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第二部 根を張り始めた私
我が家にいることがなぜこんなに難しいのか
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「異端容疑とおっしゃいましたね。具体的には……?」
私の背後で神官補が、静かに尋ねた。
「おや」
騎士さんは、驚いたように瞬きをした。私以外の人間がいることは分かっていたが、誰だか気がついていなかったのだろう。
「スウィナトン神官補。派遣先から帰ってきていないとは聞いていたが……」
「生憎この村で怪我をしてしまいまして。ようやく立ち上がれるようになったところです」
神官補がそう言うと、騎士さんは少し気まずそうな顔になった。
「神官補どの……容疑者とはどのような関係か?」
うん。
気になるよね。
女性容疑者のところにやってきたら同棲しているとおぼしき男性が……!
だもんね。
しかも神職だし。
「マージョさんには命を救われました。雪の中で歩けなくなってしまったので……」
「ああ……なるほど」
騎士さんは納得したように頷いた。
「細かいことを伝える権限は私にはない。ただ、神罰関連と」
「なるほど……」
今、舌打ちしましたね、神官補?!
「見張りの者をつけるとおっしゃっていましたが、まさかうら若い女性に男性騎士をあてがうつもりはないでしょうね」
「それは……」
騎士さんは口ごもる。
「いや、貴人の保護というわけでもないし、女性騎士は随行していないのだ……」
あー。容疑者が貴族だったりしたら体面を気にして女性騎士が来るのか……。
私は平民だもんね。
女性騎士は人数少ないのかな。
「セシル卿、あなたが見張りをしてくださると良い」
はい?
「いや、それしかないでしょう。男性騎士をあてがってもしものことがあったら一大事ですしね。今回の件の責任はセシル卿、あなたにあるのでしょう?」
神官補が、グイグイいってるよ?
どうやら知り合いらしい。名前がわかったのはありがたいけど、どういう関係?
なんか力関係が見えない。
神官補は正神官だけど、駆け出しって立場だよね。
神殿騎士とどちらの方が立場が強いんだろう。
あと、「卿」って呼ばれたということはこのセシル卿は少なくとも騎士爵持ちの貴族のはずで、元孤児だった神官補と比べると立場的には強いはずなんだけど……。
「神官を尊ぶものを敬うのは神殿の基本のはずです。たとえ、平民のお嬢さんであろうと正神官の命の恩人の評判を落とすようなことをしてしまっては、もしも容疑が単なる容疑に過ぎなかった場合……」
責任問題になりかねませんよね?
と、神官補は圧をかけた。
「……むむ。分かった……」
結局、セシル卿が見張りとして我が家に泊まることになった。
他の人達はみんな、ホワイト家に泊まっているらしい。うわー。噂になるだろうな……。
トーマスさんに、しばらく留守するからって言付けて置いて、と言おうとしたら、チャーリーは、もういなくなっていた。
薄情者!
というわけで、本当に突然、荷造りをすることになった。
全くもってわけがわからない。
なんでだろう。
ひっそりと、この村で、そこそこ快適に一人暮らしをしたいだけなのに、なんだかやたらとあちらこちらにひっぱり出されている気がする……。
ちなみに、セシル卿は、私がお夕飯に誘っても「容疑者のだす食事はとれない」と言い張って、干し肉を食べていた。
神官補と私はセシル卿を横目にお腹いっぱい美味しいものを食べた。
「いやあ、美味しいですね!マージョさんのあんまんは、絶品です!」
神官補が嫌味なくらいニコニコ中華まんを褒めてくれた……。ていうか、これ嫌がらせだよね、絶対。
でもこのくらいやっても許されるような気がするよ!
私の背後で神官補が、静かに尋ねた。
「おや」
騎士さんは、驚いたように瞬きをした。私以外の人間がいることは分かっていたが、誰だか気がついていなかったのだろう。
「スウィナトン神官補。派遣先から帰ってきていないとは聞いていたが……」
「生憎この村で怪我をしてしまいまして。ようやく立ち上がれるようになったところです」
神官補がそう言うと、騎士さんは少し気まずそうな顔になった。
「神官補どの……容疑者とはどのような関係か?」
うん。
気になるよね。
女性容疑者のところにやってきたら同棲しているとおぼしき男性が……!
だもんね。
しかも神職だし。
「マージョさんには命を救われました。雪の中で歩けなくなってしまったので……」
「ああ……なるほど」
騎士さんは納得したように頷いた。
「細かいことを伝える権限は私にはない。ただ、神罰関連と」
「なるほど……」
今、舌打ちしましたね、神官補?!
「見張りの者をつけるとおっしゃっていましたが、まさかうら若い女性に男性騎士をあてがうつもりはないでしょうね」
「それは……」
騎士さんは口ごもる。
「いや、貴人の保護というわけでもないし、女性騎士は随行していないのだ……」
あー。容疑者が貴族だったりしたら体面を気にして女性騎士が来るのか……。
私は平民だもんね。
女性騎士は人数少ないのかな。
「セシル卿、あなたが見張りをしてくださると良い」
はい?
「いや、それしかないでしょう。男性騎士をあてがってもしものことがあったら一大事ですしね。今回の件の責任はセシル卿、あなたにあるのでしょう?」
神官補が、グイグイいってるよ?
どうやら知り合いらしい。名前がわかったのはありがたいけど、どういう関係?
なんか力関係が見えない。
神官補は正神官だけど、駆け出しって立場だよね。
神殿騎士とどちらの方が立場が強いんだろう。
あと、「卿」って呼ばれたということはこのセシル卿は少なくとも騎士爵持ちの貴族のはずで、元孤児だった神官補と比べると立場的には強いはずなんだけど……。
「神官を尊ぶものを敬うのは神殿の基本のはずです。たとえ、平民のお嬢さんであろうと正神官の命の恩人の評判を落とすようなことをしてしまっては、もしも容疑が単なる容疑に過ぎなかった場合……」
責任問題になりかねませんよね?
と、神官補は圧をかけた。
「……むむ。分かった……」
結局、セシル卿が見張りとして我が家に泊まることになった。
他の人達はみんな、ホワイト家に泊まっているらしい。うわー。噂になるだろうな……。
トーマスさんに、しばらく留守するからって言付けて置いて、と言おうとしたら、チャーリーは、もういなくなっていた。
薄情者!
というわけで、本当に突然、荷造りをすることになった。
全くもってわけがわからない。
なんでだろう。
ひっそりと、この村で、そこそこ快適に一人暮らしをしたいだけなのに、なんだかやたらとあちらこちらにひっぱり出されている気がする……。
ちなみに、セシル卿は、私がお夕飯に誘っても「容疑者のだす食事はとれない」と言い張って、干し肉を食べていた。
神官補と私はセシル卿を横目にお腹いっぱい美味しいものを食べた。
「いやあ、美味しいですね!マージョさんのあんまんは、絶品です!」
神官補が嫌味なくらいニコニコ中華まんを褒めてくれた……。ていうか、これ嫌がらせだよね、絶対。
でもこのくらいやっても許されるような気がするよ!
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