16 / 200
第一章 龍の料理人
第15話
しおりを挟む
カミルに力の制御の方法を教えてもらってから数分後……ようやく普段と同じように生活できるぐらいには力を制御できるようになった。
日本にいた頃は力が強くなることは料理の道を歩む上で良いことだと思っていたが……まさか上がり幅がここまで大きいと制御に苦労することになるなんて思ってもいなかった。
「まぁそのぐらいで大丈夫じゃろ?」
「大丈夫そうだな。普段通りに戻れたって感じだ。」
「それは何よりじゃ。っと、さて……力の制御もできるようになったようじゃし、そろそろ街へ行くか?」
「あぁ行こう。時間は待ってはくれないからな。」
そしてカミルとともに外へと出た私は、ドラゴンの姿に戻ったカミルに抱えられ空へと飛び上がる。
街へ向かって飛んでいる最中、私は気になっていたことをカミルに問いかけることにした。
「なぁカミル、一つ聞いてもいいか?」
「ん~?なんじゃ~?」
「この体……半分人間を辞めていて魔族に近いようなものって言ってたよな?ってことは……。」
「うむ、魔族の街に入っても怪しまれることはまず無いじゃろうな。見た目が人間に近い魔族なんぞゴロゴロおる。」
じゃあ好きなだけ買い物ができるってことじゃないか。最高か?
一人ワクワクとした気持ちを押さえられずにいると、私の気持ちを読み取ったかのようにカミルが言った。
「じゃが、妾から離れるようなことはするでないぞ~?」
「わかってるさ、分は弁えてるよ。」
「それなら良いのじゃ~。」
うんうんと満足そうにカミルは頷く。
これではまるで私が子供のように扱われているようだな。こう……見た目的にも人間に近い姿になったカミルは子供っぽく見えるが、どうにもこういう風に大きなドラゴンの姿になると面倒見が良い性格が災いして、急に母親っぽさが滲み出てくる。
まぁ……彼女から見たら私はまだまだ子供という認識では間違いなさそうだけどな。
「そういえば……お金は持ってきたのか?」
「もちろんあるぞ~。これがないと買い物ができないからの~。それに、前にも言ったが金なら腐るほどある。好きなだけ食い物なり、なんなりと買うがよい。」
腐るほど金がある……か。そんな言葉をこの耳で二度も聞くことになるとはな。
……そういえばこの世界の通貨のシステムってどうなってるんだ?日本みたいに紙幣や硬貨とかがあったりするのか?
まぁ、それも街に着けばわかることか。
そんなことを思っていると上からカミルの声が聞こえた。
「ほれ、ミノル。見えてきたぞ。」
「おっ?あれか……。」
カミルが向かっている先には、そこそこ大きな街が見えた。
「そろそろ降りるのじゃ~。」
そして徐々に高度を落とし、私達は街の入り口の前に降り立った。
すると……。
「か、カミル様がいらっしゃったぞ~!!」
「お前ら道を開けろッ!!焼き殺されるぞ!!」
等々カミルを畏怖するような様々な声が上がり、街の入り口の中央から人が消えた。
……もっと正確に言うのであれば、道の端っこで頭を垂れて皆ひれ伏している。
「……もしかしてカミルが街に来たくなかった理由って……。」
「はぁ~まぁこういうことじゃ。……一人で来ると気まずくなって仕方がないのじゃが、今回はお主がおるからの。幾分か気が楽じゃ。」
大きくため息を吐きながらもカミルは街に入りやすいように、いつもの人の姿に変わる。
「ほれ、ミノル行くぞ。」
「あ、あぁ……。」
カミルに差し伸べられた手を取り、街の中へと入る。さっきまで街を歩いていた魔族の人たちはみんな道の端にひれ伏してしまっているため、私とカミル以外に道を歩く人はいない。
これはカミルが街に来たくなかった理由もわかる気がする。兎に角気まずい。
カミルに導かれるがまま歩いていると、道端からこそこそと小さな声で話す声が耳に入った。
「あ、あの魔族、カミル様の従者かしら?」
「そうかも……でもカミル様って魔族嫌いっていう話じゃなかった?」
等々、カミルのことだけでなく私の事も気になっているようだ。そこかしこから私が何者なのか~……とかそういう類いの話が聞こえてくる。
そんな声に耳を傾けていると、前を歩くカミルがうんざりしたような表情を浮かべながら言う。
「陰話など気にするだけ無駄じゃ。ま、慣れないうちはどうしても気になると思うがの。」
「いや、大丈夫だ。そういうのは慣れてる。」
エデンで働いていた頃に散々いろんな陰口は言われてたからな。意外にもそういう陰口……というのは聞きたくない、聞かせたくないという意に反して、案外聞こえてくるものだ。
「む、そうか……。っとそろそろ着くぞ。」
そして、カミルはある店の前で歩みを止めた。
「ここじゃ。」
「ここは……いったい。」
その店の看板に目を通したが……
「よ、読めん。何て書いてあるんだ?」
看板には見たことがない文字が書いてあった。とてもじゃないが……読めない。
これがこの世界の言語ってやつなのか?……いや待てよ?文字は読めないのに何でカミルや、この魔族の人達の話してる言葉はわかるんだ?
