プロレスラーの副業

熊次郎

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敗戦

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上村は今日も負けた。今日こそは勝てると思ったが、ドロップキックをモロに食らい、マットに沈んだ。
(いったい、何連敗だ。このままでは試合に出させてもらえなくなる。)

上村は178/93の24歳のプロレスラーだ。大学時代にレスリングで輝かしい成績を残し、プロレスラーとなった。デビュー戦では格上の相手を得意の逆エビ固めでシングル初勝利を収め、幸先のいいスタートだった。
しかし、その後十何連敗と全く勝てない。

毎日ハードな筋トレで体はゴツくなっている。胸やケツの筋肉、太ももとも張り出し、見た目はプロレスラーとしてバランスのいい体つきだ。
顔も若干イモ臭くはあるが、キリリとした眉、一重の意思の強そうな目、バランスの取れた肉厚の鼻、シャープな顎のラインと、世間的には男前だ。大学時代は女にモテて、SEXに不自由はなかった。

だが、勝てないプロレスラーは人気が出ない。なんとしても勝ちたいが、運が悪いのか、最後に逆転されてしまう。
世話になっている団体はそれでもカード(対戦相手)を当てがってくれていた。ただ、いつも前座ばかりだった。

なんとか団体に恩を返したい。勝ち上がって有名になりたい。上村はいつも思っていた。時にもう諦めた方がいいかもしれないとも。

いつものように試合に負け、汗だくでベンチに座っていると、団体の代表から声をかけられた。
『この後はバイト?時間ある?VIPのスポンサーがらみで対応して欲しいんだけど。ギャラはそれなりに出る。うちの為にもやって欲しい。』

『やります!なんでもやります!』
上村は立ち上がり即答した。
『じゃ、着替えないで〇〇ホテルの〇〇号室に行ってくれ。』
『このままの格好でですか?』
『上に何か羽織って、ブーツもそのままで行ってくれ。』
上村は、ブルーのタイツに黒のパンツ。黒のブーツを穿いていた。体からは汗が流れている。このまま外に出るとただの変態だなと思いつつ、撮影かもしれないと思い、コートを羽織ってホテルに向かった。

『ピンポーン』
指定されたホテルの部屋のチャイムを鳴らす。
ドアから上村より少し年上と思える男が出てきた。
『待ってたよ。さ、入って。』
中は広めの部屋でダブルベッドがあった。

『俺は上村くんのファンなんだ。いつも惜しいけど、よくがんばってるね。デビューから観ていて、5戦目なんか連続バックドロップは神業だった。』
ファンと聞いて上村は喜んだ。
『ありがとうございます。不甲斐なくてすんません。でもこれから、もっと頑張ります。』
『今日も惜しかったね。でもカッコよかった。さ、そこに座って。』

上村は部屋の中に入り、指定されたソファーに座った。

『代表から聞いてるよね?』
『はい。VIPなんでなんでもやれって、言われてます。(笑)』
『そっか。ならいい。じゃ、そこで筋トレして。』
『???』上村の頭に疑問が湧いたが、素直にコートを脱ぎ、レスリング姿で筋トレを始めた。
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