45 / 98
激動のロンダルシア大陸
43.大都市ティルスへ
しおりを挟む
「リンネの名において命ずる。汝、光より出(いで)よ、そして我に力を示せ!」
指環から銀色の光が溢れ出す。その光は激しく回転していき、やがて足元に高速に回転する直径2m程のリングを形作る……フィーネの郊外でボクを囲む視線は期待に満ちている。
数秒後、一瞬強く光ったと思ったら、リングから中型の竜が現れ、光は収束していった。
[鑑定眼!]
◆種族:スノードラゴン レベル:23
◆ステータス
攻撃:11.30
魔力:28.05
体力:16.55
防御:12.75
敏捷:8.40
器用:3.35
才能:1.65
◆スキル:アイスブレス、アイスシールド
「スノードラゴン、レベル23。強そう!」
スノードラゴンは静かな目でボクを見つめながら地に伏せ、忠誠を誓うかのような姿勢をとった。何か野性と違うって目印が必要かなぁと思ったボクは、アイテムボックスに偶然入っていた赤いリボンを首に結んであげた。
「あなたはスノー。ボクはリンネだよ!今日からよろしくね!とりあえず、指環で休んでて!」
『ギュルルッ!』
スノードラゴンは光と共にボクの左手中指にある指環に吸い込まれて消えていった。
「リンネちゃん、よく召喚呪文なんて知ってたね!あたしは感動で涙が……ぐすん……」
「え?勿論、テキトーだよ?
迷宮の守護竜みたいに力を示せとか、勢いで言っちゃったから、いきなり襲われるかと思ってドキドキした!!」
「……あたしのピュアな涙を返して!」
「アハハ……もう1体召喚しちゃうね。思ったより魔力を使わないみたいだし」
ボクは左手を翳して中指の指環に魔力を通す。
「召喚!」
再び指環が輝き光が満ち溢れてくる。光は今度は直径5m程のリングを形作り、空中で激しく回転する。
数秒後、リングが一瞬強く光り、そこから1体の竜が飛び出してきた。
[鑑定眼!]
◆種族:スカイドラゴン レベル:23
◆ステータス
攻撃:22.40
魔力:26.25
体力:13.05
防御:10.85
敏捷:21.45
器用:5.30
才能:1.75
◆スキル:飛行/騎乗1、ウインドブレス
「スカイドラゴン。1名騎乗出来るみたい!」
スカイドラゴンはボクの前に舞い降り、ボクを見つめながら頭を垂れて、忠誠を誓うかのような姿勢をとった。ボクは、とりあえず首に青いリボンを結んであげた。
「あなたはスカイ。ボクはリンネだよ!今日からよろしくね!とりあえず、指環で休んでて!」
『シュルルッ!』
スカイドラゴンも光の渦と一緒にボクの指環の中に消えていった。
しばらく沈黙が続いたあと、皆が口々に感想を言い出し始めた……。
「呪文なんて全くいらないんじゃん!」
と、レンちゃん。
「名前が安直すぎて可哀想です!」
と、メルちゃん。
『なでなでしないで指環に戻すなんて可哀想!』
と、アユナちゃん。
「いきなり竜種2体ですか……リンネ様凄い!」
と、リザさん。
「勇者と竜には深い繋がりがありそうです」
と、アイちゃんだ。
(アイちゃん!今召喚したスカイドラゴンに騎乗すればルークもティルスも1日掛からずに行けちゃいそうな気がする。ボクが先に飛んで行ってから転移で迎えに来れば、早いし確実だと思うけど、どう?)
(それはそうなんですが、道中の魔物の駆除やレベル上げも大切ですからね、 今回は予定通り馬車を使って移動しますよ)
(そっか……。危なくなったら呼んでね?スカイに乗って助けに飛んでいくからね!)
(ふふっ、その時は是非お願いしますね!あと、ミルフェ王女からの通信の件も受付のお姉さんに念話でちょくちょく確認するようにしますね)
予定では、
アイちゃん達はルークまで片道3日、町で1日、エルフ村に1日……折り返して8日後にはフィーネに戻ってくるとのこと。
因みに、ルーク往復の護衛はBランク冒険者の女性3名パーティに依頼した。パーティ名はピュアホワイト。どこかで聞いた名前だね。
ボク達は片道3日でティルスに到着、そこで何日滞在するか不明だが、ティルスでアユナちゃん達と合流するか、王都に着いてから合流するかといったところ。どのみちボクが転移でフィーネまで迎えに行くんだけどね。
「では、アイちゃん!2人のことよろしくね!」
「はい、お任せください!」
「待って!私の方が歳上なんですけど!?」
『私だってアイちゃんより先輩なんだけど!?』
「はい、はい、行ってらっしゃい!」
このドジっ子エルフのリザさんと、小学生エルフっ娘、改め小学生天使は危なっかしい。アイちゃんが同行してくれるから安心できる!
