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新たなる仲間たち
34.北の大迷宮5
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「リンネ先生! 質問です! 」
「レンさん、どうしました? 」
「先生が雷魔法バチバチやると、あたしたちもビリビリしそうですが? 」
「どうしよう? 船に乗るとか、壁を歩くとか、空を飛ぶとか――」
「リンネちゃんが雷魔法を使わなければ良いのです! 」
最近、必殺技化してきて雷魔法だけど、みなさんからの評判はイマイチ良くないみたい――。
<21階>
ボクたちは現在21階層入口で佇んでいる。全員が靴を脱ぎ、水に足を突っ込んでひんやり感を楽しんでいる。小川のせせらぎの中を歩いているみたいで、とっても気持ちいい。そう、ここから続くのは水のフロア――全員が横一列に並べるくらいの通路には、深さ5cm、ちょうど踝くらいまでの水が溜まっていて、下手に雷魔法を撃てば、全員まとめて感電死する危険性が秘められている――。
「しばらくは雷魔法禁止だね! 」
「では、ここからは皆で戦いましょう! 」
「あたしも頑張るよ! 」
皆さん嬉しそう。特にメルちゃんが腕まくりまでしてやる気十分だ!
幅5mほど用水路が網目状に入り組んだ構造の迷宮を、前衛メルちゃんとレンちゃん、後衛ボクとアユナちゃんのフォーメーションが突き進んで行く。
「いる! 水の下級精霊ウンディーネがいる! 」
アユナちゃんお決まりの精霊探知の叫びが始まった。それにしても、なんでこんな迷宮の中に精霊さんがたくさん居るんだろう――。
さっそくお話をして契約してきたアユナちゃん。これで、風のシルフ、光のウィルオーウィスプ、火のサラマンダー、水のウンディーネという下級4大精霊は全て契約したことになる。コンプリートで何か貰えるのかと思って訊いてみたら、あまり例がないので分からないとのこと。アユナちゃんって凄いんだね――。
「えっと、次の分岐を左に行って1kmくらい進むと宝箱があるね。分岐のところに毒のトラップあるから触らないようにね、特にそこの優秀なエルフさん! 」
褒められたのが嬉しくて、弄られたことに気付いていないみたい。さすがは小学生エルフ娘。
途中、大きなカニやらヘビやらワニやらが現れたけど、鑑定をする前に消されていく。足場が悪いのに前衛2人は忍者みたいに走ってるよ。バトルジャンキー復活ですね!
★☆★
「宝箱、開けるね。あっ! 水魔法の中級でた!! 」
水のフロアなのでもしかしたらと思っていたんだけど、本当に出たよ――。
「やったネ! リンネちゃん! 」
「え? ボクが貰っていいの? 」
「「「勿論です! 」」」
初級が無いと中級を覚えられないうえ、アユナちゃんには精霊さんが居るから困らないし、メルちゃんとレンちゃんはそもそも魔法への情熱が無いからね。それでは、ありがたく貰っておきます!
「ありがとう! シャワー係、頑張るね! 」
早速、魔法書に魔力を流して習得。これで雷と水が中級になりました!
★☆★
「2回連続で右折した後、4分岐の1番左を進むと宝箱部屋があるみたい。ちなみに、宝箱を開けると魔物が大量に沸くトラップだって――」
水をバシャバシャ飛ばしながら、4人は小川を走っていく。水はゆっくりと下っているような感じで流れている。秘境を流れる清水のように透き通っているけど、魔物が沸く場所の水だからね、ちょっと飲みたくないかな――。
そんな話をしているうちに、目的の宝箱部屋に到着した。
「宝箱開けるよ! おっと、武器だね。“アクアブレード”って片手剣。攻撃:2.60、特殊:水刃/初級だって。一応、レンちゃん持っててね」
「はいー、あまりあたし向きじゃないけどね」
その後、大量に沸いた魔物も協力して打ち倒し、迷路に詰まることはなく、ボクたちは22階層への階段に到達した――。
<22階>
迷宮自体は21階と同じパターンだ。気になるのは、水位が増して膝くらいに達していること。そして――遭遇する魔物のうち、水中から攻撃してくる割合が高くなってきたこと。
それでも、みんながうまく連携して戦い、順調に進んでいく。
この階層から、宝箱が水に浮いていた。中身が水浸しにならないのは良いんだけど、何だか違和感がある。
見つけた3つの宝箱の中身は、お金(22000リル)、毒消し、魔笛/初級だ。魔笛は、魔物を呼び寄せる効果があるらしい。レベル上げには良いんだけど、今は必要ないね。
3時間ほどバシャバシャと走り回り、あとは階段までまっすぐ進むだけという所まで来たとき、クピィに反応が――。
「クピクピ! クピィ!! 」
「リンネセンパイ! これって魔族反応だよね!? 」
クピィ係のアユナちゃんが初めて仕事をする。
「私の気配察知では、半径120m以内に何にも反応がありませんけど? 」
メルちゃんの、寄せ眉な困り顔も可愛い――。
「えっと――120mより離れた所に魔族が居るのか、それとも、気配をうまく消しているのか。または――クピィちゃんの勘違い? 」
分析してくれたレンちゃんに、クピィは性能が悪いと言われたと感じたのか、ふわふわの毛を逆立てて怒っているようにも見える――。
「分かんないけど、先に進むしかないよね! 」
原因がはっきりしないままボクの誘導で慎重に進み、23階層への階段に到達。でも、そこはなんだか不思議な構造で――階段のある部屋にも、階段にも、水が全くない。時間もちょうどお昼時だったので、お昼ご飯を食べた後、みんなでごろごろお昼寝をした――。
<23階>
「嫌な予感はしてたけど……これは……」
「泳ぐしかないよね! 」
レンちゃん、そんなに泳ぎたいの!?
水位はおよそ1m、ちょうどボクのお腹くらいまであり、歩くには厳しい深さにまで達していた。とは言うものの、みんながヒラヒラ系統の服――まさか防具なしのシャツ1枚とはいかないよね。
「ウンディーネちゃん! お願い! 」
アユナちゃんがウンディーネを召喚し、何やら難しい言葉で話し掛けている。ウンディーネは、ボクたちの周りを飛び跳ねた後、姿を消してしまった――。
「うわっ……う……浮いてる! 」
もしかして、浮力強化!? 布団の上を歩いているようなふんわりした感覚だけど、水の上を歩ける! 忍者になったボクたち4人は、テンションも高めに水面を歩いて行く。
★☆★
「後方から気配が5つ、魚の群れ? 距離は70m、いえ、もう50mを切ります、速い!! 」
メルちゃんの声で振り返ったボクは、水面に映る魚影に目を向ける。
[鑑定眼!]
種族:キラーフィッシュ
レベル:16
攻撃:4.20
魔力:2.50
体力:2.25
防御:2.10
敏捷:8.75
器用:4.00
才能:1.10
「キラーフィッシュ、レベル16。敏捷が9もあるよ、どうする? 」
こちらは水上、魔物は水中。戦わなくても大丈夫かも?と、正直ちょっとは期待していたのに――キラーフィッシュは、水上を歩くボクたちを見逃してはくれなかった。
『シャァァ! 』
「「えっ!? 」」
50cmくらいの魚が、トビウオみたいに飛び掛かってきた!
その歯はガッチガチだ! 魚類というか、猛獣のそれ。久しぶりに恐怖心が沸き起こる!
ボクたちは不意をつかれつつも、何とか致命傷を避けることができた。お尻とかは少し噛まれてるけどね――。
「折り返して来ます! 」
「カウンターで雷撃を撃つ! 」
お尻を噛まれて不機嫌なボクは、メルちゃんに即答を返す!
『シャァァ! 』
「サンダーストーム! 」
雷光と雷鳴が同時に放たれ、空中に飛び上がった瞬間のキラーフィッシュ4匹を綺麗に消し去る。レンちゃんに向かっていった1匹は、綺麗に3枚に下ろされていた――。
「レンちゃん、ナイス! で……感電してないよね!? 」
この1発だけは許してもらえたみたい。これ以降は、メルちゃんの風弾やアユナちゃんの風や光魔法で対処していったよ。みんなやっぱりビリビリが怖い、ボクも怖い!
真下から攻撃してくるエッチな外道も多く、みんなは心身ともに傷付けられていた様子。なので、階段目指して最短ルートを辿りましたよ。それでも、宝箱を1つだけゲットしたのは執念か。
[水竜の盾:防御4.50、特殊:水耐性]
「水耐性がある水竜の盾! メルちゃん使ってね! 」
「ありがとうございます。ボス戦で役に立ちそうですね! 」
メルちゃんが盾を装備しているイメージが湧かないけど、他の3人はもっと湧かないから――。
そして、ボクたちは24階への階段に逃げ込んだ!
<24階>
もうこれはプールを超えている! 水深は2m――泳ぐ訳にもいかず、またまたウンディーネの力を借りて水上移動をすることになった。ジャンプしたら天井にも触れられるくらい窮屈な通路だったけど、お陰様で移動は早く済みそう。
精霊魔法使いが居ないパーティは、どうやってこの階層を攻略するんだろう。普通に考えて地獄だよね。もしかして、ボート持参推奨なのかな?
魔物は主に5匹程度の群れで襲ってきた。
幸いにも魔物はあまり強くはなく、戦闘自体は過酷ではなかったけど、ウンディーネさんの魔力がもう限界なんだって。残念ながら、この階層での宝箱は全て諦め、次の階段まで走りました――。
<25階>
階段を下り、25階層へ足を踏み入れたボクたちの目の前には、一面に広大な湖が広がっていた。
青々と生い茂る木々に囲まれた湖は、神秘的な輝きに満ちていた。透明感のある湖面は、こちら側とあちら側の2つの世界を芸術的なまでに美しく纏め上げ、表現している。
「とても透明感のある湖ですね」
「泳ぎたいっ! 」
「まず、ドラゴンをどうにかしてからね」
「じゃあ、やっつけたら泳ごうねっ! 」
アユナちゃんはどうしても泳ぎたいらしい。水着とかないんだけど――まさか裸で? いや、まぁ、女の子4人しか居なくても、シャツくらいは着ようね――。
みなさん絶賛成長中ということで、大きめのシャツを買って良かったよ。良い感じに太股までカヴァーしてくれてる。逆にちょっとエッチな感じがしてしまうのは気のせい――。
妄想に火が付いたのか、モチベーションが上がってきた!
「よし! ドラゴンを早く退治して、みんなで泳ぐよ!! 」
★☆★
「あの神殿にドラゴンがいるんですよね? 」
メルちゃんが指し示す先に見えるのは、水中にゆらゆらと映し出される神殿。深さは10mくらいだろうか。透明な湖って、浅く見えるけど意外と深かったりするんだよね――。
「いくらあたしでも、あそこまでは潜れそうにないよ? 」
「ウンディーネちゃんに送ってもらいたいところだけど、疲れて還っちゃったよ――」
「ボクがあの例の指環を使って行ってくるよ。けど、水中の戦いになったらまずいね」
そう言って、ボクはローブを脱いでアイテムボックスにしまい、シャツと下着だけになった。
「リンネちゃん、セクシー! 」
レンちゃんがからかってくるけど、スルーだ。
「こっちに誘いだして戦うと思うから、心の準備しといてね! 」
「ひゃっ! 」
★☆★
予想していた通り、神殿は外から見たより深い所あるようだ。光の屈折の関係で数m浅く見えたのだろう。この呼吸要らずの指環(シャークリング)が無ければ、ランゲイル隊長が言っていた“かつての大魔法使い”のように、湖の水を全て蒸発させたりしないと到達できないのでは、と思う。
神殿の入口を潜ると、内部は全く水がない普通の神殿だった。結界か何かで守られているのかもしれないね。そして、床をペタペタと裸足で歩いて行くと、最奥の祭壇に辿り着く。そこには――蒼白く光を放つ1人の美しい女性が居た。
『よくぞここまで来ましたね。私の名はアクアドラゴン、第25階層の守護竜です』
あれ? 力を示せパターンじゃない?
「ボクは、銀の勇者リンネです。最深部にある結界に行くために来ました」
『黒の召喚石ですね。確かに魔王復活の兆しがあるとグラン様から聞いていました』
「竜人族のグランさんですか!? 」
フロアボスのドラゴンと平和的な会話ができていること自体が不思議だったけど、その口から思わぬ名前が飛び出してきて、さらにびっくりだ!
『はい。黒龍は分かりませんが、私は既に貴女の力を認めています。私が救えなかった精霊ロアを救っていただいたときにね。改めて感謝を! あの強大で、それでいて優しさに満ちた魔力――ここを通るに足る力です。階段は地上に設けますので、お仲間と共に進んで下さい。聖なる神の御加護がありますように! 』
そう言うや否や、アクアドラゴンは光と共に消えていった――。
ドロップアイテムとか貰ってないけど、戦わずに済んだことは、とっても嬉しいね! できればドラゴンさんとは戦いたくないんだよね。だって、悪い奴だとは思えないんだもん。
一応、アクアドラゴンには認められたということだし、ここで泳いでも大丈夫だよね!
よし、精一杯泳ぐぞっ!!
「レンさん、どうしました? 」
「先生が雷魔法バチバチやると、あたしたちもビリビリしそうですが? 」
「どうしよう? 船に乗るとか、壁を歩くとか、空を飛ぶとか――」
「リンネちゃんが雷魔法を使わなければ良いのです! 」
最近、必殺技化してきて雷魔法だけど、みなさんからの評判はイマイチ良くないみたい――。
<21階>
ボクたちは現在21階層入口で佇んでいる。全員が靴を脱ぎ、水に足を突っ込んでひんやり感を楽しんでいる。小川のせせらぎの中を歩いているみたいで、とっても気持ちいい。そう、ここから続くのは水のフロア――全員が横一列に並べるくらいの通路には、深さ5cm、ちょうど踝くらいまでの水が溜まっていて、下手に雷魔法を撃てば、全員まとめて感電死する危険性が秘められている――。
「しばらくは雷魔法禁止だね! 」
「では、ここからは皆で戦いましょう! 」
「あたしも頑張るよ! 」
皆さん嬉しそう。特にメルちゃんが腕まくりまでしてやる気十分だ!
幅5mほど用水路が網目状に入り組んだ構造の迷宮を、前衛メルちゃんとレンちゃん、後衛ボクとアユナちゃんのフォーメーションが突き進んで行く。
「いる! 水の下級精霊ウンディーネがいる! 」
アユナちゃんお決まりの精霊探知の叫びが始まった。それにしても、なんでこんな迷宮の中に精霊さんがたくさん居るんだろう――。
さっそくお話をして契約してきたアユナちゃん。これで、風のシルフ、光のウィルオーウィスプ、火のサラマンダー、水のウンディーネという下級4大精霊は全て契約したことになる。コンプリートで何か貰えるのかと思って訊いてみたら、あまり例がないので分からないとのこと。アユナちゃんって凄いんだね――。
「えっと、次の分岐を左に行って1kmくらい進むと宝箱があるね。分岐のところに毒のトラップあるから触らないようにね、特にそこの優秀なエルフさん! 」
褒められたのが嬉しくて、弄られたことに気付いていないみたい。さすがは小学生エルフ娘。
途中、大きなカニやらヘビやらワニやらが現れたけど、鑑定をする前に消されていく。足場が悪いのに前衛2人は忍者みたいに走ってるよ。バトルジャンキー復活ですね!
★☆★
「宝箱、開けるね。あっ! 水魔法の中級でた!! 」
水のフロアなのでもしかしたらと思っていたんだけど、本当に出たよ――。
「やったネ! リンネちゃん! 」
「え? ボクが貰っていいの? 」
「「「勿論です! 」」」
初級が無いと中級を覚えられないうえ、アユナちゃんには精霊さんが居るから困らないし、メルちゃんとレンちゃんはそもそも魔法への情熱が無いからね。それでは、ありがたく貰っておきます!
「ありがとう! シャワー係、頑張るね! 」
早速、魔法書に魔力を流して習得。これで雷と水が中級になりました!
★☆★
「2回連続で右折した後、4分岐の1番左を進むと宝箱部屋があるみたい。ちなみに、宝箱を開けると魔物が大量に沸くトラップだって――」
水をバシャバシャ飛ばしながら、4人は小川を走っていく。水はゆっくりと下っているような感じで流れている。秘境を流れる清水のように透き通っているけど、魔物が沸く場所の水だからね、ちょっと飲みたくないかな――。
そんな話をしているうちに、目的の宝箱部屋に到着した。
「宝箱開けるよ! おっと、武器だね。“アクアブレード”って片手剣。攻撃:2.60、特殊:水刃/初級だって。一応、レンちゃん持っててね」
「はいー、あまりあたし向きじゃないけどね」
その後、大量に沸いた魔物も協力して打ち倒し、迷路に詰まることはなく、ボクたちは22階層への階段に到達した――。
<22階>
迷宮自体は21階と同じパターンだ。気になるのは、水位が増して膝くらいに達していること。そして――遭遇する魔物のうち、水中から攻撃してくる割合が高くなってきたこと。
それでも、みんながうまく連携して戦い、順調に進んでいく。
この階層から、宝箱が水に浮いていた。中身が水浸しにならないのは良いんだけど、何だか違和感がある。
見つけた3つの宝箱の中身は、お金(22000リル)、毒消し、魔笛/初級だ。魔笛は、魔物を呼び寄せる効果があるらしい。レベル上げには良いんだけど、今は必要ないね。
3時間ほどバシャバシャと走り回り、あとは階段までまっすぐ進むだけという所まで来たとき、クピィに反応が――。
「クピクピ! クピィ!! 」
「リンネセンパイ! これって魔族反応だよね!? 」
クピィ係のアユナちゃんが初めて仕事をする。
「私の気配察知では、半径120m以内に何にも反応がありませんけど? 」
メルちゃんの、寄せ眉な困り顔も可愛い――。
「えっと――120mより離れた所に魔族が居るのか、それとも、気配をうまく消しているのか。または――クピィちゃんの勘違い? 」
分析してくれたレンちゃんに、クピィは性能が悪いと言われたと感じたのか、ふわふわの毛を逆立てて怒っているようにも見える――。
「分かんないけど、先に進むしかないよね! 」
原因がはっきりしないままボクの誘導で慎重に進み、23階層への階段に到達。でも、そこはなんだか不思議な構造で――階段のある部屋にも、階段にも、水が全くない。時間もちょうどお昼時だったので、お昼ご飯を食べた後、みんなでごろごろお昼寝をした――。
<23階>
「嫌な予感はしてたけど……これは……」
「泳ぐしかないよね! 」
レンちゃん、そんなに泳ぎたいの!?
水位はおよそ1m、ちょうどボクのお腹くらいまであり、歩くには厳しい深さにまで達していた。とは言うものの、みんながヒラヒラ系統の服――まさか防具なしのシャツ1枚とはいかないよね。
「ウンディーネちゃん! お願い! 」
アユナちゃんがウンディーネを召喚し、何やら難しい言葉で話し掛けている。ウンディーネは、ボクたちの周りを飛び跳ねた後、姿を消してしまった――。
「うわっ……う……浮いてる! 」
もしかして、浮力強化!? 布団の上を歩いているようなふんわりした感覚だけど、水の上を歩ける! 忍者になったボクたち4人は、テンションも高めに水面を歩いて行く。
★☆★
「後方から気配が5つ、魚の群れ? 距離は70m、いえ、もう50mを切ります、速い!! 」
メルちゃんの声で振り返ったボクは、水面に映る魚影に目を向ける。
[鑑定眼!]
種族:キラーフィッシュ
レベル:16
攻撃:4.20
魔力:2.50
体力:2.25
防御:2.10
敏捷:8.75
器用:4.00
才能:1.10
「キラーフィッシュ、レベル16。敏捷が9もあるよ、どうする? 」
こちらは水上、魔物は水中。戦わなくても大丈夫かも?と、正直ちょっとは期待していたのに――キラーフィッシュは、水上を歩くボクたちを見逃してはくれなかった。
『シャァァ! 』
「「えっ!? 」」
50cmくらいの魚が、トビウオみたいに飛び掛かってきた!
その歯はガッチガチだ! 魚類というか、猛獣のそれ。久しぶりに恐怖心が沸き起こる!
ボクたちは不意をつかれつつも、何とか致命傷を避けることができた。お尻とかは少し噛まれてるけどね――。
「折り返して来ます! 」
「カウンターで雷撃を撃つ! 」
お尻を噛まれて不機嫌なボクは、メルちゃんに即答を返す!
『シャァァ! 』
「サンダーストーム! 」
雷光と雷鳴が同時に放たれ、空中に飛び上がった瞬間のキラーフィッシュ4匹を綺麗に消し去る。レンちゃんに向かっていった1匹は、綺麗に3枚に下ろされていた――。
「レンちゃん、ナイス! で……感電してないよね!? 」
この1発だけは許してもらえたみたい。これ以降は、メルちゃんの風弾やアユナちゃんの風や光魔法で対処していったよ。みんなやっぱりビリビリが怖い、ボクも怖い!
