もんむすッ!めたもるふぉ~ぜ☆~世界に♂はボク一人!?~

しゃむしぇる

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第一章 転生そして成長

第4話 ピンチ!?

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 そしてルアが新たな世界に生を受けてから、八年の月日が流れた。

「はぁっ!!」

 勢いのある掛け声とともに振り下ろされた剣によって、一匹の魔物が地に伏した。剣を振り下ろしたのは、この世界で成長を遂げたルアだ。

 容姿は前世同様、相変わらず幼い。変わったところと言えば、眼の色が若干赤くなり、髪の色が混じりっけ一つない純白の白髪はくはつになったところぐらいだ。
 それも相まって、男の子と自分で言われなければ、彼のことを初めて見る人には女の子と見間違われてしまう。

 しかし、それはそれで今の彼にはある意味都合が良いとも言える。

 そして彼は成長した後、クロロの指導の下剣の腕を磨き、魔物を討伐して日々お金を稼いでいた。

「お~……ようやく様になって来たねルアちゃん?」

「あっ、クロロさん。」

 魔物を討伐した彼の後ろからクロロが顔を出した。

「見てください!!ボク一人でもゴブリンを倒せるようになったんです。」

「うんうん、ルアちゃんが成長してくれてお姉ちゃんも嬉しいぞ~。」

 わしゃわしゃとクロロはルアの頭を撫でる。

「でも、一匹倒したからって油断しちゃ駄目だよ?」

「えっ?」

 にっこりと微笑み、ルアのことを褒めながらもクロロは腰から短剣を一本抜いてルアの背後に向かって投げつけた。

「ギャッ…………。」

 すると、短い断末魔がルアの背後から聞こえてきた。

 ルアが恐る恐る後ろを振り返ると、そこにはこめかみにずっぷりと深く短剣がめり込んだゴブリンが倒れていた。

「あ、ありがとうございます。」

「いいのいいの~、でも今度からは気を付けるんだよ?ゴブリンはこうやって一匹で現れることはまずないからさ。」

 クロロは、ゴブリンのこめかみに突き刺さった短剣を引っこ抜くと、刀身にべっとりと付着した紫色の血をぬぐった。

「さてっと、まだ体力は残ってる?今日はもうちょっと倒さないといけないんだけど……。」

「大丈夫です!!」

「そっか、流石男の子~体力あるねぇ~。」

 ルアのことを男の子だと知るクロロは、少しからかうような口草で言った。

「だっ……駄目ですよクロロさん!!ボクが男の子って知られたら……。」

「にひひ~ごめんごめん。さっ、次行こ~っ!!」

「あっ!!も~っ……。」

 いたずらに笑いながら、クロロはルアの手を引いて深い森の奥へと足を進めた。

 その道中、クロロとルアは何匹かゴブリンを狩りつつ、さらに奥へ……奥へと歩みを進めた。

 そしていよいよ森の最奥付近にたどり着くと、突然クロロはルアの口を押さえ近くの茂みに飛び込んだ。

「む、むぐっ!?」

「し~っ……息をひそめて。」

 クロロに言われた通りにルアが息をひそめていると、彼女たちの横を大勢のゴブリンが通り過ぎて行った。
 ゴブリンたちが通り過ぎて行ったのを確認してからクロロはルアの口から手を離した。

「ふぅ、行った……ね。」

「なんであんなにゴブリンが……。」

「わからない。でも、あいつらの後を追っかけて行けば何かわかるかも。……ルアちゃん、怖かったら帰っててもいいよ?ここからはちょっと危なさそう。」

 そうクロロがルアの身を案じて言うが……ルアは首を横に振った。

「ぼ、ボクも行くよ!!ボクだって倒せるもん……。」

「そっか、それじゃあお姉さんの後ろにしっかり着いてきてね。絶対に離れちゃダメだよ?」

「うん!!」

 クロロに言われた通りにルアは彼女の後ろをぴったりと着いて行く。そしてゴブリンたちの行列の後をつけていくとそこには……。

「うわ、これゴブリンの村だ。」

 ゴブリンたちの行列が入っていったのは、原始時代を彷彿とさせるような造りの簡素な家が立ち並ぶ集落だった。

 クロロ曰く、ここは彼らの村らしい。

「どおりで最近この辺でゴブリンたちが活発になってると思った。そういうことだったんだ。」

「ど、どうするの?」

「こんな町の近くに村なんか作られちゃたまったもんじゃないからね。私が何とかしてみる……。ルアちゃんはここにいて?」

「えっ……クロロさん!!」

 バッ……と茂みを飛び出したクロロは、腰に提げていた二本の短剣を引き抜きゴブリンの村へと突っ込んでいった。
 その様子を茂みから見ていたルアは、思わずポツリと声をこぼした。

「す、すごい……。」

 ルアがそうこぼしてしまったのも当然で、クロロは単騎だというのに数十匹以上いるゴブリン達を圧倒しているのだ。
 そして最初のうちは何十匹もいたゴブリンがあっという間にクロロの手によって駆除され、終わりが見えてきたその時だった。

 ずん……ずん……。

「な、なに?」

 突然辺りの地面が揺れ始め、それに怯えた鳥たちが一斉に羽ばたいていく。そして、クロロの前にその揺れを起こしている犯人が姿を現した。

 筋骨隆々で赤い肌を持つ巨大な体のオーガだ。

「はっは~ん、こいつらのボスはお前だね?」

 チャキ……と手に持つ二つの短剣を構えなおすと、クロロは迷いなくオーガの頸動脈に向かって切りかかった。

 ……が、しかし…………。

 カキンッ……!!

「んっ……にゃっ!?」

 勢いよく切りかかったクロロだったが、その短剣はオーガの分厚い筋肉を貫くことができずにぽっきりと折れてしまう。

「ガアアァァァァッ!!!!」

「くぅっ……んにゃあぁぁぁっ!?!?」

 オーガの太い腕から繰り出される一撃がクロロを捉え、クロロは大きく吹き飛ばされてしまう。

「くっ……クロロさん!!」

 思わず立ち上がって声をあげてしまったルア、そんな彼とオーガの目が合ってしまった。そしてオーガは彼を次の標的に定めたようだ。

「あ、あぁ……。」

 ずんずんと地面を揺らしながら近づいてくるオーガ。その気迫にルアは腰を抜かして動けなくなってしまった。そんなルアに容赦なくオーガは丸太のような腕で拳を振り下ろした。

「~~~ッ!!」

 ルアに最大にピンチが迫った時……時が、止まった。

 そして……。

「はぁ~い?ボクちゃん元気にしてたかしら~?」

「…………えっ?レト……さん?」

 時が止まった空間で彼の前に現れたのは、彼のことをこの世界に転生させた張本人の自称野良女神のレトだった。
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