「さて、ボク達も出発するよ!」
「はい、行きましょう」
「うん、しゅっぱ~つ!」
[メルがパーティに加わった]
[レンがパーティに加わった]
★☆★
ボク達の旅路は実に質素だ。志向するのは冴えない村人ABCの旅、平たく言えば芋女3人旅だ。なるべく目立たないようにしなければいけない。勇者の敵は人間であり、自分なんだ。
どこぞの勇者みたいに金ぴか鎧を着たり、勇者なんてのぼり旗を掲げた日には投石の雨霰。歩く旗包みだ。
無理矢理に異世界召喚で連れてこられ、自覚なし勇者に始まり、そして見習い勇者になり、今は自他共に勇者なんて職業をしているけど、元々好きでやってる訳じゃない!
そんな自分にも転機が訪れた。
異世界召喚されてから今日で23日目。魔王爆誕まで残すところ77日。日記をつけていないから日数さえ怪しくなってきたけど、こんなことは今までで初めてだ。
ボク達の素朴な幌馬車は街道沿いにある小村に差しかかっていた。馭者は交代制で、今はメルちゃんがこなしている。
「リンネちゃん、変な村に着きました」
「ん?変な村?」
ボク達はちょっと早い夕食休憩を兼ねて村に立ち寄ることにした。
「なにこれ、何かのお祭り?」
レンちゃんがそう思うのも無理はない。
宿屋から道具屋、武器屋……イカガワシイ風俗店に至るまで、店頭には如何にも怪しげな立て札や垂れ幕が並んでいた。
『勇者様大歓迎』『勇者様ご一行半額』『求む!勇者様』『勇者様大好き!』……
「最後のでウィズの陰謀説が浮かんできた……」
「何か、勇者がたくさんいるみたいですよ?」
メルちゃんの指差す方向に視線を向けると、立派な装備に身を包み、でかでかと「勇者」と書かれたマントを翻して颯爽と歩く男性や、「勇者」の名札を付けて店の前に行列を作る集団がいる。
念のため鑑定をしてみると、その実、戦士や商人という紛い物が大半、中には詐欺師や盗賊という害虫まで混じっている。
「ここでは勇者は歓迎されてるみたいだね」
「勇者を名乗った瞬間に全員が血相を変えて襲いかかってくるなんてオチはないよね?」
「何かの事情があるかもしれませんよ?」
結局、人見知りをしないメルちゃんがお店の人に事情を聴きにいってくれた。
「一昨日な、冒険者の集団が来て、数日後に魔物の群れがティルスを襲うって言うんだわ。そいつが言うにはこの村も少なからず被害が出るだろうってな。信じられるか?俺らは最初は信じていなかった。そしたらな、数時間後に魔物の群れの一部が本当に来やがったんだよ!
俺らは逃げ回るしかなかったんだが、幸いなことに被害は少なく済んだんだ。魔法屋だけが狙われて、魔法書が3つも奪われた。可哀想に、奴は廃業だな……」
「……その冒険者、名乗っていましたか?」
「ホーケだかホーケイだか言ってたな。そうだそうだ、魔物は勇者達が退治してくれる筈だから、勇者が来たら温かく迎えるようにとも言ってたぞ。だから俺らは勇者を待ち望んでいるんだ。可愛い嬢ちゃん達、勇者パーティを見つけたら宜しく伝えてくれよ!」
「……分かりました、ありがとうございます」
「ホーク……ウィズだよね」
「ウィズだね。ボク達の逃げ道を塞いだね」
「時系列的にはフィーネに来た時には既に彼らの自作自演は完成していたようですね」
「まぁ、過ぎたことは仕方ないかな。魔法書も使っちゃったし。で、どうしようか……」
ボク達は村で食事を済ませると、村長さんの家を訪れた。この村唯一の2階建てだ。
「こんにちは、村人Aのリンネと申します。魔物退治の件でお話が……」
白髪で好好爺なお爺ちゃん村長は、ボクが提案した『村を守る最強の助っ人作戦』を一も二もなく受け入れてくれた。噂を聞き付けた村人がたくさん押し寄せてきた。よし、ボク達は村人、ボク達は村人、ボク達は村人……です。
ボクは村長宅の裏庭でスノーとスカイを召喚した。集まっていた村人達は歓声をあげている。悲鳴じゃなくて良かった。リボンのお陰かな、可愛いという声も。
「よしよし、スノーは魔物が来たら村の入口で戦って村人を守ってね!スカイは偵察をしながらスノーと力を合わせて戦うんだよ!村の無事が確認できたら指環に戻すからね、頑張って!」
ボクは2匹のドラゴンの首を優しく抱き締めて鼻先をなでなでしてあげた。ドラゴン達も円らな瞳で悲しそうに鳴いている。メルちゃん、レンちゃんは貰い泣き寸前だ。大丈夫、魔人を倒したらすぐに会えるさ!
ボク達は村長さんに改めて挨拶をした後、質素な幌馬車に戻った。因みに、この村には奴隷はいないそうだ。ここからはボクが馭者役の予定だ。
頭に浮かぶ魔力総量を示すゲージはしばらく経っても変化がない。つまり、召喚維持に使う魔力量と自然回復する魔力量がほぼ釣り合っているみたいだ。これで、ボクが魔力切れで気絶しない限り大丈夫だよね。
「さ、ティルスへ出発だよ!」
★☆★
3時間ほど馬車を走らせると、次第に日が沈んでいき目に映る光景も夕闇に染まってきた。ここまでは低レベルの魔物にしか遭遇していない。ただ、アユナちゃんの結界がない夜営は危険が一杯だ。ボクは夜営が出来そうな場所を選んで馬車を止めた。正直、どういう場所が適しているのかは分からないから、直観というよりは直感で。
(あ~……こちらリンネ、こちらリンネ。アイちゃんはいますか?)
(リンネさん!テンション高いですね!何か良いことでもありましたか?)
別に、良いことではなかった気がするが……お別れもあったし。ボクは村での出来事をアイちゃんに話した。
(あの魔人……強盗はしていない風に語っておいて、村を襲ってるじゃないですか!やはり信用できません!)
アイちゃんが珍しくぷりぷり怒っている。
(まぁ、その魔法書で召喚したドラゴンが村を守るんだから、損得難しいことは考えないようにしよう。そちらは順調?)
(そうですね、魔物は多いですがアユナさんと私の魔法だけで倒せています。ピュアホワイトの方々は馭者ですね。もうアユナさんが結界を張って野営準備が出来ましたよ)
(安心安全なアユナちゃん結界が恋しいよ!じゃ、明日も頑張ってね!オヤスミ~)
(はい、おやすみなさい!)
「結界がないから、見張り2人の休憩1人で2時間交代にしよう。何だか辛いね……」
★☆★
まぁ、何か起きそうな気はしていたんだけどね。幸運と不幸は表裏一体、人生楽ありゃ苦もあるさってね。勇者を歓迎する村を見て気分がよくなったと思ったら、すぐにこれだもん。
「は~い、皆さん起きて下さい!」
「んにゃ?もうお腹一杯なのにゃ~」
「レンちゃん、寝惚けない」
「多数の魔物の気配……囲まれていますね」
「今度は勇者歓迎じゃなさそうだよ」
[鑑定眼!]
◆種族: ダークソーサラー
レベル:24
攻撃:2.40(+1.75)
魔力:31.80(+2.20)
体力:3.10
防御:4.05(+2.40)
敏捷:2.65
器用:5.30
才能:1.70
「ダークソーサラー、レベル24。魔力34!」
「半径130mに20体、160m先、丘の上にも強い気配があります!」
[鑑定眼!]
◆種族: ヘルソーサラー
レベル:31
攻撃:2.90(+2.65)
魔力:36.50(+2.90)
体力:3.80
防御:5.20(+3.00)
敏捷:3.35
器用:6.70
才能:1.90
「ヘルソーサラー、レベル31、上位種!
魔法を一斉に撃たれたらまずい!」
「きた!」
「「キャー!!」
いきなり……遠距離から……魔法を撃たれた!?
な……これは……ショックウェーブ!?
からだが……うご……か……ない……
いしき……が……
みんな……
くっ……
負……け……ちゃ……ダメ……だ!!
(転移!)
「ヒール!」「ヒール!」「ヒール!」「ヒール!」「ヒール!」「ヒール!」「ヒール!」
「ふぅ……ふぅ……ふぅ……みんな、大丈夫!?」
「リンネちゃん!ビリビリっと目が覚めたよ!ここは……ちょっと離れた所だね?転移?」
「はい、なんとか。今のは危なかったですね。私達はもう完全に意識が飛んでいました……リンネちゃん、ありがとうございます!」
「ボクは雷の耐性があるみたいで即落ちしなかった分、何とか飛べた……ほんと紙一重だったよ!
メルちゃんとボクは正面からいく!雷魔法でレジストするから、メルちゃんはボクの後ろからね!レンちゃんは隠術でボスの背後からお願い!」
メルちゃんはボクの背中に張り付くように歩いている。ダークソーサラーの360度全方位型魔法に対抗するには、こっちも全方位型のサンダーウェーブを使う!大迷宮のバトルロワイヤル以来だけど、やるしかない!
