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第五幕:未来への旅路
第一節(完結編):新たなる船出
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この状況でそんな言動をされたら、友達だって認めざるを得ないじゃねぇか。根負けだ。
俺が旗を巻いて大きく息をつくと、それを見ていたルナがクスッと吹き出す。
「――ビッテル、今回のことは借りだ。何かあったら遠慮なく言ってくれ」
「そうなんですか? 別に貸し借りとかって意識なんて全くないんですけど……。ま、せっかくですからそのご厚意を受け取っておきましょう。では、早速ですがお願いごとをしてもいいですか?」
「あぁ、聞いてやる」
「僕と一緒に旅をしてくれませんか? 夢を叶える手伝いをしてほしいんです」
「っ!? お前の夢って、世界一の商人になりたいってヤツかっ?」
想定外の申し出に、俺は当惑して思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
だってお願いごとって、せいぜいボディーガードをしろとか荷物の積み卸しを手伝えとか、そういうことだと思っていたから。
一方、ビッテルは平然としたままゆっくりと首を縦に振る。
「はい。僕は世界一の商人になって、貧しい人たちや悪政に苦しむ人たちを助けたい。おそらくそれには数多の困難が待ち受けているでしょう。でもバラッタとなら越えていけそうな気がするんです。それにバラッタなら、僕のお目付役としても最適そうですし」
「お目付役?」
「もし僕が今の心を忘れ、私利私欲に走った時には遠慮なくこの命を奪ってください。僕も人間ですから、迷ったり道を踏み外したすることがないとも言えませんので」
「お前……」
「僕にはあなたの力が必要です!」
そう言い切ったビッテルの瞳には、嘘偽りがないように感じた。そして強い決意と覚悟がひしひしと伝わってくる。
ここまでの男気を見せられたら、以前の俺なら一も二もなく頷いていただろう。だが、今はどうしても躊躇してしまう。なぜなら、今回の一件を通じて自分の未熟さを痛感したから。期待に応えられる自信がない……。
俺は胸が塞がる想いを抱えつつ、ビッテルに向かって正直に今の気持ちを伝える。
「誘ってくれたのは嬉しい。だが、俺みたいな未熟者が一緒にいても足手まといになるだけなんじゃないのか?」
「未熟でいいんですよ。そして自分の未熟さを自覚したバラッタは、またひとつ成長しました。人は未熟だからこそ、そうやって少しずつ成長していくんです。むしろ世の中に完璧な人なんていませんよ」
爽やかに微笑みながら、俺を見つめてくるビッテル。マジにコイツは打てば響く野郎だ。小気味いい。一緒にいてこんなに晴れ晴れとした気分になれるヤツは、ルナに続いてふたり目だ。
俺はなんだか嬉しい気分になってくる。思わず頬も緩んでしまう。
「……そこまで言われちゃ、断れねぇな。だが、この町を離れて一緒に旅をするには、お頭に許可をもらう必要がある。説得するのは一筋縄じゃいかねぇぞ?」
「あ、その心配はありません。だって――」
そこまで言ったところでビッテルは不意に小さく息を呑み、わざとらしい咳払いをした。そして目を丸くしながら少し狼狽える。
「あっ! えっと、その、僕にはギルドマスターを説得してみせる自信があります! そ、そんなことよりもルナさん! あなたも僕たちと一緒に旅をしませんか?」
「あたしもっ!? ……うーん、そうだなぁ。バラッタが行くのなら、あたしも行きたいかも。もちろん、お頭の許可が下りればの話だけど」
「では、決まりですねっ!」
やけに明るく振る舞うビッテル。なんか話が勝手にトントン拍子に進んでしまった。ま、俺としてはこの三人で旅をするのは面白そうだから良しとするか。
――こうして運命を共にすると誓い合った俺たちは今、遙かなる未来へと船出する!
(了)
俺が旗を巻いて大きく息をつくと、それを見ていたルナがクスッと吹き出す。
「――ビッテル、今回のことは借りだ。何かあったら遠慮なく言ってくれ」
「そうなんですか? 別に貸し借りとかって意識なんて全くないんですけど……。ま、せっかくですからそのご厚意を受け取っておきましょう。では、早速ですがお願いごとをしてもいいですか?」
「あぁ、聞いてやる」
「僕と一緒に旅をしてくれませんか? 夢を叶える手伝いをしてほしいんです」
「っ!? お前の夢って、世界一の商人になりたいってヤツかっ?」
想定外の申し出に、俺は当惑して思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
だってお願いごとって、せいぜいボディーガードをしろとか荷物の積み卸しを手伝えとか、そういうことだと思っていたから。
一方、ビッテルは平然としたままゆっくりと首を縦に振る。
「はい。僕は世界一の商人になって、貧しい人たちや悪政に苦しむ人たちを助けたい。おそらくそれには数多の困難が待ち受けているでしょう。でもバラッタとなら越えていけそうな気がするんです。それにバラッタなら、僕のお目付役としても最適そうですし」
「お目付役?」
「もし僕が今の心を忘れ、私利私欲に走った時には遠慮なくこの命を奪ってください。僕も人間ですから、迷ったり道を踏み外したすることがないとも言えませんので」
「お前……」
「僕にはあなたの力が必要です!」
そう言い切ったビッテルの瞳には、嘘偽りがないように感じた。そして強い決意と覚悟がひしひしと伝わってくる。
ここまでの男気を見せられたら、以前の俺なら一も二もなく頷いていただろう。だが、今はどうしても躊躇してしまう。なぜなら、今回の一件を通じて自分の未熟さを痛感したから。期待に応えられる自信がない……。
俺は胸が塞がる想いを抱えつつ、ビッテルに向かって正直に今の気持ちを伝える。
「誘ってくれたのは嬉しい。だが、俺みたいな未熟者が一緒にいても足手まといになるだけなんじゃないのか?」
「未熟でいいんですよ。そして自分の未熟さを自覚したバラッタは、またひとつ成長しました。人は未熟だからこそ、そうやって少しずつ成長していくんです。むしろ世の中に完璧な人なんていませんよ」
爽やかに微笑みながら、俺を見つめてくるビッテル。マジにコイツは打てば響く野郎だ。小気味いい。一緒にいてこんなに晴れ晴れとした気分になれるヤツは、ルナに続いてふたり目だ。
俺はなんだか嬉しい気分になってくる。思わず頬も緩んでしまう。
「……そこまで言われちゃ、断れねぇな。だが、この町を離れて一緒に旅をするには、お頭に許可をもらう必要がある。説得するのは一筋縄じゃいかねぇぞ?」
「あ、その心配はありません。だって――」
そこまで言ったところでビッテルは不意に小さく息を呑み、わざとらしい咳払いをした。そして目を丸くしながら少し狼狽える。
「あっ! えっと、その、僕にはギルドマスターを説得してみせる自信があります! そ、そんなことよりもルナさん! あなたも僕たちと一緒に旅をしませんか?」
「あたしもっ!? ……うーん、そうだなぁ。バラッタが行くのなら、あたしも行きたいかも。もちろん、お頭の許可が下りればの話だけど」
「では、決まりですねっ!」
やけに明るく振る舞うビッテル。なんか話が勝手にトントン拍子に進んでしまった。ま、俺としてはこの三人で旅をするのは面白そうだから良しとするか。
――こうして運命を共にすると誓い合った俺たちは今、遙かなる未来へと船出する!
(了)
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