恐怖体験や殺人事件都市伝説ほかの駄文

高見 梁川

文字の大きさ
116 / 258

庄山仁君失踪事件

しおりを挟む
 昭和44年2月23日に長崎県佐世保市内で起こった少年(当時14歳)の失踪事件である。
 この事件は今なら確実に情報が見つかる類のもので、監視カメラやインターネットのない時代だからこそありえた事件であると管理人は思う。

 午後二時ごろ、仁君は友達と遊びにいくと言って制服制帽のまま家を出た。
 ところが夕方になっても仁君は帰宅せず、不審な男が庄山家を訪れる。
 その男は仁君の名が入った制帽を差し出すと、「この制帽の子供に現金を強奪された」と語った。
 内容はこうである。

 「午後3時半ごろ市内の道路の側溝に車輪を落としたバイクを2人の少年が引き上げようとしていたので、手伝おうとジャンパーを脱ぎ道路わきに置いた。
 ところが少年の1人がいきなり自分のジャンパーを奪って逃げ、中学生も続いて逃げた。
 ジャンパーの内ポケットには46万が入っていた。
 遅れた中学生を追いかけてズボンのポケットにはさみこんだ制帽を取ったが、2人とも取り逃がしてしまった。
 制帽の名前をたよりにここへ訪ねてきたのだ」

 あまりに不審な話であったので、両親はこの男に一度引き取ってもらった。
 翌日の昼頃、仁君の父親あてに手紙が投函された。確かに仁君の筆跡であったが、内容はやはり不審であった。

 前略

 心配かけてすみません

 悪い友達にさそわれて

 人のお金をとりました

 中には四十万以上も入っていましたが

 僕は少ししかもらっていません

 学校の方は僕の気持ちがおさまるまで

 病欠にしていてください

 すぐに帰っておわびいたします

 どうかさがさないで下さい

                    仁


 しかしこの手紙を最後に仁君は帰らず、連絡が来ることもなかった。

 捜索願を出し警察が捜査したところ、金を請求しにきた男は数か月前に少年院を出てクリーニング店に勤める男性であり、46万円という大金(物価的に現在の100万円以上)をなぜ持ち歩っていたは不明であった。
 そもそも彼がそんな大金を所持できたはずがないという家族の話も明らかになる。
 さらにバイクが落ちていたという側溝にはなんの形跡もなく、なんでジャンパーに46万もの大金が入っていることを仁君たちが知ったのか、という問題もある。
 この時点で男の証言をまともに信じる捜査員は誰もいなかった。

 男は警察に身柄を確保され、厳重な尋問を受けるのだが、なにひとつ口を割らなかったという。
 一説にはウソ発見器も投入されたが、反応することはなかったそうだ。
 怪しさは満載なのだが、有力な手がかりが何もないことから、男は釈放されその後奈良県に引っ越して二児の父になっている。

 男が庄山家を訪ねた際、その30分ほど前に三人組の男が近所の商店に庄山家の場所を訪ねてきたという。
 その三人組と男の因果関係は今もなお不明である。


 管理人が腑に落ちないのは、仁君の家族がわずか一年足らずの間に九州の佐賀県に引っ越してしまったことだ。
 まだ携帯電話もインターネットもない時代である。
 当然仁君は家族の引っ越し先を知らない。
 たった一年で息子の命を諦めるには早すぎはしないだろうか?

 本当は男が脅そうとしたのは、仁君に現金を奪われたことではなかったのかもしれない。
 たとえ刑事事件であったとしても、すでに真相は時効の闇の彼方である。



仁君捜査の山狩りに数百名の捜査員が投入された。



しおりを挟む
感想 56

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...