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第二章 平和の使者
第131話
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三国が集まる食事会までの間、普段と変わらない毎日を過ごしていたある時……。
「ん?ノノ、どうかしたのか?」
料理を作っている最中にノノが自分の包丁をじっと見つめていた。さっきから何かを確かめるように野菜を切っていたから、何か違和感を感じているのかもしれない。
「あ……お師様。ちょっと包丁が切れないんです。」
「あ~……その包丁買ってからしばらく経つもんな。そろそろ刃が無くなってきたか。」
包丁というのは買ったときはギラギラに研いであるから、硬い野菜でも、魚でも肉でも良く切れるのだが……。
それは一時的なもので、使うにつれて包丁の刃が丸くなっていき、どんどん切れ味が悪くなっていく。
それでもノノの包丁はだいぶ持った方だけどな。普通なら2、3回ぐらい使ったら切れなくなってくる。
「じゃあ今日は調理を終えた後、一緒に包丁を研ぐか。それを初めて使った時の切れ味覚えてるか?」
「はいです!!」
「良し、じゃあ今はそれでちょっと我慢してくれ。」
◇
そしていつも通りカミル達に料理を振る舞った後、私はノノに包丁の研ぎ方を教えることにした。
「さて、じゃあ先ずは……切れなくなった包丁の刃に指を当ててみてくれ。……あ、絶対に包丁を引いたり指を縦に動かしたりするなよ?切れなくなった包丁とはいえ、引けば包丁はある程度切れるからな。」
「は、はい。」
ノノが自分の包丁の刃に指を当てたのを見て、私は次の指示を出す。
「そしたら、こうやって……指の腹で横に擦るようにしてみるんだ。それで刃がツルツルとしていたら、包丁の刃が無くなってる証拠だから。」
逆にザラザラとしていたら包丁の刃はまだ現役であることを示している。
「ツルツルしてます!!」
「それじゃあ刃が丸くなってるから研がないといけない。私のこの包丁を触ってみてくれ。」
私は昨日研いだばかりの包丁をノノに貸した。そしてまた確かめるように刃を触ってみたノノは驚いた表情を浮かべた。
「すごいザラザラ……。」
「それが切れる包丁だ。今からノノの包丁をこんな風になるまで研ぐからな。」
ま、本当は包丁を作ってるところに行って研いでもらうのが一番良いんだがな……。
「さて、包丁を研ぐときに準備するのは……こいつだ。」
私は水の中から三種類の砥石を取り出してノノに見せた。
「石?……ですか?」
「そう、ただの石じゃないけどな。これは砥石……って言って包丁とか刃物を研ぐ専用の石だ。三種類あるのには理由があって、それぞれ粗さが違うんだ。」
砥石には主に三種類の粗さの石がある。一番粗い荒砥と呼ばれる物と、中間ぐらいの粗さの中砥、そして一番細かい仕上げ砥。
それぞれの説明をノノにしてからいよいよ、研ぎ方を教える。
「先ずはこう……包丁を刃の角度にあわせて砥石に合わせる。そしてピッタリと刃を砥石につけて上に……下に、大きく動かすんだ。今研いでる包丁は両面同じ回数研がないといけないから、何往復したか覚えておくんだぞ?」
「はいです。」
私に言われた通り、包丁を研ぎ始めるとシュリシュリと音が部屋に響く。
「良し、次は裏面だ。裏面も同じように研いでみろ。」
そして裏面を研ぎ終えると、荒砥から中砥に切り替え、最後に仕上げ砥を使って包丁を研いだ。
「そんなもんでいいかな。そしたら、包丁を良く洗って……もう一回刃を触ってみてくれ。」
研いだ後の包丁を触ったノノは喜びに満ちた表情を浮かべ、私の方を向いた。
「ザラザラになってます!!」
「うん、なら良し。……すぐに何かを試し切りしたい気持ちは大いに分かるが、それは明日にとっておくんだぞ?」
そわそわと今にも何かを切りたそうにするノノに、私は一つ釘を刺した。
「あぅっ!?ど、どうしてです?」
「研いだ直後の包丁ってのは、金属臭さが食材に移るんだ。だから研いだら基本は一晩ぐらいは、その包丁は使わないでおくんだよ。」
「そ、そうなんですか……。」
今すぐに切れ味を試せなくて、しゅん……とするノノ。耳もペタンとなって、尻尾もだらんと垂れ下がってしまった。
「ま、そう落ち込むことはないさ。明日になればまた、いい切れ味で野菜なり肉なり切れるんだからさ。楽しみってやつは取っておいたほうが後の喜びも大きくなるんだぞ?」
「わかりました!!明日まで我慢します。」
「それでいい。じゃあ、今日はもう包丁を片付けてゆっくりしよう。」
最近色々なことに手を出していたから、今日はゆっくり風呂にでも浸かって疲れを癒そうか。
そして風呂に浸かり、疲れを癒していた時だった……
ギギギギギギィィィ~~~!!
突然黒板を爪で引っ掻いたような音が城全体に響き渡った。嫌な予感を感じていた私はすぐに厨房へと向かう。するとそこには……
「お?ミノル、この石借りておったぞ~。うむうむ、爪研ぎにちょうど良いのじゃ~。」
ギギギギギギィィィ~~~!!
この嫌な音の正体はカミルが自分の爪を研ぐ音だった。
それによって砥石が一つダメになったのは言うまでもない。
「ん?ノノ、どうかしたのか?」
料理を作っている最中にノノが自分の包丁をじっと見つめていた。さっきから何かを確かめるように野菜を切っていたから、何か違和感を感じているのかもしれない。
「あ……お師様。ちょっと包丁が切れないんです。」
「あ~……その包丁買ってからしばらく経つもんな。そろそろ刃が無くなってきたか。」
包丁というのは買ったときはギラギラに研いであるから、硬い野菜でも、魚でも肉でも良く切れるのだが……。
それは一時的なもので、使うにつれて包丁の刃が丸くなっていき、どんどん切れ味が悪くなっていく。
それでもノノの包丁はだいぶ持った方だけどな。普通なら2、3回ぐらい使ったら切れなくなってくる。
「じゃあ今日は調理を終えた後、一緒に包丁を研ぐか。それを初めて使った時の切れ味覚えてるか?」
「はいです!!」
「良し、じゃあ今はそれでちょっと我慢してくれ。」
◇
そしていつも通りカミル達に料理を振る舞った後、私はノノに包丁の研ぎ方を教えることにした。
「さて、じゃあ先ずは……切れなくなった包丁の刃に指を当ててみてくれ。……あ、絶対に包丁を引いたり指を縦に動かしたりするなよ?切れなくなった包丁とはいえ、引けば包丁はある程度切れるからな。」
「は、はい。」
ノノが自分の包丁の刃に指を当てたのを見て、私は次の指示を出す。
「そしたら、こうやって……指の腹で横に擦るようにしてみるんだ。それで刃がツルツルとしていたら、包丁の刃が無くなってる証拠だから。」
逆にザラザラとしていたら包丁の刃はまだ現役であることを示している。
「ツルツルしてます!!」
「それじゃあ刃が丸くなってるから研がないといけない。私のこの包丁を触ってみてくれ。」
私は昨日研いだばかりの包丁をノノに貸した。そしてまた確かめるように刃を触ってみたノノは驚いた表情を浮かべた。
「すごいザラザラ……。」
「それが切れる包丁だ。今からノノの包丁をこんな風になるまで研ぐからな。」
ま、本当は包丁を作ってるところに行って研いでもらうのが一番良いんだがな……。
「さて、包丁を研ぐときに準備するのは……こいつだ。」
私は水の中から三種類の砥石を取り出してノノに見せた。
「石?……ですか?」
「そう、ただの石じゃないけどな。これは砥石……って言って包丁とか刃物を研ぐ専用の石だ。三種類あるのには理由があって、それぞれ粗さが違うんだ。」
砥石には主に三種類の粗さの石がある。一番粗い荒砥と呼ばれる物と、中間ぐらいの粗さの中砥、そして一番細かい仕上げ砥。
それぞれの説明をノノにしてからいよいよ、研ぎ方を教える。
「先ずはこう……包丁を刃の角度にあわせて砥石に合わせる。そしてピッタリと刃を砥石につけて上に……下に、大きく動かすんだ。今研いでる包丁は両面同じ回数研がないといけないから、何往復したか覚えておくんだぞ?」
「はいです。」
私に言われた通り、包丁を研ぎ始めるとシュリシュリと音が部屋に響く。
「良し、次は裏面だ。裏面も同じように研いでみろ。」
そして裏面を研ぎ終えると、荒砥から中砥に切り替え、最後に仕上げ砥を使って包丁を研いだ。
「そんなもんでいいかな。そしたら、包丁を良く洗って……もう一回刃を触ってみてくれ。」
研いだ後の包丁を触ったノノは喜びに満ちた表情を浮かべ、私の方を向いた。
「ザラザラになってます!!」
「うん、なら良し。……すぐに何かを試し切りしたい気持ちは大いに分かるが、それは明日にとっておくんだぞ?」
そわそわと今にも何かを切りたそうにするノノに、私は一つ釘を刺した。
「あぅっ!?ど、どうしてです?」
「研いだ直後の包丁ってのは、金属臭さが食材に移るんだ。だから研いだら基本は一晩ぐらいは、その包丁は使わないでおくんだよ。」
「そ、そうなんですか……。」
今すぐに切れ味を試せなくて、しゅん……とするノノ。耳もペタンとなって、尻尾もだらんと垂れ下がってしまった。
「ま、そう落ち込むことはないさ。明日になればまた、いい切れ味で野菜なり肉なり切れるんだからさ。楽しみってやつは取っておいたほうが後の喜びも大きくなるんだぞ?」
「わかりました!!明日まで我慢します。」
「それでいい。じゃあ、今日はもう包丁を片付けてゆっくりしよう。」
最近色々なことに手を出していたから、今日はゆっくり風呂にでも浸かって疲れを癒そうか。
そして風呂に浸かり、疲れを癒していた時だった……
ギギギギギギィィィ~~~!!
突然黒板を爪で引っ掻いたような音が城全体に響き渡った。嫌な予感を感じていた私はすぐに厨房へと向かう。するとそこには……
「お?ミノル、この石借りておったぞ~。うむうむ、爪研ぎにちょうど良いのじゃ~。」
ギギギギギギィィィ~~~!!
この嫌な音の正体はカミルが自分の爪を研ぐ音だった。
それによって砥石が一つダメになったのは言うまでもない。
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