出勤したら解雇と言われました -宝石工房から独立します-

はまち

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139 お礼訪問

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魔力切れで末端が冷えきって、お風呂で温められたがあまり効果がなかったようだ。寒いし眠いし凍えるようだという。イザークは大型犬の姿でベッドに上がり丸くなる。なるべく目線を合わせないようにしておく。寒いからと下着姿で抱き枕にされている…理性を保つためには見ないのが1番だ。彼女は寒いのか抱き着いて冷えると離れそうにもない。寝足りないのか直ぐに寝てくれた。

人の姿に戻りちゃんと服を着せて腕の中に彼女を収めて家の周りを警戒する。実家の人間と侯爵家の護衛…勝手に敷地内に入れば核石の防衛機構が働いて問答無用で死ぬ。
人知れずこの家を守っているのは誰も知らないだろう。
寝顔を眺めて傍に抱き寄せて寝る。





魔力切れは元の魔力量が少ないので回復も早い。高位の貴族などは切れると回復まで数日寝込むらしい。私はその日よく寝てよく食べたのでもう平気だ。なのだが、家に花束が届くようになった。差出人不明。

「ミカエラ様、飾っておきますね。」
「まぁ、花は悪くないし。お願い。別に変なものはないのよね?」
「普通の贈答用です。」

なのにムスッとしている家庭教師兼護衛。気にしても仕方が無いので目の前にある学園再入学に向けた勉強をする。貴族としての教養はあるものとして講義が進むらしいし・・・私にあるわけないでしょ…詰め込みなんだし…そう思いながら借りている教範達を眺める。

「ミカエラ何処で人を誑かしたのです。」
「誑かしてませんけど。私にそんな芸当あるわけないでしょう。」
「…それもそうですね。」
「これ予習ですよね…???」
「いえ、常識、一般教養です。予習なんてまだまだ先です。」

だったら嬉しいな。と、思って聞いてみたが一瞬で砕かれた。諦めて勉強する。丁寧に教えてくれているから有難いけれど量が多すぎる。読み書き計算が出来ればいい平民クラスと貴族クラスでは求められているものが違いすぎる。知恵熱出さないだけ頑張ってる気がする。

物覚えが悪いのにも関わらず根気強く、しかも怒らずに教えてくれている…まぁ、私の頭が伴っていないし、レオンハルト様やユーリ様まで勉強を見てくださることになったが…仕方ないか。と、出来栄えを聞かなくても察することは出来る。

「ミカエラ、大丈夫かい?」
「…そう見えますか…」

侯爵家で侯爵家がお世話になっている家庭教師達を呼び出して集中講義で疲れきった私。イザークは別件でユーリ様の元にいるのでレオンハルト様や家庭教師達。サボってもいないし、本人なりに努力もしている。が、進捗はとてもゆっくりだ。

「これ、間に合うんですか。私…」
「…都度残って教師に聞いてもいいし、イザークから教わってもいいと思うよ?教師側もそういう事情も事前に聞かされるみたいだから。不慮の事故で突然自分に爵位が降ってきたり恩賞で与えられて困った人も通うコースだから。」
「…それってあまりないですよね。」
「頻度は高くないね。ミカエラは帳簿の読み書きは出来るからそれは強いと思うけどな…俺や兄上もだけどそこが1番苦労したし。」

それは仕事に必要だから覚えたのであって貴族が当たり前のように持っている常識はないのだから苦労の度合いが違う。


疲れた。家に帰っても復習がある。貴族の勉強大変すぎる…。
「大丈夫ですか?」
「…そう見えるなら目の治療してもらった方がいいです。」
「時間は決まってますからね。」

追い討ちをかけないで欲しい。

家に到着したら当たり前のようにドアを開けてくれるのでお礼を言いながら中に入るとアリアが手紙を持っていた。

「ミカエラ様、ファルコ男爵様からお手紙なのですが、お知り合いですか?」
「初めましてではないよ。」

手紙を受け取りソファーに座り手紙の封を開けるのだが隣に当たり前のようにイザークが座り中を覗き込んでくる。この前のお礼とお礼の品を持ってきたいから都合のいい日を教えて欲しい。で、良いのだろうか。ミカエラは返事どうしたものか。と、思いながら見上げるとムスッとしていた。

「誑かした覚えはないんですよね?」
「ないですよ。ヘラルド様から突発の依頼をされただけですから。近い…」
「本当ですか?」
「嘘ついてどうするんです。私がそんなことをできると思っているなら勘違いですよ。」

イザークはアリアに準備時間等を確認すると勉強の続きということで部屋に運ばれてしまった。家の中なのに抱き上げられて運ばれてるよな…

「手紙は1度ユーリ様にお渡ししても?」
「問題ありません。いつもの事ですし。」

封筒ごと渡すと抱きしめられる。何故こうなる???

「嫉妬で狂いますよ」
「いやいや、何もありませんよ???」
「ミカエラに関しては狭量なんです。余裕もありません。」
「面倒くさ…恋愛とかに興味が無いのに…」
「ミカエラ酔わないと甘えてくれないじゃないですか。」

えぇ…面倒くさ…
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