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楽園実験ユニヴァース25
楽園かどうかは別として、少年少女をある地域に隔離してどう生存していくかというジャンルはある。
その動物実験版がこのユニヴァース25である。
この実験は人口密度とそれが行動に与える影響で知られるアメリカの動物行動学者、行動学者であるジョン・バンパス・カルフーンによって企画された。
カルフーンはげっ歯類の過剰な個体数が及ぼす悲惨な効果が、人類の未来にとって悲観的なモデルであると主張していた。
カルフーンは聖書を引用し、「移住」「資源不足」「気候変動」「病気」「捕食」が死の五大要因であるとした。
これは人類の克服すべき三大障害「戦争」「疾病」「飢餓」にも対応していた。
ならばその要因を全て取り除けば、自然死以外に生命を脅かす要素はなくなるはずであった。
1968年7月、可能な限り危険から隔離された楽園にマウスが移入された。
生息地は9フィート四方の金属製の檻で、高さは4.5フィートの側面がついている。
各面には、各面が4つの垂直なグループの「トンネル」と呼ばれる金網があり、「トンネル」から巣箱、給餌器、給水器にアクセスできるようにされていた。
餌や水、巣の材料は不足がないよう絶えず補充され、当然ながら外敵もいない。唯一の困難は空間が制限されていることのみであるである。
気温も20度前後に保たれ、悪質な細菌も繁殖しないよう殺菌されていた。
最初に放たれたのは、オス、メス4組の計8匹のマウスだった。
当初、8匹のマウスは莫大な環境や、お互いに慣れるまで、かなり混乱していた。
しかし、徐々に適応していく。 そして実験開始から104日目に、初のマウスの子供が生まれた。
この最初の適応から子供誕生までの104日間をカルフーンは『フェーズ1:適応期』と名付けた。
それから子供は55日ごとに個体数が倍になるペースで増加していった。
315日目に620匹に達したが、その後は成長率が著しく鈍化し、145日ごとにしか倍増しなくなった。
最後の死産ではない出産は600日目であり、カルフーンらはこの生息地において3,840匹のマウスが収容可能と計算していたものの、総個体数の最大値は2,200匹に留まった。
この315日目から600日目の間には社会構造と正常な社会行動が崩壊していることが判明した。
行動上の異常としては、子離れの前に子を追い出したり、子の負傷の増加、同性愛行動の増加、支配的な雄が縄張りと雌の防衛を維持できなくなる、雌の攻撃的な行動、防衛されることのない個体間攻撃の増加と非支配的な雄の無抵抗化、などがある。
要するに群れは階層化し、同性愛などの種の保存に反する行為が増殖し、希望を持たず無気力化する若者(ニート)が増加したのだ。
何か思い当たる節があるのではないだろうか?
600日以降でも、社会崩壊は継続し、個体数は絶滅に向けて減少していった。
この時期には雌は繁殖をやめていた。
同時期の雄は完全に引きこもり、求愛動作、戦闘を行うことはなく、健康のために必要なタスクだけに従事した。食べる、飲む、寝る、毛づくろいをするなど - すべて孤独な作業として、である。
このような雄はつやつやとした傷のない健康的な毛並みが特徴的で、その美しさから「ザ・ビューティフル・ワン」と呼ばれた。
繁殖行動はもはや再開されることはなく、行動パターンは永久に変わってしまった。
そして25回の実験の結果、ネズミたちは全て滅亡への道をたどることを確認し、実験は終了した。
カルフーンは大都市の過密居住による弊害や、ストレスによる人類社会の崩壊を危惧する発言をしたが、「この実験は通常の科学的なものではない」とも発言している。
ネズミの群れの行動が必ずしも人類社会に適用されるとは限らない。
しかし現代社会が抱える諸問題が、この楽園実験と奇妙な符号を一致させていることもまた事実である。
少なくとも、楽園を追放されたアダムとイヴの子孫である人類は、天災や戦争の絶えない楽園からほど遠い場所にいる。
試練があるからこそ人類は繁栄し存続してこれたのかもしれない。
であるならば、今後も定期的に人類には数々の試練が与えら続けるのではないだろうか。
それが人為的なものか、神による不可避なものであるのかはわからないが。
その動物実験版がこのユニヴァース25である。
この実験は人口密度とそれが行動に与える影響で知られるアメリカの動物行動学者、行動学者であるジョン・バンパス・カルフーンによって企画された。
カルフーンはげっ歯類の過剰な個体数が及ぼす悲惨な効果が、人類の未来にとって悲観的なモデルであると主張していた。
カルフーンは聖書を引用し、「移住」「資源不足」「気候変動」「病気」「捕食」が死の五大要因であるとした。
これは人類の克服すべき三大障害「戦争」「疾病」「飢餓」にも対応していた。
ならばその要因を全て取り除けば、自然死以外に生命を脅かす要素はなくなるはずであった。
1968年7月、可能な限り危険から隔離された楽園にマウスが移入された。
生息地は9フィート四方の金属製の檻で、高さは4.5フィートの側面がついている。
各面には、各面が4つの垂直なグループの「トンネル」と呼ばれる金網があり、「トンネル」から巣箱、給餌器、給水器にアクセスできるようにされていた。
餌や水、巣の材料は不足がないよう絶えず補充され、当然ながら外敵もいない。唯一の困難は空間が制限されていることのみであるである。
気温も20度前後に保たれ、悪質な細菌も繁殖しないよう殺菌されていた。
最初に放たれたのは、オス、メス4組の計8匹のマウスだった。
当初、8匹のマウスは莫大な環境や、お互いに慣れるまで、かなり混乱していた。
しかし、徐々に適応していく。 そして実験開始から104日目に、初のマウスの子供が生まれた。
この最初の適応から子供誕生までの104日間をカルフーンは『フェーズ1:適応期』と名付けた。
それから子供は55日ごとに個体数が倍になるペースで増加していった。
315日目に620匹に達したが、その後は成長率が著しく鈍化し、145日ごとにしか倍増しなくなった。
最後の死産ではない出産は600日目であり、カルフーンらはこの生息地において3,840匹のマウスが収容可能と計算していたものの、総個体数の最大値は2,200匹に留まった。
この315日目から600日目の間には社会構造と正常な社会行動が崩壊していることが判明した。
行動上の異常としては、子離れの前に子を追い出したり、子の負傷の増加、同性愛行動の増加、支配的な雄が縄張りと雌の防衛を維持できなくなる、雌の攻撃的な行動、防衛されることのない個体間攻撃の増加と非支配的な雄の無抵抗化、などがある。
要するに群れは階層化し、同性愛などの種の保存に反する行為が増殖し、希望を持たず無気力化する若者(ニート)が増加したのだ。
何か思い当たる節があるのではないだろうか?
600日以降でも、社会崩壊は継続し、個体数は絶滅に向けて減少していった。
この時期には雌は繁殖をやめていた。
同時期の雄は完全に引きこもり、求愛動作、戦闘を行うことはなく、健康のために必要なタスクだけに従事した。食べる、飲む、寝る、毛づくろいをするなど - すべて孤独な作業として、である。
このような雄はつやつやとした傷のない健康的な毛並みが特徴的で、その美しさから「ザ・ビューティフル・ワン」と呼ばれた。
繁殖行動はもはや再開されることはなく、行動パターンは永久に変わってしまった。
そして25回の実験の結果、ネズミたちは全て滅亡への道をたどることを確認し、実験は終了した。
カルフーンは大都市の過密居住による弊害や、ストレスによる人類社会の崩壊を危惧する発言をしたが、「この実験は通常の科学的なものではない」とも発言している。
ネズミの群れの行動が必ずしも人類社会に適用されるとは限らない。
しかし現代社会が抱える諸問題が、この楽園実験と奇妙な符号を一致させていることもまた事実である。
少なくとも、楽園を追放されたアダムとイヴの子孫である人類は、天災や戦争の絶えない楽園からほど遠い場所にいる。
試練があるからこそ人類は繁栄し存続してこれたのかもしれない。
であるならば、今後も定期的に人類には数々の試練が与えら続けるのではないだろうか。
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