17 / 27
17
しおりを挟む
敷地内にある別邸の準備が整ったころに父がイクス・ヴェリタスとその一行を屋敷に案内してきた。
屋敷は広いし、必要な家具を運び入れるなら今のうちにした方がいい。
当初の予定では王宮で全て用意していたが、当人たちが必需品として持ってきたものを入れ替えなどもあるだろうし、好みがあるならそれに合わせる必要もある。
「素敵な屋敷ですね。」
「こちらは別邸です。厨房などもありますので利用してください。」
「心遣い感謝いたします。公爵。」
父とイクスで話をしているようで私は自分の執務室で邸の維持管理、公爵領から送られてくる資料に目を通していく。人造人間は父と私に付いている4人だけだ。公爵領に行けば一族が1人を護衛としてつけている程度。違和感に気づかれることもないだろう。一族単位でその貴族に仕えることはよくあること。
「ヴェロニカ様は屋敷内でも仮面なのですね。」
「成人するまで家人以外にはみせるな。という伝統です。」
「そうでしたか。調度品などが懐かしい感じがします。よろしくお願いいたします」
イクスの側近や護衛も警戒しているが屋敷内を見渡していた。貴族の家よりは無防備かもしれない。家の騎士団たちが選りすぐりの精鋭ばかりで魔術師たちの感知させないための結界など色々隠しているが、それを説明する必要もない。
「食材は大体のものをとり揃えております。」
「ありがとうございます。王都の料理が気になるので夕食はヴェロニカ様とご一緒でもよろしいでしょうか?」
「……私でよろしければ。」
仕事で常に一緒ではないだろうけれど。
この国の苦情を聞くためにもなるべく同席すべきだろうか。ラファエルに調整をしてもらおう。見上げて目線で頼んでおく。学園まで季節を2つほど超える必要がある。それまでに準備を整えて交友関係を深めておくのも公爵家にとって利益があるだろう。
イクスは案内された別邸を見て回る。王宮では露骨に繋がりを作っておきたい。
などの下心が露骨で4侯爵家の人間の権力闘争も垣間見得て堅苦しいと思っていた。
同期になるだろう王子たちの評判は国ではあまり聞いてなかったが、王宮に入って気付いた。
外に出さないように情報統制しているのではなく、出せるような功績がない。むしろ甘やかされまくっているような危うさを感じた。
だから他人と言っても問題ない騎士団長をしているシュヴァリエ公爵に引っ越しは可能だろうか?と、相談をしたら娘の許可を得られたらと言われた。
公爵ではなくご息女?と、思ったがシュヴァリエは聖王国王家のように女性が家督、爵位を継ぐ予定で公爵は入婿で繋ぎだからあまり決定権を持っているわけではない。と、丁寧に教えてもらった。
そして引っ越した公爵邸の庭や別邸を見たら聖王国にあるようなセンスを感じた。懐かしいような、王家の貴賓室のような雰囲気であった。
「イクス様、お部屋を担当させて頂きますアンジュと申します。姫様に用事がある場合は私に。」
ヴェロニカ専属のメイドは人形のような美しい立ち姿をしていた。護衛と髪色や雰囲気も似ていたから一族で仕えているのかもしれない。
「わかったよ。ヴェロニカ様は忙しいのかな?」
「学業の準備もありますが、爵位を継承するための勉学に勤しんでおります。旦那様も騎士団の仕事でお忙しいので家のことは姫様が引き受けていますので……ですが、事前にご連絡を頂いていれば対応は可能かと思われます。」
「……分かった。公爵家の図書室の閲覧は可能かな?」
「はい。本邸にございますのでご自由にお入りください。図書室ではなく図書館となっており中には専属の司書がいますのでそちらの指示に従って下されば。」
本邸から図書館に繋がっているということらしい。図書館????
「一室とかでは無いのか?」
「???詳しくは存じ上げませんがアーク・シュヴァリエ公爵の時代からの史料も現存していますので必然と図書館となったようです。」
「明日から図書館を使いたいので許可を得ておいて欲しい。」
アンジュに伝えると快諾してくれた。我が国には伝わっていないアーク・シュヴァリエと聖女様の記録があるかもしれない。
アンジュはヴェロニカにかに図書館を利用希望だと報告する。
「図書館???良いけど、見られて困るものは特になかったというか、そういうのは領地に運んでるだろうから……魔術師と錬金術師達に他所様に見られて困る研究資料や記録があるなら自己責任で隠すように伝えておいて。隠蔽魔法でどうにかなるでしょ。」
「姫様、多分少し猶予を与えた方が……」
「誰も来ないとタカを括って私物化しつつあることを怒ってる訳じゃないのよ?」
研究資料を散らかしている訳でもないが、いつまでたっても研究室に持ち出したままであったり片付けを司書に押し付けていることを知っているが悪い訳でもないが他所様に見せていい訳でもない。
ラファエルは直ぐに対処させます。と、メイド達と部屋から出た。見られて困るものを各人で隠す必要があるのに徹夜はしないだろう。
屋敷は広いし、必要な家具を運び入れるなら今のうちにした方がいい。
当初の予定では王宮で全て用意していたが、当人たちが必需品として持ってきたものを入れ替えなどもあるだろうし、好みがあるならそれに合わせる必要もある。
「素敵な屋敷ですね。」
「こちらは別邸です。厨房などもありますので利用してください。」
「心遣い感謝いたします。公爵。」
父とイクスで話をしているようで私は自分の執務室で邸の維持管理、公爵領から送られてくる資料に目を通していく。人造人間は父と私に付いている4人だけだ。公爵領に行けば一族が1人を護衛としてつけている程度。違和感に気づかれることもないだろう。一族単位でその貴族に仕えることはよくあること。
「ヴェロニカ様は屋敷内でも仮面なのですね。」
「成人するまで家人以外にはみせるな。という伝統です。」
「そうでしたか。調度品などが懐かしい感じがします。よろしくお願いいたします」
イクスの側近や護衛も警戒しているが屋敷内を見渡していた。貴族の家よりは無防備かもしれない。家の騎士団たちが選りすぐりの精鋭ばかりで魔術師たちの感知させないための結界など色々隠しているが、それを説明する必要もない。
「食材は大体のものをとり揃えております。」
「ありがとうございます。王都の料理が気になるので夕食はヴェロニカ様とご一緒でもよろしいでしょうか?」
「……私でよろしければ。」
仕事で常に一緒ではないだろうけれど。
この国の苦情を聞くためにもなるべく同席すべきだろうか。ラファエルに調整をしてもらおう。見上げて目線で頼んでおく。学園まで季節を2つほど超える必要がある。それまでに準備を整えて交友関係を深めておくのも公爵家にとって利益があるだろう。
イクスは案内された別邸を見て回る。王宮では露骨に繋がりを作っておきたい。
などの下心が露骨で4侯爵家の人間の権力闘争も垣間見得て堅苦しいと思っていた。
同期になるだろう王子たちの評判は国ではあまり聞いてなかったが、王宮に入って気付いた。
外に出さないように情報統制しているのではなく、出せるような功績がない。むしろ甘やかされまくっているような危うさを感じた。
だから他人と言っても問題ない騎士団長をしているシュヴァリエ公爵に引っ越しは可能だろうか?と、相談をしたら娘の許可を得られたらと言われた。
公爵ではなくご息女?と、思ったがシュヴァリエは聖王国王家のように女性が家督、爵位を継ぐ予定で公爵は入婿で繋ぎだからあまり決定権を持っているわけではない。と、丁寧に教えてもらった。
そして引っ越した公爵邸の庭や別邸を見たら聖王国にあるようなセンスを感じた。懐かしいような、王家の貴賓室のような雰囲気であった。
「イクス様、お部屋を担当させて頂きますアンジュと申します。姫様に用事がある場合は私に。」
ヴェロニカ専属のメイドは人形のような美しい立ち姿をしていた。護衛と髪色や雰囲気も似ていたから一族で仕えているのかもしれない。
「わかったよ。ヴェロニカ様は忙しいのかな?」
「学業の準備もありますが、爵位を継承するための勉学に勤しんでおります。旦那様も騎士団の仕事でお忙しいので家のことは姫様が引き受けていますので……ですが、事前にご連絡を頂いていれば対応は可能かと思われます。」
「……分かった。公爵家の図書室の閲覧は可能かな?」
「はい。本邸にございますのでご自由にお入りください。図書室ではなく図書館となっており中には専属の司書がいますのでそちらの指示に従って下されば。」
本邸から図書館に繋がっているということらしい。図書館????
「一室とかでは無いのか?」
「???詳しくは存じ上げませんがアーク・シュヴァリエ公爵の時代からの史料も現存していますので必然と図書館となったようです。」
「明日から図書館を使いたいので許可を得ておいて欲しい。」
アンジュに伝えると快諾してくれた。我が国には伝わっていないアーク・シュヴァリエと聖女様の記録があるかもしれない。
アンジュはヴェロニカにかに図書館を利用希望だと報告する。
「図書館???良いけど、見られて困るものは特になかったというか、そういうのは領地に運んでるだろうから……魔術師と錬金術師達に他所様に見られて困る研究資料や記録があるなら自己責任で隠すように伝えておいて。隠蔽魔法でどうにかなるでしょ。」
「姫様、多分少し猶予を与えた方が……」
「誰も来ないとタカを括って私物化しつつあることを怒ってる訳じゃないのよ?」
研究資料を散らかしている訳でもないが、いつまでたっても研究室に持ち出したままであったり片付けを司書に押し付けていることを知っているが悪い訳でもないが他所様に見せていい訳でもない。
ラファエルは直ぐに対処させます。と、メイド達と部屋から出た。見られて困るものを各人で隠す必要があるのに徹夜はしないだろう。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる