何度か震わせた瞼がゆっくりと持ち上がった。
開けられたばかりの瞳はどこかうつろ。
黒い瞳にはちゃんと自分の姿が映っているのに、なぜか彼女の中身がここにはいないような気がしてしまう。
美寧の顔を覗き込もうと怜が体をかがめた時、突然伸ばされた手が首の後ろに回されて、ぎゅっと美寧がしがみ付いてきた。
「っ、……ミネ?」
肩が小さく震えている。
彼女の背中に手を回そうとしたその時―――
「好き…………」
「え?」
「……れいちゃんのことが、好き」
小さいけれどはっきりとした声が、怜の耳もとで告げる。
「ミネ……今なんて………」
これまでの『好き』という言葉とはどこか違って聞こえて、怜は思わず訊き返した。
顔を見てもう一度聞きたくて、縋り付くように回された細い腕をそっと外し、覗き込むように首を傾ける。
「ミネ…………」
彼女の瞳は、涙に濡れていた。
「どうかしたのですか?どこか痛いところでもあるのですか?」
訊ねると美寧は小さく横に首を振る。そして「なんでもない」と震える声で言う。
「でも、泣いてる。……怖い夢でも見ましたか?」
柔らかな髪をそっと撫でる。
「怖くは、なかった……でも……とても悲しい夢だったの……」
「そうですか……」
頭から背中にかけて撫でていると、美寧の小さな震えが少しずつ収まってきた。
ぐずぐずと鼻を鳴らす美寧の額に、怜はそっとくちづけを落とす。そして両手で頬を包んで持ち上げ、頬に伝う雫を丁寧にその唇で吸い取った。
いつもの美寧なら恥ずかしがって慌てるはずなのに、今日は大人しくされるがまま。そんな彼女の様子に、怜はさっきの言葉がこれまでとは違うものだと思い始める。
涙と震えの止まった彼女の唇に軽いくちづけを落とすと、怜はゆっくりと訊ねた。
「ミネ……さっきのは本当?」
「ん?」
「さっき俺に言ったこと……」
「う、うん……私ね、気付いたの。れいちゃんのこと……おじいさまのことを好きな気持ちとは、」
続く言葉は、来客を告げる呼び鈴で遮られたーーー
「美寧」
眠りながらうなされている彼女に声をかける。何度目かの時、長い睫毛を何度か震わせた瞼がゆっくりと持ち上がった。
開けられたばかりの瞳はどこかうつろ。
黒い瞳にはちゃんと自分の姿が映っているのに、なぜか彼女の中身がここにはいないような気がしてしまう。
美寧の顔を覗き込もうと怜が体をかがめた時、突然伸ばされた手が首の後ろに回されて、ぎゅっと美寧がしがみ付いてきた。
「っ、……ミネ?」
肩が小さく震えている。
彼女の背中に手を回そうとしたその時―――
「好き…………」
「え?」
「……れいちゃんのことが、好き」
小さいけれどはっきりとした声が、怜の耳もとで告げる。
「ミネ……今なんて………」
これまでの『好き』という言葉とはどこか違って聞こえて、怜は思わず訊き返した。
顔を見てもう一度聞きたくて、縋り付くように回された細い腕をそっと外し、覗き込むように首を傾ける。
「ミネ…………」
彼女の瞳は、涙に濡れていた。
「どうかしたのですか?どこか痛いところでもあるのですか?」
訊ねると美寧は小さく横に首を振る。そして「なんでもない」と震える声で言う。
「でも、泣いてる。……怖い夢でも見ましたか?」
柔らかな髪をそっと撫でる。
「怖くは、なかった……でも……とても悲しい夢だったの……」
「そうですか……」
頭から背中にかけて撫でていると、美寧の小さな震えが少しずつ収まってきた。
ぐずぐずと鼻を鳴らす美寧の額に、怜はそっとくちづけを落とす。そして両手で頬を包んで持ち上げ、頬に伝う雫を丁寧にその唇で吸い取った。
いつもの美寧なら恥ずかしがって慌てるはずなのに、今日は大人しくされるがまま。そんな彼女の様子に、怜はさっきの言葉がこれまでとは違うものだと思い始める。
涙と震えの止まった彼女の唇に軽いくちづけを落とすと、怜はゆっくりと訊ねた。
「ミネ……さっきのは本当?」
「ん?」
「さっき俺に言ったこと……」
「う、うん……私ね、気付いたの。れいちゃんのこと……おじいさまのことを好きな気持ちとは、」
続く言葉は、来客を告げる呼び鈴で遮られたーーー
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