でも、イメージは放出じゃない、バリアだ。半球状の雷の膜を作って相手の魔法を全てレジストする!残りの魔力は8割か。5割使えばバリアは大丈夫だね、魔物は防御が弱いからメルちゃん、レンちゃんに任せよう。
「メルちゃん、今から雷のバリアを張るから触れないようにね。超ビリビリだよ!バリア解除したら一気に殲滅お願い!」
「分かりました!」
よし……ボクの周囲半径2mを覆うバリアのイメージ……落雷を常に撃ち続けて半球の表面を帯電させ、維持する……大切なのは威力より持久力だ……雷の出力は1000万V(ボルト)まで抑えて……それを常に撃ち続ける……ギリギリ何とか3分は持ちそうだ。魔力を練り上げていく……よし!
「メルちゃん!」
「はい、距離130mで囲まれました、先と同じパターンです。そろそろ来ます!」
「サンダーウェーブ・バリア!!」
ボクの周囲2mを金色の膜が覆う!目を凝らして見れば、光速に煌めく稲妻が常に走っているのが分かるだろうか。まさに太陽を覆うコロナやプロミネンスの如し!
意識を集中する!敵は徐々に包囲を狭めてくる。ボクのレジスト魔法を押し潰すつもりだ。ボクは移動する必要ないね、目を閉じて魔法維持に全神経を注ぐ!
「距離100m、数は20です!」
集中だ。根性比べは始まったばかり……。相手が諦めて魔法を止めるまで!
「距離60mです、頑張って!」
結構きつい、2分過ぎたかな……今解除したらボク達は即死しそうだし、今更ここから放出魔法には切り替え出来ない……。
「距離30m……リンネちゃん頑張れ!!」
もっと引き付ける!後1分は大丈夫だ!
ダークソーサラーってのは諦めが悪いの!?じゃあ、相手の魔力が尽きるまで、粘る!!
「距離10m!!」
集中!集中!集中!!相手の方がきついはず!相手が先に魔法を止めるはず!薄々気付いていた……ボクの魔力はまだまだだけど、魔力総量が尋常じゃないみたいだ。魔力をたっぷり込めるから中級魔法でもドラゴンを圧倒出来た、カイゼルを脅かした!自信を持て!!
「距離5m!リンネちゃん!!!」
こういうときの対処法なら知ってる。笑顔だ。辛いときこそ笑顔!魔物達に余裕たっぷりなところを見せつける!!女の武器(えがお)が心を砕く!
ボクはなるべくひきつらないように、可愛く微笑んだ。もう魔力に余裕なんてない。3分を予定していたけど4分を遥かに超えている、限界を超えている。
「!!」
ダークソーサラーの魔力が尽きた!
ボクもバリアを解除する!意識を保つ!!
メルちゃんが鬼化して、まさに刈り取るように一気に殲滅していく……強い!!
ボスは!?ヘルソーサラーは?
あ……レンちゃんが容赦なく倒してるし!!
勝ったね。
魔力残り1割。スノーとスカイは大丈夫だった!
「中級魔結晶20、上級魔結晶1、マジックポーション3、雷魔法初級1。なかなか美味しいね!」
「かなり命懸けだったよ……ほんと」
「リンネちゃん、ゆっくり休んで!私達が見張りするからね!」
「うん、ありがと。お言葉に甘えます」
★☆★
次の日、また次の日と、旅は順調に進んだ。
ティルスに近づくほど、治安が回復していったし、行き交う隊商も増えていった。ボク達を追い越していく馬車には、中に多くの人を乗せたものもあった。奴隷……かもしれない。
やがて、フリージア王国第2の都市として名高いティルスの町が見えてきた。アイちゃん情報によると、東西街道の要として栄えたその人口は約12万人、面積は約80平方㎞で、フィーネの4倍の規模を誇る大都市らしい。日本基準でも、そこそこの都市だね。
フィーネを出て3日目、召喚から25日目の昼前、予定より半日早くボク達はティルスの門を潜った。
レベルはそれぞれ1つずつ上がり、ボクが24、メルちゃんが18、レンちゃんが15になっていた。
アイちゃん達も今日の夕方にはルークに到着する予定だし、途中の村を守らせているドラゴン2匹も大丈夫そう(召喚中は頭の片隅にHPゲージが見えるんだよね)。
気掛かりは、ミルフェちゃんから返信が来ないこと。ギルドがない場所を移動しているだけだよね?けど、心配だね……。
指環から銀色の光が溢れ出す。その光は激しく回転していき、やがて足元に高速に回転する直径2m程のリングを形作る……フィーネの郊外でボクを囲む視線は期待に満ちている。
数秒後、一瞬強く光ったと思ったら、リングから中型の竜が現れ、光は収束していった。
[鑑定眼!]
◆種族:スノードラゴン レベル:23
◆ステータス
攻撃:11.30
魔力:28.05
体力:16.55
防御:12.75
敏捷:8.40
器用:3.35
才能:1.65
◆スキル:アイスブレス、アイスシールド
「スノードラゴン、レベル23。強そう!」
スノードラゴンは静かな目でボクを見つめながら地に伏せ、忠誠を誓うかのような姿勢をとった。何か野性と違うって目印が必要かなぁと思ったボクは、アイテムボックスに偶然入っていた赤いリボンを首に結んであげた。
「あなたはスノー。ボクはリンネだよ!今日からよろしくね!とりあえず、指環で休んでて!」
『ギュルルッ!』
スノードラゴンは光と共にボクの左手中指にある指環に吸い込まれて消えていった。
「リンネちゃん、よく召喚呪文なんて知ってたね!あたしは感動で涙が……ぐすん……」
「え?勿論、テキトーだよ?
迷宮の守護竜みたいに力を示せとか、勢いで言っちゃったから、いきなり襲われるかと思ってドキドキした!!」
「……あたしのピュアな涙を返して!」
「アハハ……もう1体召喚しちゃうね。思ったより魔力を使わないみたいだし」
ボクは左手を翳して中指の指環に魔力を通す。
「召喚!」
再び指環が輝き光が満ち溢れてくる。光は今度は直径5m程のリングを形作り、空中で激しく回転する。
数秒後、リングが一瞬強く光り、そこから1体の竜が飛び出してきた。
[鑑定眼!]
◆種族:スカイドラゴン レベル:23
◆ステータス
攻撃:22.40
魔力:26.25
体力:13.05
防御:10.85
敏捷:21.45
器用:5.30
才能:1.75
◆スキル:飛行/騎乗1、ウインドブレス
「スカイドラゴン。1名騎乗出来るみたい!」
スカイドラゴンはボクの前に舞い降り、ボクを見つめながら頭を垂れて、忠誠を誓うかのような姿勢をとった。ボクは、とりあえず首に青いリボンを結んであげた。
「あなたはスカイ。ボクはリンネだよ!今日からよろしくね!とりあえず、指環で休んでて!」
『シュルルッ!』
スカイドラゴンも光の渦と一緒にボクの指環の中に消えていった。
しばらく沈黙が続いたあと、皆が口々に感想を言い出し始めた……。
「呪文なんて全くいらないんじゃん!」
と、レンちゃん。
「名前が安直すぎて可哀想です!」
と、メルちゃん。
『なでなでしないで指環に戻すなんて可哀想!』
と、アユナちゃん。
「いきなり竜種2体ですか……リンネ様凄い!」
と、リザさん。
「勇者と竜には深い繋がりがありそうです」
と、アイちゃんだ。
(アイちゃん!今召喚したスカイドラゴンに騎乗すればルークもティルスも1日掛からずに行けちゃいそうな気がする。ボクが先に飛んで行ってから転移で迎えに来れば、早いし確実だと思うけど、どう?)
(それはそうなんですが、道中の魔物の駆除やレベル上げも大切ですからね、 今回は予定通り馬車を使って移動しますよ)
(そっか……。危なくなったら呼んでね?スカイに乗って助けに飛んでいくからね!)
(ふふっ、その時は是非お願いしますね!あと、ミルフェ王女からの通信の件も受付のお姉さんに念話でちょくちょく確認するようにしますね)
予定では、
アイちゃん達はルークまで片道3日、町で1日、エルフ村に1日……折り返して8日後にはフィーネに戻ってくるとのこと。
因みに、ルーク往復の護衛はBランク冒険者の女性3名パーティに依頼した。パーティ名はピュアホワイト。どこかで聞いた名前だね。
ボク達は片道3日でティルスに到着、そこで何日滞在するか不明だが、ティルスでアユナちゃん達と合流するか、王都に着いてから合流するかといったところ。どのみちボクが転移でフィーネまで迎えに行くんだけどね。
「では、アイちゃん!2人のことよろしくね!」
「はい、お任せください!」
「待って!私の方が歳上なんですけど!?」
『私だってアイちゃんより先輩なんだけど!?』
「はい、はい、行ってらっしゃい!」
このドジっ子エルフのリザさんと、小学生エルフっ娘、改め小学生天使は危なっかしい。アイちゃんが同行してくれるから安心できる!
「さて、ボク達も出発するよ!」
「はい、行きましょう」
「うん、しゅっぱ~つ!」
[メルがパーティに加わった]
[レンがパーティに加わった]
★☆★
ボク達の旅路は実に質素だ。志向するのは冴えない村人ABCの旅、平たく言えば芋女3人旅だ。なるべく目立たないようにしなければいけない。勇者の敵は人間であり、自分なんだ。
どこぞの勇者みたいに金ぴか鎧を着たり、勇者なんてのぼり旗を掲げた日には投石の雨霰。歩く旗包みだ。
無理矢理に異世界召喚で連れてこられ、自覚なし勇者に始まり、そして見習い勇者になり、今は自他共に勇者なんて職業をしているけど、元々好きでやってる訳じゃない!
そんな自分にも転機が訪れた。
異世界召喚されてから今日で23日目。魔王爆誕まで残すところ77日。日記をつけていないから日数さえ怪しくなってきたけど、こんなことは今までで初めてだ。
ボク達の素朴な幌馬車は街道沿いにある小村に差しかかっていた。馭者は交代制で、今はメルちゃんがこなしている。
「リンネちゃん、変な村に着きました」
「ん?変な村?」
ボク達はちょっと早い夕食休憩を兼ねて村に立ち寄ることにした。
「なにこれ、何かのお祭り?」
レンちゃんがそう思うのも無理はない。
宿屋から道具屋、武器屋……イカガワシイ風俗店に至るまで、店頭には如何にも怪しげな立て札や垂れ幕が並んでいた。
『勇者様大歓迎』『勇者様ご一行半額』『求む!勇者様』『勇者様大好き!』……
「最後のでウィズの陰謀説が浮かんできた……」
「何か、勇者がたくさんいるみたいですよ?」
メルちゃんの指差す方向に視線を向けると、立派な装備に身を包み、でかでかと「勇者」と書かれたマントを翻して颯爽と歩く男性や、「勇者」の名札を付けて店の前に行列を作る集団がいる。
念のため鑑定をしてみると、その実、戦士や商人という紛い物が大半、中には詐欺師や盗賊という害虫まで混じっている。
「ここでは勇者は歓迎されてるみたいだね」
「勇者を名乗った瞬間に全員が血相を変えて襲いかかってくるなんてオチはないよね?」
「何かの事情があるかもしれませんよ?」
結局、人見知りをしないメルちゃんがお店の人に事情を聴きにいってくれた。
「一昨日な、冒険者の集団が来て、数日後に魔物の群れがティルスを襲うって言うんだわ。そいつが言うにはこの村も少なからず被害が出るだろうってな。信じられるか?俺らは最初は信じていなかった。そしたらな、数時間後に魔物の群れの一部が本当に来やがったんだよ!
俺らは逃げ回るしかなかったんだが、幸いなことに被害は少なく済んだんだ。魔法屋だけが狙われて、魔法書が3つも奪われた。可哀想に、奴は廃業だな……」
「……その冒険者、名乗っていましたか?」
「ホーケだかホーケイだか言ってたな。そうだそうだ、魔物は勇者達が退治してくれる筈だから、勇者が来たら温かく迎えるようにとも言ってたぞ。だから俺らは勇者を待ち望んでいるんだ。可愛い嬢ちゃん達、勇者パーティを見つけたら宜しく伝えてくれよ!」
「……分かりました、ありがとうございます」
「ホーク……ウィズだよね」
「ウィズだね。ボク達の逃げ道を塞いだね」
「時系列的にはフィーネに来た時には既に彼らの自作自演は完成していたようですね」
「まぁ、過ぎたことは仕方ないかな。魔法書も使っちゃったし。で、どうしようか……」
ボク達は村で食事を済ませると、村長さんの家を訪れた。この村唯一の2階建てだ。
「こんにちは、村人Aのリンネと申します。魔物退治の件でお話が……」
白髪で好好爺なお爺ちゃん村長は、ボクが提案した『村を守る最強の助っ人作戦』を一も二もなく受け入れてくれた。噂を聞き付けた村人がたくさん押し寄せてきた。よし、ボク達は村人、ボク達は村人、ボク達は村人……です。
ボクは村長宅の裏庭でスノーとスカイを召喚した。集まっていた村人達は歓声をあげている。悲鳴じゃなくて良かった。リボンのお陰かな、可愛いという声も。
「よしよし、スノーは魔物が来たら村の入口で戦って村人を守ってね!スカイは偵察をしながらスノーと力を合わせて戦うんだよ!村の無事が確認できたら指環に戻すからね、頑張って!」
ボクは2匹のドラゴンの首を優しく抱き締めて鼻先をなでなでしてあげた。ドラゴン達も円らな瞳で悲しそうに鳴いている。メルちゃん、レンちゃんは貰い泣き寸前だ。大丈夫、魔人を倒したらすぐに会えるさ!
ボク達は村長さんに改めて挨拶をした後、質素な幌馬車に戻った。因みに、この村には奴隷はいないそうだ。ここからはボクが馭者役の予定だ。
頭に浮かぶ魔力総量を示すゲージはしばらく経っても変化がない。つまり、召喚維持に使う魔力量と自然回復する魔力量がほぼ釣り合っているみたいだ。これで、ボクが魔力切れで気絶しない限り大丈夫だよね。
「さ、ティルスへ出発だよ!」
★☆★
3時間ほど馬車を走らせると、次第に日が沈んでいき目に映る光景も夕闇に染まってきた。ここまでは低レベルの魔物にしか遭遇していない。ただ、アユナちゃんの結界がない夜営は危険が一杯だ。ボクは夜営が出来そうな場所を選んで馬車を止めた。正直、どういう場所が適しているのかは分からないから、直観というよりは直感で。
(あ~……こちらリンネ、こちらリンネ。アイちゃんはいますか?)
