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6 嫉妬の炎は身を焦がす

6 嫉妬の炎は身を焦がす ⑤

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「ミハイル……?」

 その名前を呼ぶと……彼が姿を見せた。どうやらその口ぶりや影のある表情から察するに、ミサキを助けにきた様子ではない。

 むしろ、これを仕組んだ張本人こそミハイルだと、ミサキには少し考えただけでわかった。

「『ソレ』、私と警備部が共同開発した……拷問用の触手なんです」

 拷問用の触手。その言葉に、ミサキの目は恐怖の色で染まる。しかし、ミハイルは優しそうな……ミサキの表情とはまったく逆の表情を浮かべながら、ゆっくりと近づいてきた。

「大丈夫、『花嫁』である貴女に、ひどい事は致しません。ただ……いい子にしていないと」

 ミハイルが指を鳴らす。すると、二本の細い触手がするりと伸びてきて……恐怖で震えるミサキの胸の頂に、くるっと巻き付いた。そして、その根元を強めに締め付ける。

「んんぅ……っ!」

「こう、ですからね。わかりましたか?」

 ミサキの目じりから、涙が伝う。ミハイルは近づき、それを舐めとった。

「ど、どうしてこんなコトするんですか!?」

 恐怖に震えた声で、ミサキはミハイルを問い詰める。

「どうして……? 聞かないとわかりませんか?」

 

 ミサキが強く何度も頷く。

 ミハイルはそんなミサキの顎を掴み、強く唇を押し付けてきた。無理やり唇をこじ開け舌をミサキの腔内に差し込む。逃げ惑う舌に絡みつき、強く吸い上げていく。腔内を蹂躙して回って、気が済んだ頃にミハイルは唇を離した。息絶え絶えになったミサキの頬を、様々な感情が入り混じっていて、ほんのりと赤い。

「……昨晩は、随分とアレクセイと仲良くしていましたね、ミサキ」

「え……?」

「自ら快楽を貪るように腰を振り、アレクセイを求め続け……アレ、結局何回イッタんですか?」

「もしかして……」

「ええ、見ていましたよ……と、言うよりはあんな目立つところでアレクセイの体を求める貴女が悪い」

「そ、そんな訳じゃ……」

「楽しかったですか?」

 ミハイルは、ミサキの腹をスッと撫でる。耳元に唇と近づけて、フッと息を吹き込んだ。ミサキの体は、驚いたように少し跳ねる。

「まだ若い弟の気持ちを弄び、私にも嫉妬の炎を灯させる」

「な、何を言って……」

「わかりませんか? 貴女がアレクセイに抱かれているのを見て、私がどう感じたのか……その体に刻み込んで差し上げますよ。もう私の事以外考えられなくなるくらい」

「いや……っ、んぁあ……!」

 再び、アレクセイが指を鳴らした。ミサキの顔色が青ざめていく。

 触手が伸び、ミサキの柔らかな乳房に巻きついてその形をやわやわと変えていく。時折、出している粘液のせいで触手がぬるりと滑っていく。その感じたことのない感触に、ミサキはびくりと震えた。ミサキはきつく唇を噛み、触手が一方的に与える刺激に耐える。そんなミサキの抵抗する様子を見ながら、ミハイルは深く長くため息をついた。

「いつまでそうやって耐えることができるのでしょうね、貴女は。……私は何時でも、貴女に求められてもいい準備は整えているのに」

「ん、んん……んぅ……」

「でも、そうやって怯えながら快楽に耐える表情もイイですね。それは、アレクセイには見せていないでしょう?」

「んんぅ、ん、ん……っ」

「……つまらないな」

 そのミハイルが放つ冷たい言葉に反応したのか、触手がまた増えていく。その先端がぬちゃぁ……と糸を引きながら開いた。その中には、無数に並ぶ小さなイボが見える。

 ソレは、ぷっくりと尖り始めたミサキの胸の頂を包み込む。粘液がすべり、小さなイボが乳頭を柔らかく押しつぶしていく。突然の刺激にミサキは首を仰け反らせて、甘く鳴いた。

 その様子に満足したのか、ミハイルは恍惚の笑みを浮かべる。静かな部屋に、ミサキの叫びにも似た嬌声と、触手の粘液がこすれ合う音が響いた。ミサキは内ももを擦り合わせて、体に溜まる熱を外に追い出そうとしていた。しかし、触手の動きはその熱を高めていくだけで……その仕草はミハイルの劣情を煽るだけのものだった。

 頂を包み込む触手は、ぬちゅぬちゅと音を立てて乳頭に吸い付いていく。イボが押し付けられ、こすれていく度にミサキが体をくねらせる……いくら身を捩っても、胸や頂に触れる触手は離れようとせず、ぴったりとミサキの体に絡みつく。それを取り除きたくても、手首は拘束されていて自由はきかない。逃れることも出来ず、ただ与えられるがままの快楽にミサキは翻弄されるだけだった。得体のしれないものに体をまさぐられる恐怖と、迫りくる甘美な快感……二つの相反する刺激が、ミサキの思考回路をぐちゃぐちゃにかき混ぜていく。怖いのに、追い求めてしまう……それこそが、ミハイルが求めていたミサキの反応だった。そして、最終的にはミハイル自身を求め、受け入れる事。アレクセイよりも良いと言わせること……ミハイルの心の中に、じわりじわりとよどみが溜まっていく。

 触手はミハイルの指示がなくとも、勝手に動き回り始めた。手首の拘束を強め、背筋を伝い……ぬるりとお尻を撫で、揉みしだく。そのまま後ろから、ミサキの割れ目をそっと撫でた。

「んぁああ……っ!」

 ソレは下着の上から撫でるだけだった。蜜口から花芯まで、自身の粘液をショーツに染み込ませ……ミサキから漏れて、ショーツをびっしょり濡らしていた愛液を混ざり、強くクロッチの上から秘部を擦り続ける。その混じった体液は太ももまで伝い、花芯は少し離れたところでその様子を見つめるミハイルから分かるくらい、下着の中でぷっくりと大きくなっている。乳頭を吸っていた触手もそれに気づいたのか、そこから口を離して……そろりそろりと下肢に向かって伸びていく。それに気づいたのか、ミサキは「嫌っ」と何度も叫んだ。しかし、触手はそのミサキの叫びを聞くことなく、ショーツに滑り込み、その中で口を開いて……淫核にじゅっと吸い付いた。

「あぁぁああぁああ……!」

 今まで感じたことのない強すぎる快楽、ミサキの嬌声は……もはや甘いものではなかった。

 触手は淫核を包み込み、ぎゅっと強く押しつぶしていく。ミサキがいくら腰を振って逃れようとも、離れることはなかった。それよりも抵抗しようとうごめくことに嫌気を指したのか、触手はミサキの脚にも絡みつき、体すべてから自由を奪って行く。熱を振りほどくことが出来なくなったミサキは、もうそれを受け入れるほかなかった。

 ミサキは涙が溜まった瞳で……まっすぐミハイルを見つめる。その表情には先ほどまで浮かんでいた恍惚はなく、どちらかと言えば……悲しみに沈んでいるようにも窺えた。

「……何考えているんですか?」

「んんぅうっ!」

 淫核はぐちゅぐちゅと音を立てながら擦りつづけられ、硬く勃起した乳頭には細い触手が絡みつき根元から絞っている。体には触手が出す粘液がべったりとつき、ろうそくの灯りがそれをテラテラと反射していた。

「触手が、窮屈そうですね」

 ミハイルはミサキの下肢に腕を伸ばす。サイドで結んであるショーツのリボンを片方だけ、しゅるりと解いた。秘裂をなぞっていた触手は、解かれたことによって出来た隙間からミサキの粘膜に直接触れる。ずちゅ……と何度も蜜口を擦り、性急にそのナカに潜り込んでいった。

「ふぁあぁあっ、あ、あぁあ……っ!」

 肉壁を縦横無尽に嬲られ、淫核は根元から絞るようにぎゅっと摘ままれる。腰がびくびくと揺れ、体中が赤く染まっていく。そろそろ、絶頂がきてしまう。ミサキはぎゅっと目を瞑り、それに耐えようとしていた。こんな得体のしれないモノがいとも簡単にミサキの体を高めていく、悔しいがそれに抗うことのできなくなった自分から目を逸らすように。

 ミサキのサインに気付いたミハイルは、また長い溜息をついた。そして、指を鳴らす。ミサキの体中をうごめいていた触手が、それを合図にぴったりと動くのをやめてしまった。

「え……あ、ぁ……」

「触手にイカされたかったですか?」
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