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4話 御陵家の掟 第一条『憂を幸せにする』
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玄関を開けた瞬間、力強い気配。
「おかえりいいいぃぃぃ憂ちゃーーーん!!」
「わっ!?葉月姉!?」
制服のままの葉月が、その場でダッシュしてきて、そのまま憂にタックルの勢いで抱きついてきた。
「ひゃっ!?まだ靴脱いでないから危ないってばぁ!」
「ああ~~~っ!!尊い!憂ちゃんの帰宅、尊い!! 離れませんっ!離すわけがありませんっ!!」
「いつもよりハグ圧が強い!!」
葉月はぎゅ~~っと憂を抱きしめたまま、鼻息荒くスリスリとほっぺを寄せる。
まるで、長旅から帰還した子犬を過剰に愛でる飼い主のように。
「それにしても……手、つめたっ!? 憂ちゃん、冬山で遭難してきたの!?氷の妖精なの!?」
「なんなのその極論!!」
葉月は憂の手を取ると、自分の胸元でサンドイッチ状態にしてあっため始めた。
「よし、このお姉ちゃんボディでポカポカにしてあげようねぇ~! お姉ちゃんストーブ、稼働開始っ!!」
「ストーブ名乗らないでよ…!」
「ふっふっふ…好き勝手に千秋ちゃんに温められて
…帰ってきたらお姉ちゃんが冷えきった体をこうして温めなおしてあげるんだからっ!!」
「え、見てたの?」
「ぜ~~~んぶ見てましたとも!!
駅前でふたり、手ッ!つないでましたよねッ!?
ああもう、お姉ちゃん嫉妬で凍死するかと思った!!」
「凍死って!!」
「だから取り戻すのっ! 失われたスキンシップを!ここで!!今!!!」
「やめっ!く、くすぐったいってばっ!」
葉月は憂の両手を包み込んだまま、ぐりぐりと頬に押し当てながら、とろけそうな笑みを浮かべている。
「はぁぁ…憂ちゃんの手……ちべたい…。
こんなに冷たくなるまで千秋ちゃんと過ごして……
くぅううっ……なんて尊いの……」
「尊いって何!?」
「お姉ちゃんが温めてる間は、ずーっと一緒にいてね?」
憂は苦笑しながら、そっと葉月の背中に手を回した。
「……ありがと。あったかい」
「むふふっ♪でしょでしょ♪ あたしわね、憂ちゃん専属“手の温め係”だからね!」
「役職そんなのでいいの?」
「役職もう一個作った!“心の温め係”も兼任します!」
「……葉月姉ぇのそういうとこ好きだよ」
「……えっ!! 急にそんなこと言うと……
お姉ちゃん、溶けてなくなっちゃう…!!」
「溶けないで!!」
その時、葉月は何かを思い出したようにパッと顔を上げた。
「そうだ!寒くなってきたし……憂ちゃん!!今日のお夕飯は――」
「またマグロの頭とか言わないよね?」
「言いません!!懲りました!!」
「よかった~~!!」
「代わりにね…… あったか~~~いお鍋にしようと思いますっ!」
「お鍋!?賛成!!」
「憂ちゃんの好きな具材、全部入れちゃうよ! お肉も野菜も、ぽっかぽかにしてあげるっ」
「葉月姉の鍋、世界一なんだから!」
「きたきたきた~~その言葉っ!! 憂ちゃんから世界一もらいましたーっ!!」
葉月はテンション高く、憂をむぎゅむぎゅ揺さぶりながらほっぺをすり寄せ続ける。
「ごほっ…っ!揺らさないで…!」
「だって嬉しいんだもん!!受験前で大変な時期だからこそ、
憂ちゃんの笑顔を守るのが、お姉ちゃんの使命なの!」
その言葉に、憂は目を瞬かせ――
ほんのりと胸の奥が温かくなった。
「……うん。帰ってきてよかった」
「帰ってきたら絶対あったかいからね!それが我が御陵家の掟!!」
「そんな掟が!?」
「今つくった!! 第一条『憂ちゃんを毎日幸せにすること』!!」
「葉月姉ぇ…無茶苦茶…」
「むちゃでもなんでも、憂ちゃんのためならやりますっ!!」
葉月は鼻息荒く、両手を広げてアピールした。
「さぁ!お姉ちゃんの温もりを補充したら、いっしょにお鍋の準備しよっか! 今日は――」
「豪華なやつだよね?」
「もちろん!! マグロの頭は……やめておくね!」
「やめて!!」
憂の笑い声と、葉月の明るい声。
そこには誰にも壊せない“家のあたたかさ”があった。
冬の夜が深くなる前に、ふたりの大切な時間が、の湯気よりも熱く家中に満ちていった。
「おかえりいいいぃぃぃ憂ちゃーーーん!!」
「わっ!?葉月姉!?」
制服のままの葉月が、その場でダッシュしてきて、そのまま憂にタックルの勢いで抱きついてきた。
「ひゃっ!?まだ靴脱いでないから危ないってばぁ!」
「ああ~~~っ!!尊い!憂ちゃんの帰宅、尊い!! 離れませんっ!離すわけがありませんっ!!」
「いつもよりハグ圧が強い!!」
葉月はぎゅ~~っと憂を抱きしめたまま、鼻息荒くスリスリとほっぺを寄せる。
まるで、長旅から帰還した子犬を過剰に愛でる飼い主のように。
「それにしても……手、つめたっ!? 憂ちゃん、冬山で遭難してきたの!?氷の妖精なの!?」
「なんなのその極論!!」
葉月は憂の手を取ると、自分の胸元でサンドイッチ状態にしてあっため始めた。
「よし、このお姉ちゃんボディでポカポカにしてあげようねぇ~! お姉ちゃんストーブ、稼働開始っ!!」
「ストーブ名乗らないでよ…!」
「ふっふっふ…好き勝手に千秋ちゃんに温められて
…帰ってきたらお姉ちゃんが冷えきった体をこうして温めなおしてあげるんだからっ!!」
「え、見てたの?」
「ぜ~~~んぶ見てましたとも!!
駅前でふたり、手ッ!つないでましたよねッ!?
ああもう、お姉ちゃん嫉妬で凍死するかと思った!!」
「凍死って!!」
「だから取り戻すのっ! 失われたスキンシップを!ここで!!今!!!」
「やめっ!く、くすぐったいってばっ!」
葉月は憂の両手を包み込んだまま、ぐりぐりと頬に押し当てながら、とろけそうな笑みを浮かべている。
「はぁぁ…憂ちゃんの手……ちべたい…。
こんなに冷たくなるまで千秋ちゃんと過ごして……
くぅううっ……なんて尊いの……」
「尊いって何!?」
「お姉ちゃんが温めてる間は、ずーっと一緒にいてね?」
憂は苦笑しながら、そっと葉月の背中に手を回した。
「……ありがと。あったかい」
「むふふっ♪でしょでしょ♪ あたしわね、憂ちゃん専属“手の温め係”だからね!」
「役職そんなのでいいの?」
「役職もう一個作った!“心の温め係”も兼任します!」
「……葉月姉ぇのそういうとこ好きだよ」
「……えっ!! 急にそんなこと言うと……
お姉ちゃん、溶けてなくなっちゃう…!!」
「溶けないで!!」
その時、葉月は何かを思い出したようにパッと顔を上げた。
「そうだ!寒くなってきたし……憂ちゃん!!今日のお夕飯は――」
「またマグロの頭とか言わないよね?」
「言いません!!懲りました!!」
「よかった~~!!」
「代わりにね…… あったか~~~いお鍋にしようと思いますっ!」
「お鍋!?賛成!!」
「憂ちゃんの好きな具材、全部入れちゃうよ! お肉も野菜も、ぽっかぽかにしてあげるっ」
「葉月姉の鍋、世界一なんだから!」
「きたきたきた~~その言葉っ!! 憂ちゃんから世界一もらいましたーっ!!」
葉月はテンション高く、憂をむぎゅむぎゅ揺さぶりながらほっぺをすり寄せ続ける。
「ごほっ…っ!揺らさないで…!」
「だって嬉しいんだもん!!受験前で大変な時期だからこそ、
憂ちゃんの笑顔を守るのが、お姉ちゃんの使命なの!」
その言葉に、憂は目を瞬かせ――
ほんのりと胸の奥が温かくなった。
「……うん。帰ってきてよかった」
「帰ってきたら絶対あったかいからね!それが我が御陵家の掟!!」
「そんな掟が!?」
「今つくった!! 第一条『憂ちゃんを毎日幸せにすること』!!」
「葉月姉ぇ…無茶苦茶…」
「むちゃでもなんでも、憂ちゃんのためならやりますっ!!」
葉月は鼻息荒く、両手を広げてアピールした。
「さぁ!お姉ちゃんの温もりを補充したら、いっしょにお鍋の準備しよっか! 今日は――」
「豪華なやつだよね?」
「もちろん!! マグロの頭は……やめておくね!」
「やめて!!」
憂の笑い声と、葉月の明るい声。
そこには誰にも壊せない“家のあたたかさ”があった。
冬の夜が深くなる前に、ふたりの大切な時間が、の湯気よりも熱く家中に満ちていった。
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