(リンネさん!テンション高いですね!何か良いことでもありましたか?)
別に、良いことではなかった気がするが……お別れもあったし。ボクは村での出来事をアイちゃんに話した。
(あの魔人……強盗はしていない風に語っておいて、村を襲ってるじゃないですか!やはり信用できません!)
アイちゃんが珍しくぷりぷり怒っている。
(まぁ、その魔法書で召喚したドラゴンが村を守るんだから、損得難しいことは考えないようにしよう。そちらは順調?)
(そうですね、魔物は多いですがアユナさんと私の魔法だけで倒せています。ピュアホワイトの方々は馭者ですね。もうアユナさんが結界を張って野営準備が出来ましたよ)
(安心安全なアユナちゃん結界が恋しいよ!じゃ、明日も頑張ってね!オヤスミ~)
(はい、おやすみなさい!)
「結界がないから、見張り2人の休憩1人で2時間交代にしよう。何だか辛いね……」
★☆★
まぁ、何か起きそうな気はしていたんだけどね。幸運と不幸は表裏一体、人生楽ありゃ苦もあるさってね。勇者を歓迎する村を見て気分がよくなったと思ったら、すぐにこれだもん。
「は~い、皆さん起きて下さい!」
「んにゃ?もうお腹一杯なのにゃ~」
「レンちゃん、寝惚けない」
「多数の魔物の気配……囲まれていますね」
「今度は勇者歓迎じゃなさそうだよ」
[鑑定眼!]
◆種族: ダークソーサラー
レベル:24
攻撃:2.40(+1.75)
魔力:31.80(+2.20)
体力:3.10
防御:4.05(+2.40)
敏捷:2.65
器用:5.30
才能:1.70
「ダークソーサラー、レベル24。魔力34!」
「半径130mに20体、160m先、丘の上にも強い気配があります!」
[鑑定眼!]
◆種族: ヘルソーサラー
レベル:31
攻撃:2.90(+2.65)
魔力:36.50(+2.90)
体力:3.80
防御:5.20(+3.00)
敏捷:3.35
器用:6.70
才能:1.90
「ヘルソーサラー、レベル31、上位種!
魔法を一斉に撃たれたらまずい!」
「きた!」
「「キャー!!」
いきなり……遠距離から……魔法を撃たれた!?
な……これは……ショックウェーブ!?
からだが……うご……か……ない……
いしき……が……
みんな……
くっ……
負……け……ちゃ……ダメ……だ!!
(転移!)
「ヒール!」「ヒール!」「ヒール!」「ヒール!」「ヒール!」「ヒール!」「ヒール!」
「ふぅ……ふぅ……ふぅ……みんな、大丈夫!?」
「リンネちゃん!ビリビリっと目が覚めたよ!ここは……ちょっと離れた所だね?転移?」
「はい、なんとか。今のは危なかったですね。私達はもう完全に意識が飛んでいました……リンネちゃん、ありがとうございます!」
「ボクは雷の耐性があるみたいで即落ちしなかった分、何とか飛べた……ほんと紙一重だったよ!
メルちゃんとボクは正面からいく!雷魔法でレジストするから、メルちゃんはボクの後ろからね!レンちゃんは隠術でボスの背後からお願い!」
メルちゃんはボクの背中に張り付くように歩いている。ダークソーサラーの360度全方位型魔法に対抗するには、こっちも全方位型のサンダーウェーブを使う!大迷宮のバトルロワイヤル以来だけど、やるしかない!
でも、イメージは放出じゃない、バリアだ。半球状の雷の膜を作って相手の魔法を全てレジストする!残りの魔力は8割か。5割使えばバリアは大丈夫だね、魔物は防御が弱いからメルちゃん、レンちゃんに任せよう。
「メルちゃん、今から雷のバリアを張るから触れないようにね。超ビリビリだよ!バリア解除したら一気に殲滅お願い!」
「分かりました!」
よし……ボクの周囲半径2mを覆うバリアのイメージ……落雷を常に撃ち続けて半球の表面を帯電させ、維持する……大切なのは威力より持久力だ……雷の出力は1000万V(ボルト)まで抑えて……それを常に撃ち続ける……ギリギリ何とか3分は持ちそうだ。魔力を練り上げていく……よし!
「メルちゃん!」
「はい、距離130mで囲まれました、先と同じパターンです。そろそろ来ます!」
「サンダーウェーブ・バリア!!」
ボクの周囲2mを金色の膜が覆う!目を凝らして見れば、光速に煌めく稲妻が常に走っているのが分かるだろうか。まさに太陽を覆うコロナやプロミネンスの如し!
意識を集中する!敵は徐々に包囲を狭めてくる。ボクのレジスト魔法を押し潰すつもりだ。ボクは移動する必要ないね、目を閉じて魔法維持に全神経を注ぐ!
「距離100m、数は20です!」
集中だ。根性比べは始まったばかり……。相手が諦めて魔法を止めるまで!
「距離60mです、頑張って!」
結構きつい、2分過ぎたかな……今解除したらボク達は即死しそうだし、今更ここから放出魔法には切り替え出来ない……。
「距離30m……リンネちゃん頑張れ!!」
もっと引き付ける!後1分は大丈夫だ!
ダークソーサラーってのは諦めが悪いの!?じゃあ、相手の魔力が尽きるまで、粘る!!
「距離10m!!」
集中!集中!集中!!相手の方がきついはず!相手が先に魔法を止めるはず!薄々気付いていた……ボクの魔力はまだまだだけど、魔力総量が尋常じゃないみたいだ。魔力をたっぷり込めるから中級魔法でもドラゴンを圧倒出来た、カイゼルを脅かした!自信を持て!!
「距離5m!リンネちゃん!!!」
こういうときの対処法なら知ってる。笑顔だ。辛いときこそ笑顔!魔物達に余裕たっぷりなところを見せつける!!女の武器(えがお)が心を砕く!
ボクはなるべくひきつらないように、可愛く微笑んだ。もう魔力に余裕なんてない。3分を予定していたけど4分を遥かに超えている、限界を超えている。
「!!」
ダークソーサラーの魔力が尽きた!
ボクもバリアを解除する!意識を保つ!!
メルちゃんが鬼化して、まさに刈り取るように一気に殲滅していく……強い!!
ボスは!?ヘルソーサラーは?
あ……レンちゃんが容赦なく倒してるし!!
勝ったね。
魔力残り1割。スノーとスカイは大丈夫だった!
「中級魔結晶20、上級魔結晶1、マジックポーション3、雷魔法初級1。なかなか美味しいね!」
「かなり命懸けだったよ……ほんと」
「リンネちゃん、ゆっくり休んで!私達が見張りするからね!」
「うん、ありがと。お言葉に甘えます」
★☆★
次の日、また次の日と、旅は順調に進んだ。
ティルスに近づくほど、治安が回復していったし、行き交う隊商も増えていった。ボク達を追い越していく馬車には、中に多くの人を乗せたものもあった。奴隷……かもしれない。
やがて、フリージア王国第2の都市として名高いティルスの町が見えてきた。アイちゃん情報によると、東西街道の要として栄えたその人口は約12万人、面積は約80平方㎞で、フィーネの4倍の規模を誇る大都市らしい。日本基準でも、そこそこの都市だね。
フィーネを出て3日目、召喚から25日目の昼前、予定より半日早くボク達はティルスの門を潜った。
レベルはそれぞれ1つずつ上がり、ボクが24、メルちゃんが18、レンちゃんが15になっていた。
アイちゃん達も今日の夕方にはルークに到着する予定だし、途中の村を守らせているドラゴン2匹も大丈夫そう(召喚中は頭の片隅にHPゲージが見えるんだよね)。
気掛かりは、ミルフェちゃんから返信が来ないこと。ギルドがない場所を移動しているだけだよね?けど、心配だね……。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
台風のよる、君ひそやかに、魔女高らかに
にしのくみすた
ファンタジー
【空を飛ぶ魔女たちの、もちもち百合ファンタジー・コメディ!】
台風の夜、魔女はホウキで空を翔け――嵐と戦う!
この街で台風と戦うのは、ホウキで飛ぶ魔女の仕事だ。
空を飛ぶ魔女に憧れながらも、魔法が使えない体質のため夢を諦めたモチコ。
台風の夜、嵐に襲われて絶体絶命のピンチに陥ったモチコを救ったのは、
誰よりも速く夜空を飛ぶ“疾風迅雷の魔女”ミライアだった。
ひょんな事からミライアの相方として飛ぶことになったモチコは、
先輩のミライアとともに何度も台風へ挑み、だんだんと成長していく。
ふたりの距離が少しずつ近づいていくなか、
ミライアがあやしい『実験』をしようと言い出して……?
史上最速で空を飛ぶことにこだわる変な先輩と、全く飛べない地味メガネの後輩。
ふたりは夜空に浮かんだホウキの上で、今夜も秘密の『実験』を続けていく――。
空を飛ぶ魔女たちの、もちもち百合ファンタジー・コメディ!
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる