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二節 対吸血鬼専門部隊
3ー2-8
しおりを挟むそれから丸一日後、メイはなんと日本政府の機密ファイルにアクセスすることに成功した。
興奮する彼女に引っ張られ、コンピュータールームへと連れてこられたエリーは機密ファイルの中にあった、とあるファイルを見せられる。
「吸血鬼実験記録?」
「えぇ、文章を見る限りエリーが捕まえてくれた吸血鬼を使った実験みたい。詳細を見てみましょうか。」
カチカチとメイがマウスをクリックすると、日本政府が極秘で行った吸血鬼に対する実験の膨大な記録が映し出された。
『実験記録1 吸血鬼再生実験』
捕縛した吸血鬼(以降吸血鬼A)に対する再生能力の検証を行う。
①刃物を用い、四肢を切り落とす。
結果 1日後完全に再生。
②臓器を摘出。
結果 致命部位ほど早く再生。
※摘出した臓器は臓器移植に利用可能と推測される。
③銀製の刃物を用い、四肢を切り落とす。
結果 再生速度はかなり遅いものの、再生の兆しあり。
※切断した面を再び接着することが可能である。
最初に目にした記録から、かなり踏み込んだ実験を日本政府がやっていることがわかる。
「うげ、ヤベェことやってやがる。」
「ま、人道的ではないわね。でも実際これは予想できた。問題なのは……これよ。」
カチカチとメイが別の記録を表示する。
『吸血鬼の特殊能力を用いた兵器の作成実験。』
と、目次には書いてある。
「なんだ……こりゃあ。」
「まぁ、見ていきましょ。」
二人は記録に目を通していく。
吸血鬼Aの能力は血液を自由自在な形に凝固させる。この能力を軍事利用し、兵器を開発する。
①刀
吸血鬼Aに血液を渡し、刀を模らせた。本物の刀匠が打ったものに比べると幾分斬れ味は落ちるものの、強度は刀以上。
※実戦投入済み
②小銃
簡単な設計図を吸血鬼Aへと渡し、血液で小銃を模らせた。発砲は可能である。しかし、吸血鬼へ実弾は効果的ではないため実用性にかける可能性あり。
※実戦投入済み
③槍
①と同文。
※実戦投入済み
と、ここまでは吸血鬼の特殊能力を使い武器を作り出す実験記録だったのだが……④だけは全てを逸脱して狂気じみていた。
④生物兵器の作成
吸血鬼Aの体組織をラットへと移植し、生物兵器となりうるか検証。
結果、体組織を移植した部分を変容させる能力をラットが得た。
※人体実験済み、及び実戦投入済み
その記録を見てエリーとメイは固まった。
「おいおい、4番……ってまさか。」
「えぇ、ほぼ人為的に吸血鬼を生み出そうとしてるみたい。ここにはラットの実験のことが書いてあるけど、補遺に人体実験済みって書いてあるし……。確定ね。」
日本政府の抱えている闇を知り、戦慄する二人。そんなメイの端末に一ノ瀬から久しぶりに連絡が入った。
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