理屈がわからずに頭を悩ませていると、親切にもカミルが何て書いてあるのか教えてくれた。
「これにはライネル商会と書いてあるのじゃ。」
「ライネル商会?」
「うむ、この街の名前がライネルと言うのじゃが……この店はこの街の全ての物流を牛耳っておる。故にここにはこの街の全てがあるというわけじゃ。」
「全て……か。それなら期待できそうだな。」
「じゃろ?さ、入るのじゃ~。」
意気揚々とライネル商会という店の扉を開き、カミルはズカズカと中へ入っていく。私もそれに続き中へと入るのだった。
日本にいた頃は力が強くなることは料理の道を歩む上で良いことだと思っていたが……まさか上がり幅がここまで大きいと制御に苦労することになるなんて思ってもいなかった。
「まぁそのぐらいで大丈夫じゃろ?」
「大丈夫そうだな。普段通りに戻れたって感じだ。」
「それは何よりじゃ。っと、さて……力の制御もできるようになったようじゃし、そろそろ街へ行くか?」
「あぁ行こう。時間は待ってはくれないからな。」
そしてカミルとともに外へと出た私は、ドラゴンの姿に戻ったカミルに抱えられ空へと飛び上がる。
街へ向かって飛んでいる最中、私は気になっていたことをカミルに問いかけることにした。
「なぁカミル、一つ聞いてもいいか?」
「ん~?なんじゃ~?」
「この体……半分人間を辞めていて魔族に近いようなものって言ってたよな?ってことは……。」
「うむ、魔族の街に入っても怪しまれることはまず無いじゃろうな。見た目が人間に近い魔族なんぞゴロゴロおる。」
じゃあ好きなだけ買い物ができるってことじゃないか。最高か?
一人ワクワクとした気持ちを押さえられずにいると、私の気持ちを読み取ったかのようにカミルが言った。
「じゃが、妾から離れるようなことはするでないぞ~?」
「わかってるさ、分は弁えてるよ。」
「それなら良いのじゃ~。」
うんうんと満足そうにカミルは頷く。
これではまるで私が子供のように扱われているようだな。こう……見た目的にも人間に近い姿になったカミルは子供っぽく見えるが、どうにもこういう風に大きなドラゴンの姿になると面倒見が良い性格が災いして、急に母親っぽさが滲み出てくる。
まぁ……彼女から見たら私はまだまだ子供という認識では間違いなさそうだけどな。
「そういえば……お金は持ってきたのか?」
「もちろんあるぞ~。これがないと買い物ができないからの~。それに、前にも言ったが金なら腐るほどある。好きなだけ食い物なり、なんなりと買うがよい。」
腐るほど金がある……か。そんな言葉をこの耳で二度も聞くことになるとはな。
……そういえばこの世界の通貨のシステムってどうなってるんだ?日本みたいに紙幣や硬貨とかがあったりするのか?
まぁ、それも街に着けばわかることか。
そんなことを思っていると上からカミルの声が聞こえた。
「ほれ、ミノル。見えてきたぞ。」
「おっ?あれか……。」
カミルが向かっている先には、そこそこ大きな街が見えた。
「そろそろ降りるのじゃ~。」
そして徐々に高度を落とし、私達は街の入り口の前に降り立った。
すると……。
「か、カミル様がいらっしゃったぞ~!!」
「お前ら道を開けろッ!!焼き殺されるぞ!!」
等々カミルを畏怖するような様々な声が上がり、街の入り口の中央から人が消えた。
……もっと正確に言うのであれば、道の端っこで頭を垂れて皆ひれ伏している。
「……もしかしてカミルが街に来たくなかった理由って……。」
「はぁ~まぁこういうことじゃ。……一人で来ると気まずくなって仕方がないのじゃが、今回はお主がおるからの。幾分か気が楽じゃ。」
大きくため息を吐きながらもカミルは街に入りやすいように、いつもの人の姿に変わる。
「ほれ、ミノル行くぞ。」
「あ、あぁ……。」
カミルに差し伸べられた手を取り、街の中へと入る。さっきまで街を歩いていた魔族の人たちはみんな道の端にひれ伏してしまっているため、私とカミル以外に道を歩く人はいない。
これはカミルが街に来たくなかった理由もわかる気がする。兎に角気まずい。
カミルに導かれるがまま歩いていると、道端からこそこそと小さな声で話す声が耳に入った。
「あ、あの魔族、カミル様の従者かしら?」
「そうかも……でもカミル様って魔族嫌いっていう話じゃなかった?」
等々、カミルのことだけでなく私の事も気になっているようだ。そこかしこから私が何者なのか~……とかそういう類いの話が聞こえてくる。
そんな声に耳を傾けていると、前を歩くカミルがうんざりしたような表情を浮かべながら言う。
「陰話など気にするだけ無駄じゃ。ま、慣れないうちはどうしても気になると思うがの。」
「いや、大丈夫だ。そういうのは慣れてる。」
エデンで働いていた頃に散々いろんな陰口は言われてたからな。意外にもそういう陰口……というのは聞きたくない、聞かせたくないという意に反して、案外聞こえてくるものだ。
「む、そうか……。っとそろそろ着くぞ。」
そして、カミルはある店の前で歩みを止めた。
「ここじゃ。」
「ここは……いったい。」
その店の看板に目を通したが……
「よ、読めん。何て書いてあるんだ?」
看板には見たことがない文字が書いてあった。とてもじゃないが……読めない。
これがこの世界の言語ってやつなのか?……いや待てよ?文字は読めないのに何でカミルや、この魔族の人達の話してる言葉はわかるんだ?
理屈がわからずに頭を悩ませていると、親切にもカミルが何て書いてあるのか教えてくれた。
「これにはライネル商会と書いてあるのじゃ。」
「ライネル商会?」
「うむ、この街の名前がライネルと言うのじゃが……この店はこの街の全ての物流を牛耳っておる。故にここにはこの街の全てがあるというわけじゃ。」
「全て……か。それなら期待できそうだな。」
「じゃろ?さ、入るのじゃ~。」
意気揚々とライネル商会という店の扉を開き、カミルはズカズカと中へ入っていく。私もそれに続き中へと入るのだった。
0
あなたにおすすめの小説
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
異世界で貧乏神を守護神に選ぶのは間違っているのだろうか?
石のやっさん
ファンタジー
異世界への転移、僕にはもう祝福を受けた女神様が居ます!
主人公の黒木翼はクラスでは浮いた存在だった。
黒木はある理由から人との関りを最小限に押さえ生活していた。
そんなある日の事、クラス全員が異世界召喚に巻き込まれる。
全員が女神からジョブやチートを貰うなか、黒木はあえて断り、何も貰わずに異世界に行く事にした。
その理由は、彼にはもう『貧乏神』の守護神が居たからだ。
この物語は、貧乏神に恋する少年と少年を愛する貧乏神が異世界で暮す物語。
貧乏神の解釈が独自解釈ですので、その辺りはお許し下さい。
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
追放された万能聖魔導師、辺境で無自覚に神を超える ~俺を無能と言った奴ら、まだ息してる?~
たまごころ
ファンタジー
王国一の聖魔導師アレンは、嫉妬した王子の策略で「無能」と断じられ、国を追放された。
辿り着いた辺境の村で、アレンは「ただの治癒師」として静かに暮らそうとするが――。
壊れた街を再生し、疫病を一晩で根絶し、魔王の眷属まで癒しながら、本人はただの村医者のつもり。
その結果、「あの無能が神を超えた」と噂が広がり、王と勇者は頭を抱えることに。
ざまぁとスカッとが止まらない、無自覚最強転生ファンタジー開幕!
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
異世界で「節分」始めました。~聖なる大豆と恵方巻で、痩せた荒野を最強の農園国家に作り替えます~
黒崎隼人
ファンタジー
目覚めればそこは、草木も生えぬ死の荒野だった。
農家の息子・ハルトが手にしたのは、たった一粒の干からびた大豆と、謎のスキル【節分】。
「鬼はぁ、外ォッ!」
その掛け声と共に放たれた豆は、魔物(赤鬼)を一撃で浄化し、痩せた土地を肥沃な大地へと変える規格外の力を持っていた!?
無限に増えるSSSランクの聖なる大豆。一瞬で育つ野菜たち。
そしてスキルで生み出した「恵方巻」の美味しさは、行き倒れていた元エリート女騎士・セシリアの胃袋を完全に掴んでしまい……?
豆の精霊マメゾウや、グルメなギルドマスターを巻き込んで、ハルトの異世界農業生活が今、始まる。
豆まきで世界を救い、美味しい日本食で仲間を笑顔にする、ほのぼの農園ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる