ラグビー部主将の屈辱

熊次郎

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準決勝当日

念願の決勝進出。準決勝突破の喜びを抑え、試合の後2時間走り込みをした。汗だくで家に帰りシャワーを浴びようとしたら、急に電話が鳴った。副将の健太だ。

『お疲れさん。みんなで飲んでるのか?早く帰って寝ろって、言っておいて。』
どうせ飲みの誘いだと思い、先に言い放った。

『勇次さん、大変す。悟さんたちがヤンキーと揉めて殴っちゃいました。俺には止められないんで、すぐ来てください!』

悟は185/100あるガタイのいい男だ。健太も178/86のそこそこガタイがある。
その二人がいたらヤンキーも敵わない。
しかし、来週の決勝を控えてのイザコザは困る。俺はウィンドブレーカーを羽織って、教えられた公園に走って向かった。

公園に着くと悟と健太たちが土下座をしてる。ヤンキーをボコった後始末かと思ったら、変な光景だ。
ヤンキーのうち関西弁の髭の男が携帯の動画を見せながら怒鳴ってる。

『お前ら、有名なラグビーチームやろ?今日も準決勝、おめでとさん。でも俺のダチをボコった動画がアップされたら、次はねーな。誠意もって謝れや。』

俺はその中に割って入った。
『申し訳ない。どっちが悪いか分かりませんが、うちの部員が手を出したみたいで。なんとか許して下さい。』

髭の男は俺の顔を見て笑いながら言った。
『お前、高梨勇次やろ?知ってるで。テレビにも出てたもんな。イケメン、マッチョやのにおまけに正義のヒーローかよ。』

『正義のヒーローではありませんが、こいつらのやったことは俺が責任とります。』
俺はこのトラブルをどうにか納めて決勝戦に支障を出さないことに最大限努力しようと考えた。

髭の男はニヤニヤしながら俺に近寄った。
『ほな、お前が誠意もって責任取ったら、この動画は消去して水に流すわ。お前らそれでええよな。』
ヤンキー達は腹の虫が収まらない顔をしながら、髭の男に従った。奴はどうやらヤンキーのヘッドみたいだ。

『自分が誠意を持って責任とります!』
金か、ボコられるか、分からないが俺一人でなんとかしたい。
去年俺のミスで優勝候補のうちのチームはまさかの初戦敗退。今年から俺を主将に選んでもらったこのチームに恩を返したい。不安ながらも覚悟を決めた。

『ほな、お前だけこっちに来いや。』
髭の男は俺の胸ぐらを掴んで、引っ張った。

『勇次先輩、自分たちが悪いんで、責任は自分たちでとります』
悟が立ち上がって向かってくるのを俺は手で静止した。
『大丈夫だから、早く帰れ。』

髭の男に連れられて車に乗った。
まさか、あんな長い夜にはなるとは想像つかずに、、、



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