真下から攻撃してくるエッチな外道も多く、みんなは心身ともに傷付けられていた様子。なので、階段目指して最短ルートを辿りましたよ。それでも、宝箱を1つだけゲットしたのは執念か。
[水竜の盾:防御4.50、特殊:水耐性]
「水耐性がある水竜の盾! メルちゃん使ってね! 」
「ありがとうございます。ボス戦で役に立ちそうですね! 」
メルちゃんが盾を装備しているイメージが湧かないけど、他の3人はもっと湧かないから――。
そして、ボクたちは24階への階段に逃げ込んだ!
<24階>
もうこれはプールを超えている! 水深は2m――泳ぐ訳にもいかず、またまたウンディーネの力を借りて水上移動をすることになった。ジャンプしたら天井にも触れられるくらい窮屈な通路だったけど、お陰様で移動は早く済みそう。
精霊魔法使いが居ないパーティは、どうやってこの階層を攻略するんだろう。普通に考えて地獄だよね。もしかして、ボート持参推奨なのかな?
魔物は主に5匹程度の群れで襲ってきた。
幸いにも魔物はあまり強くはなく、戦闘自体は過酷ではなかったけど、ウンディーネさんの魔力がもう限界なんだって。残念ながら、この階層での宝箱は全て諦め、次の階段まで走りました――。
<25階>
階段を下り、25階層へ足を踏み入れたボクたちの目の前には、一面に広大な湖が広がっていた。
青々と生い茂る木々に囲まれた湖は、神秘的な輝きに満ちていた。透明感のある湖面は、こちら側とあちら側の2つの世界を芸術的なまでに美しく纏め上げ、表現している。
「とても透明感のある湖ですね」
「泳ぎたいっ! 」
「まず、ドラゴンをどうにかしてからね」
「じゃあ、やっつけたら泳ごうねっ! 」
アユナちゃんはどうしても泳ぎたいらしい。水着とかないんだけど――まさか裸で? いや、まぁ、女の子4人しか居なくても、シャツくらいは着ようね――。
みなさん絶賛成長中ということで、大きめのシャツを買って良かったよ。良い感じに太股までカヴァーしてくれてる。逆にちょっとエッチな感じがしてしまうのは気のせい――。
妄想に火が付いたのか、モチベーションが上がってきた!
「よし! ドラゴンを早く退治して、みんなで泳ぐよ!! 」
★☆★
「あの神殿にドラゴンがいるんですよね? 」
メルちゃんが指し示す先に見えるのは、水中にゆらゆらと映し出される神殿。深さは10mくらいだろうか。透明な湖って、浅く見えるけど意外と深かったりするんだよね――。
「いくらあたしでも、あそこまでは潜れそうにないよ? 」
「ウンディーネちゃんに送ってもらいたいところだけど、疲れて還っちゃったよ――」
「ボクがあの例の指環を使って行ってくるよ。けど、水中の戦いになったらまずいね」
そう言って、ボクはローブを脱いでアイテムボックスにしまい、シャツと下着だけになった。
「リンネちゃん、セクシー! 」
レンちゃんがからかってくるけど、スルーだ。
「こっちに誘いだして戦うと思うから、心の準備しといてね! 」
「ひゃっ! 」
★☆★
予想していた通り、神殿は外から見たより深い所あるようだ。光の屈折の関係で数m浅く見えたのだろう。この呼吸要らずの指環(シャークリング)が無ければ、ランゲイル隊長が言っていた“かつての大魔法使い”のように、湖の水を全て蒸発させたりしないと到達できないのでは、と思う。
神殿の入口を潜ると、内部は全く水がない普通の神殿だった。結界か何かで守られているのかもしれないね。そして、床をペタペタと裸足で歩いて行くと、最奥の祭壇に辿り着く。そこには――蒼白く光を放つ1人の美しい女性が居た。
『よくぞここまで来ましたね。私の名はアクアドラゴン、第25階層の守護竜です』
あれ? 力を示せパターンじゃない?
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『はい。黒龍は分かりませんが、私は既に貴女の力を認めています。私が救えなかった精霊ロアを救っていただいたときにね。改めて感謝を! あの強大で、それでいて優しさに満ちた魔力――ここを通るに足る力です。階段は地上に設けますので、お仲間と共に進んで下さい。聖なる神の御加護がありますように! 』
そう言うや否や、アクアドラゴンは光と共に消えていった――。
ドロップアイテムとか貰ってないけど、戦わずに済んだことは、とっても嬉しいね! できればドラゴンさんとは戦いたくないんだよね。だって、悪い奴だとは思えないんだもん。
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捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
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