鍵の王~才能を奪うスキルを持って生まれた僕は才能を与える王族の王子だったので、裏から国を支配しようと思います~

真心糸

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2章 呪われた炎

第30話 人材探しとスラム街

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 結局、僕たちが見て回った限りでは、組織に入ってくれそうな良さそうな人材は見つからなかった。

 王城の中を見て回ったのだが、スキル持ちの貴族は、ほとんどが威張り散らした嫌なやつで、騎士団の方にはあまり近づくことができず、人材の吟味ができなかった、という残念な結果であった。

「やっぱり、すでにスキル持ちの人はダメな気がするね」

「ですね。やはり、仲間に引き入れてから、ディセやセッテのようにスキルを発現させてもらうのがいいかと」

「だよねぇ……この前みたいなことはあんましたくないけど、、それがいいかなぁ……」

「セッテ……ピャー様に嘘をつくのはやだな……」

「うん……僕も……」

 僕とセッテは、この前、アルコール入りチョコレートをピャーねぇに食べさせたことを思い出し、しゅんとする。

「まぁまぁ、その問題については人材が見つかってから考えましょう。まずは戦力の増強です」

「そう、だね……ありがと、カリン」

「いえいえ」

 カリンが空気を変えてくれたので、改めて前向きな話をする。

「じゃあ、スキルのことは一旦置いといて、人格的に良さそうな人を探してみよう。まずは、そうだな……スラム街に行ってみようか。あんまり期待はできないかもだけど、貴族たちをもう一度見て回るよりかはイイ気がするんだよね」

「では!ディセがご案内します!」
「セッテも!」

「わかった、2人ともありがとう。カリンは僕たちが見える範囲で護衛してくれるかな?」

「かしこまりました」

 ということで、ディセとセッテに案内してもらい、2人の故郷でもあるスラム街に繰り出すこととなった。

♢♦♢

-キーブレス王国 首都 外周部 スラム街-

「相変わらず……ここの治安は悪そうだね……」

「はい、なのでディセたちから離れないでください」
「セッテが守ってあげる!」

「ありがとう2人とも」

 僕たち3人はスラム街にいても目立たないようにボロボロの服に着替えて、スラム街の入口に立っていた。スラム街は、キーブレス王国 首都の城壁の外、外壁沿いに作られていて、小さな村ほどの大きさだ。そこに住む人の人口は誰も把握しておらず、数千とも数万とも言われている。
 首都の中が美しい町並みなだけに、ココとの格差が際立って見て取れた。道路は舗装なんてされておらず土煙が待っていて、建物は素人が適当に廃材で作ったようなものばかりだ。そのボロい建物のほとんどは、大人の背より少し高いくらいの大きさのもので、いつ崩れてもおかしくないように見える。

「じゃあ、人材探しといこうか。目標は、ディセやセッテみたいな優しい子たち、かな」

「ふふ、私たちみたいな子はなかなかいませんよ、ジュナ様」
「そうだよー!セッテたちはすごいんだから!」

「だね。じゃあ、あんまり期待せずにブラブラしてみようか」

 そう声をかけてから、僕たちは、荒廃したスラム街に足を踏み入れた。スラム街は、首都の中に住めない人たちが勝手に作った町なので、管理者などはおらず、建物の並びに規則性なんてものはない。だから、町中はかなり入り組んでいて、慣れた人物じゃないとすぐに迷いそうな場所だった。そんな場所をディセとセッテが先陣をきってゆっくりと歩いていく。
 たびたびすれ違う人たちは生気のない目をしている者が多く、座り込んでいたり、夢遊病のようにフラフラ歩いている人もいる。それに、年配の人が多めで、子どもは少ないように感じた。みんな、どこか人生を諦めたような雰囲気を発している。

「こうやって見て回ると、2人はこんなところで諦めずに生き延びていて、ほんとにすごいよ……」

「ディセは……セッテを守ることに必死だっただけです……」

「セッテは、おねえちゃんのおかげ!」

「そっか、ディセは偉いな。あとでご褒美をあげよう」

「えー!セッテは!」

「セッテもがんばったろうから、ご褒美をあげよう」

「わーい!」

「あ、ココって……」

 僕が足を止めた場所には、子ども2人が入ればいっぱいになりそうな小屋があった。いや、小屋なんて立派なものじゃない。入口には壁なんかなくて、屋根だけが適当な木材で支えられた犬小屋のようなものだった。

「まだ、あったんですね……」

「懐かしいね!セッテたちが住んでたところ!」

「うん、ほんとに懐かしい。あのとき2人と出会えて、僕はラッキーだったね」

「それはディセたちのセリフです!ジュナ様!」

「そうかな?」

「はい!」

「なら、お互いにラッキーだった、ということで」

「そうだね!セッテたちはジュナ様に助けてもらってラッキー!」

 僕は、セッテとディセの笑顔を眺めながら、5年ほど前に2人と出会ったことを思い出し始めた。
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