❖ 『愛をください』─ 叶わぬ想い ─

設楽理沙

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10 ◇仕事納め

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このようにして、由香は仕事から帰ると、作った夕飯を美代志に宅配していたけれど
由香自身仕事をしているため、毎日というわけにもいかず、困った時のための非常食
ということで鶏肉や魚の缶詰を持たせることにした。

冬場でもあることだし、冷蔵庫がなくてもそれなりに日持ちする食材、乾麺のうど
ん、乾燥した天ぷらなども持たせて、うどんの茹で方とめんつゆの作り方などをレ
クチャーした。

あと、インスタントの味噌汁とふりかけ。

由香と美代志の家との距離は自転車で17~18分、交通事情から車でもそれくらい
かかる。

元気な時は負担に感じるような距離ではないが、流石にヘトヘトに疲れている時には負担に感じるレベルである。

そうこうする日々の中、由香は古いけれどまだ使えるパソコンを美代志に譲る。

電話を持たない美代志との連絡方法がなかったからだ。


           ◇ ◇ ◇ ◇


夫、正義の会社の仕事納めは12月28日だった。
朝出掛けに、夫から今日は納会があるから晩御飯はいらないと言われた。

由香のところも同日が仕事納めである。


共働きのため、一度に大掃除をするのは時間的にも体力的にも難しく、普段隙間時間
を使って少しずつ進めるようにしている。

家族の食事作りに片付け、洗い物……そして洗濯、風呂掃除と休む間もないほど
兼業主婦は忙しい。

お節料理は夫の実家に帰省する折、義母を手伝い、食べるという流れが出来上がって
おり、由香と夫や子供たちは、これまで自宅で作って食べるということなくきている。

『あ、今日は納会があるから晩御飯はいらないよ』そう言って機嫌よく出勤して
いった夫。

今までに納会があるからといってあんなに機嫌よく仕事納めの日に出勤したことが
あっただろうか。


そう思うものの、以前の自分はそんなことを気にも留めたことがなかったので実際の
ところは分からない。そう分からない、が本当なのだが……。

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