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醒めない夢 32 ☑

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32.☑
~深山康文と果歩の結婚生活  (29)

 
 夫から斎藤さんが辞めることになったと聞かされた日から
 2週間ほどして私は娘を母に預け、クリスマスが終わるまでは
来てくれるということになっていた斉藤さんに、会いに行った。


 斉藤さんが仕事納めをして店から出てくるのを待っていた。

 今年の冬は暖冬とかニュースで流れていたけれど、うぅっ
 寒いよ、何なのこの寒さ。

 斉藤さんから話を聞いたら、この今感じている寒さも
ぶっ飛んでしまわないかと少し不安と心配が入り乱れた。



 クリスマスの夜なんて、みんな家族で団欒する日でもあるのだから
コンビニなんて暇なんじゃないかと思ってたけど意外にも忙しいみたいで、
夫も斉藤さんも新人の女の子もてんてこ舞いしている。



 斉藤さんが定時で終わればいいけど……うぅっ、寒すぎる。

手袋嵌めてくればよかった、なんて考えていたら定時上がりの
斉藤さんの姿が店の前に見えた。


 よっ、よかったぜいっ。


 斉藤さんが店から離れて歩き出したのを見て、しばらく
後からつけて行き、信号で止まった彼女に追いつき声を
かけた。


 -



「斉藤さん、今晩は」


「……? えっと、どなた? 」


  面接の時に一度会っただけなので、思い出せないみたい。
                      コマッタ。

「え~と、わたくし……」


 
「あーっ、深山オーナーの奥さんですね。
 こんばんは。
 ご無沙汰しております。
 こんな時間にどうされたんです? 」


「どうお話をしたらいいのか分からないのですが……。
 今少しお時間ありますか? 

 それとも子供さんたちがお家で待ってらっしゃいます? 

 日を改めてでもいいのですが1度お話させていただきたいんです。

 突然で驚かせてしまってすみません」


「分かりました。

 今夜は家族が私の帰りを待っていますので
別の日でよろしければお話伺いますよ? 」



「ほんとにすみません、お忙しいのに。
 でもそう言っていただけて、ほっとしました」


「ずっと外で私を待ってたんですか? 」


「あ、はい」


「今夜はまた特別冷えてるから大変でしたね。
 じゃ、携帯の番号を……」



 私たちは次の日の日中に会う約束をざっくりして別れた。


 

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