出勤したら解雇と言われました -宝石工房から独立します-

はまち

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気分転換に商業区に出る。最悪の気分だ。
年が開けたら叙爵の通達が出て春には男爵になる。放火犯の事も片付いていないから新居の選定も出来ない。
貝殻もなかなか集まらない。と、思っていたけれど侯爵家がそんなに貝を食べるはずないか。

「ミカエラ、何を探してるの?」
「貝殻…内側が真珠みたいに綺麗なの…」
「真珠貝とかだろうから真珠を取り扱う商会にならあるんじゃないかな。ロズウェル侯爵家が使ってる商会も近いからそっちに行ってみる?」
「はい。」

商会に行くとレオンハルトもいることから話がすぐに進む。

「真珠貝の貝殻ですか…現地で破棄してますからね。どれくらいご入用ですか?」
「ミカエラどれくらい?」
「…とりあえず次の収穫で採った分とか、木箱1杯。」
「貝殻の内側は確かに綺麗ですけど、鮑とかもですよね。」
「侯爵家で使うアワビはたかがしれてますので…」
「確かに。内側が真珠みたいにキラキラしてる貝殻だな。輸送費は貰いますよ。物は取り敢えず廃棄物何でタダで良いですよ。需要が増えたらそれに応じて頂くということで。」
「わかりました。じゃあ取り敢えず諸経費込で金貨5枚お渡ししますのでいい感じにお願いします。」

「…後で返せとか言わないでくださいよ。」
「今のところそれなりにゆとりがあるので試作でどれだけ破棄するかも分からないので。」
「わかりました。荷物は侯爵家に?」
「別邸の方にお願いします。」

貝殻の注文をして満足出来た。届くのが楽しみだ。今日くらい楽しんでもいいのだろうか。ふと顔を上げると娼婦が花街外で客引きをしていた。

「っ」
「ミカエラ、お腹すいてない?」
「…広場とかで休憩出来たら嬉しい…です。」

広場には屋台が少なからず出ており、果実水を買ってきてくれた。
自分がどれだけ狭いものしか見てなかったのか嫌ほど実感する。

「何で悩んでる?」

ぐぃっと眉間をグリグリと指で押された。額を抑えると心配した彼の顔があって大きく息を吐き出す。

「ここ最近の私の身の回りで起きたあれやこれやですよ。」
「マルセル工房にいた時の方が良かった?」
「いえ…生活等にとてもゆとりが出来て好きなことも出来ているのでマルセル工房が良かったとは思えませんが…」

散歩しての気分転換もたかが知れている。
とりあえず貝殻が手に入ったら新しいものでも作ってみよう。

「ドタバタするのも今だけだよ。」
「私と言うよりユーリ様が巻き込まれてドタバタしてるような…私は別邸で基本仕事ですし。」
「兄上からしたら本来の仕事だと思うから大丈夫だと思うよ?」

後で滞在費請求されたらどうしよう。ミカエラは果実水を飲んで休憩して侯爵家の馬車があるところまで戻ろうとした。

「?レオン様アレなんか騒ぎになってますね。」

道中の屋台で何か大騒ぎしている。
「お貴族様の横暴かよ」
「誰か警備兵呼べよ」
「関わりたくねーよ…」

近くに行くとどうやらどこぞのお貴族様が金貨で銅貨で済むものを買おうとしてお釣りが出せないから断られて怒っているらしい。

「どこの世間知らずですか…おっちゃん、幾ら?」

支払いをしてものを受け取り、お貴族様の襟首掴んで人垣から抜け出す。迷惑この上ない。

「おい!何をする!!!」
「いいから!!人の迷惑になる!!」

抜け出してレオンハルトの元に行くとレオンハルトの笑顔が固まっていた。

「放せ!!」
「全く、どこの世間知らずですか。こんな場所で金貨で買い物出来るわけないでしょ。物価知らないのですか!?」

言い返すと黙ってしまった。

「レオン様、お知り合いですか?」
「知り合いではありませんが知っています。」
「私は安全ですか?」
「安全だけど…屋内の方が有難い。」

何だろう。すっごい困った空気を出している。

「ヘラルド様より偉い方ですか?」
「…いえ。」

コソコソと聞いてみる。

「…じゃあ個室のカフェに移動してその間にお城のユーリ様やヘラルド様に広場で拾ったから迎えに来てもらった方がいいですよね。護衛撒いたのか付いてきてないようですし。」

ミカエラの提案に賛成だと頷いて近くのカフェだとあの辺になると2人でコソコソ打ち合わせをする。世間知らず若様は買った串焼きをどう食べるのか首を傾げていた。

「カトラリーはないのか?」
「串焼きなんだからかぶりついてください。あるわけないでしょ。というか私が買ったのに自分のモノみたいにするのやめてくれる?」

口をつけた後に言ったら無視して食べだしたのでミカエラは拳を握りしめて殴る意思表示を出していた。レオンハルトがとりあえず移動しようと提案した。
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