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第ニ章

二人の新たな試み

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「ん…くぁ~っ、良く寝た。って二人ともそんなに真剣な表情してどうしたんだ?」

 目が覚めるとドーナとランの二人が真剣な眼差しでこっちを見ていた。何やら様子がいつもと違う。いったいどうしたのだろうか?

 疑問に思っていると、二人が口を開いた。

「ヒイラギ、ワタシたち二人からお願いがあるわ。」

「お、お願いか……ちなみにどんな?」

「アタイ達にヒイラギの使ってる武術を教えてほしいんだよ。」

「あ、あぁそれぐらいなら別に構わないが急にどうしたんだ?」

「イリスから聞いたんだけど、この前ヒイラギが戦った魔物ってヒイラギよりもずっとステータス的には上だったんでしょ?」

「そうだな。」

「自分よりもステータスの高い相手を打ち負かせるヒイラギの技術を、アタイ達も使えればこの先力になれるんじゃないかと思ってねぇ。」

 なるほど……二人の気持ちは理解した。こういう風に二人が思うことになってしまったきっかけは俺だし、責任は取るべきだ。

「わかった。でも俺も教えるのは初めてだから、探り探りになると思う。それでも構わないか?」

 そう聞くと、二人は頷いてくれた。決意は固いらしい。

「それじゃあ、さっそく始めるか?」

「「もちろん!!」」

「わかった。それじゃあ外でやろう、ここだと狭すぎるからな。」

 外へ移動しようとすると、クイッと袖が引っ張られた。

「お兄さん!!シアも見ててもいい?」

「あぁ、いいぞ。でも少し離れててな。」

「うん、わかった!!」

 外へと移動し、ドーナとランの二人と向き合った。

 さて、まずは基本中の基本……から教えよう。

「それじゃあ二人とも、俺の真似をしてみてくれ。」

 手本の構えを取って見せると、二人は見様見真似で構えてみた。しかし……緊張しているのだろうか、体がガチガチだ。

「二人とも、もっとゆったりしていいぞ?構えるのに力を使ってたら意味ないからな。」

 それから少しずつ二人の構えを直していった。こう……教えていると自分が師匠から教わっていたあの頃を思い出してしまう。懐かしい思い出だ。

 俺が思っていたよりも二人の飲み込みは速く、ある程度形になった構えをとれるようになってきた。

「よし、構えはそれで大丈夫だ。後はそれを自然にできるようになればいい。」

「構えるだけでもこんなに難しいのね。」

「いままで構えなんてあんまり気にしてなかったけど、実際構えを集中して取ってみると本当に難しいよ。」

「ここから先はひたすら反復練習だ。自然とその構えができるようになるまでやってみようか。」

 地味な稽古だが、これが基本を押さえるためには大事だ。

「ランはまだ少し力みすぎ、ドーナはもう少し重心を真っ直ぐに……。」

 そして、構えの練習をひたすら体に染み付くまで続けるのだった。
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