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第一章 転生そして成長

第3話 この世界の真実

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「う~……。」

 次に縷亜が目を覚ますと、さっきとは場所が変わっており、今度は揺り籠のようなところに寝かされていた。

(ここは……どこ?寝てる間にまた違うところに連れてこられちゃった。)

 辺りをきょろきょろと見渡してみるが、さっきのエナの家にあったような巨大な家具は見当たらない。それに、人の姿も見当たらない。
 今のうちに縷亜は自分の置かれている現状を整理することにした。

(異世界に転生できたのはいいけど、これからいったいどうなっちゃうんだろう。)

 自分の身にこれから起こることを案じていると、後ろの方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「うふふっ、赤ちゃんになっても相変わらず可愛いわね~。ボクちゃん?」

(あっ!!その声は……っ。)

「ボクちゃんだけの女神のレトよ~。覚えててくれて嬉しいわ~♪」

 レトは縷亜が寝かされている揺り籠の横に歩み寄ると、上から縷亜のことを覗き込んだ。

「さてっと、こっちに来ていろいろなことが起こって困惑しているだろうから、優しい優しいお姉さんがこの世界について教えてあげるわ。」

 どうやらレトはこの世界のことについて縷亜に教えるためにここに来たらしい。レトは近くにあった椅子を引き寄せると、そこに腰掛けた。

「まずは、ボクちゃんが気になってるこの世界の住人について話してあげようかしらね。」

(お、お願いします……。)

「ボクちゃんも見ただろうけど、この世界には人間以外にもいろんな種族が住んでるわ。そして、この世界に住んでる人は、。」

(女の人しかいない!?)

 レトからその事実を聞いたとき、縷亜の頭の中で欠けていたパズルのピースがはまるように、今まで彼の身に起こった出来事に全て納得がいった。

「そっ、つまりボクちゃんにとっては~ハーレム?最高でしょ?」

(で、でもどうして女の人しかいないの?男の人は?)

 縷亜は疑問に思ったことをレトに聞いてみた。

「……この世界にもね、数百年前まではちゃんと、男の人もいたわ。でも、私のことを良く思わない神達に連れ去られちゃったの。」

 レトの言葉に縷亜は驚きを隠せずにいた。

「ボクちゃん、私が野良女神って言ったこと……覚えてる?」

(う、うん……。)

「もともとは私も、位の高い女神だったの。でもね、私が恋をした神を他の女神に寝とられてから、こんな風に神の中でのお尋ね者になっちゃった~。」

 さらっとレトは言ってのけたが、なにやら彼女は、昼ドラ並みにドロドロとした事を経験しているらしい。
 その結果、野良女神というお尋ね者になってしまったようだ。

(ひどい……。)

 そうポツリと縷亜が心の中で溢すと、座っていたレラがにんまりと笑みを浮かべて、縷亜の体に顔をすりすりと擦り付け始めた。

「うふふ~っ♪優しいのね~ボクちゃん。確かにあの憎たらしい~女神に愛しの彼を寝とられたのは悲しかったけど~、今私にはボクちゃんがいるから大丈夫よ~♪」

 そうやってレトはしばらく縷亜に顔を擦り付けていたが、満足すると……。

「あ……っと、そろそろボクちゃんのことを拾ってくれた由良ちゃんが戻ってくる頃ね。じゃあ最後に……。」

 レトは縷亜にぐっと顔を近づけた。

「この世界を救う鍵はボクちゃんに預けたわ。頑張るのよ?……チュッ♥️」

 去り際に縷亜の頬に軽くキスをすると、レトは忽然と姿を消した。

(世界を救う鍵って……いったいなんなの?)

 最後にレトが言い残したという言葉。
 その言葉の意味がわからずに、悶々としていると……部屋の扉がガチャリと開いた。

「ただいま戻ったのじゃ~っ。」

 部屋を開けて入ってきたのは由良だった。両手にはパンパンになった買い物袋のようなものを持っている。

「お?もう起きておったのか~。寂しかったじゃろう?」

 由良は買い物袋を、置くと縷亜の元へと歩み寄ってきて、彼のことをひょいと抱き上げた。

 そしてあやすようにしながら部屋の中を歩いていると、由良はふと立ち止まり、あることを思い出した。

「そういえばお主の名を決めておらんかったのぉ~。」

 縷亜のことを高く抱き上げ、彼の瞳をじっと見つめながら由良は言った。

「う~む、何がいいかのぉ~。」

 うむむ……と思い悩む由良に、縷亜は精一杯の声を出して訴えかけた。

「う~あっ!!」

「むぉっ!?な、なんじゃ?う、うあとな?」

 由良の言葉に縷亜は首を横に振った。

「う、う~……りゅあっ!!」

 舌足らずな言葉でなんとか自分の名前を伝えようとする。すると、由良は……。

「りゅあ?…………ルア……もしやルアと言いたいのかの?」

「う~!!」

 舌足らずな言葉を深く探って縷亜が言いたかった名を当てた由良。そんな彼女に縷亜は大きく頷いた。

「お~お~、ルアが良いと申すか?よもや、ややこが自分の名を主張するとはのぉ~。珍しいこともあるものじゃ。」

 そして、由良は縷亜のことをぎゅっと抱き締めると、ポンポン……と優しく背中を撫でながら言った。

「今日からお主の名はじゃ。そしてわしが、ルアの母じゃ。」

 こうして、縷亜はこの世界でも再びという名を手にしたのだった。

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