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第1話 コウモリの生き血とジャーナリズム!
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「こ、この度魔界より転校してきました…黒森まどい、です…。一応、悪魔です。すみません…。す、好きな食べ物は、ヴァンシーの肋骨で…好きな飲み物は、コウモリの生き血です…。ふ、フヒっ。えっと、それで…」
美空ヶ丘学院中等部2年A組の空気が、一気に凍った。
出入りの業者のトラックの排気音が鮮明に聞こえるようになり、燦々と教室に差し込んでいた太陽光は翳り、さっきまでは心地よかったクーラーの冷風も肌を刺すようだった。
「えっと、私が好きなのは嘆きの谷のコウモリの生き血で…すごく綺麗な色で…あれ、どこいったかな…フヒっ、お、お待ちください…」
ボサボサ頭に濃いクマを作り、三白眼をひっきりなしにキョロキョロさせている彼女は、そう言うやいなや、スクールバッグを異様な勢いで漁り出した。
黒表紙にルーン文字が書かれたノートや、妙にキラキラ光る石のかけら、包帯の巻かれた歪なぬいぐるみなど、いかにもな物品がどんどん出てくる。
やがて彼女は、ドス黒い液体の入った牛乳瓶を取り出し、ドンと机に置いた。
「あった!!き、綺麗ですよね…も、もしよかったら、匂いも嗅いでみてください…!」
担任の伊藤は口を挟もうか逡巡し、結局何も言わずに口を閉じた。
テニス部の葛西は、友人と目を見開いて目配せしあった。
野球部の根岸は、口をぽかんと開けて彼女を食い入るように見つめた。
目の前の少女は、そんな空気に気づいていないのか、躊躇いなく言葉を続ける。
「えっと、や、休み時間などに声かけてくれたら…ヒヒヒっ、あっ、それと休日の趣味は深夜にお墓を見にいくことです…フヒっ、こ、こんな邪悪な魂ですが…、よろしくお願いします!」
この空気を作った張本人、黒森まどいはとびきりの笑顔…になり損なった、口角を思いっきり真横に引っ張り、上下に生え揃ったギザギザの歯を見せつける謎の表情で胸を張り…
「あ…あれ…なんかまずかったですかね?」
次の瞬間には、元の猫背に戻っていた。
──────そして放課後。
「超!最高のネタだぞ!鄙寺ァ!」
新聞部の部室に響き渡る声を張り上げたのは新聞部部長、巨大な黒縁メガネをかけ、短い髪を2つ結びにしている少女。
黒森と同じく2年A組の司馬こふでである。
「みんなあの転校生をつっついて遊びたいと思ってる!!あのよく分からない自称悪魔の設定を根掘り葉掘り聞いて、大いに笑い物にしたいと思ってるんだ!!これは我が新聞部の出番、早速インタビューするぞ!!」
丸めた原稿で埃の積もった机を叩いた司馬は、限界まで見開いた目を黒縁メガネの奥でギョロギョロさせ、鼻息荒くたった一人の部員に迫った。
低い身長と太い眉毛のせいで、その動きはどこかコミカルだ。
「…新聞部の出番というより、週刊誌の出番…というより、趣味の悪い晒し系YouTuberの出番って感じだけど。まあ、こふでがそうしたいなら良いと思う」
透明感すら感じさせる美しい薄茶色の長髪を弄りながら、新聞部副部長の鄙寺すすきが無気力に応える。
そして、すぐにさっきまで読んでいた付箋だらけの冊子に目を戻した。
「あなたがやろうとしてることは、当然下世話な行為だし、ただの厨二病をわざわざ拡散してやるなとは思うけど…」
鄙寺の口からは、薄幸の美少女然とした見た目には似合わない言葉が次々吐き捨てられていった。
「でもあの黒森って子、転校初日なのに誰にも話しかけられてないし…
まあ確かにあのバカみたいな厨二病真っ盛りの自己紹介の後でも、その後のコミュニケーション次第でリカバリーできるかもしれないけど…
ごく楽観的に考えれば、私たちがあの子を玩具にしようと大して影響ないと言えなくはない。」
「な、なんだよその言い方!?私はただ記者としてみんなが望む情報を提供しようとしてるだけだ!ジャーナリズムだジャーナリズム!」
こふでが不満げに太い眉を寄せる。
「事実を言ってるだけ…あなたのやりたいようにやればいい。だって」
大きなため息ののち、伏せられていた薄茶色の目が、不意に司馬の方をじっとりと見つめた。
「他の人なんてどうでもいい。私は、こふでと二人きりならそれでいい…別に、ここじゃなくても」
鄙寺はどこか熱っぽい表情で、机の上に置かれた司馬の手を握ろうと、じわじわと手を伸ばしていく。
「まあとにかく!明日の放課後は黒森を呼んでインタビューだ!!」
満面の笑顔を浮かべてガッツポーズをするこふで。鄙寺はさっきまで這い寄るように伸ばしていた手をサッと引っ込めた。
────────────
第1話、読んでいただきありがとうございます!!
・続きが気になる!
・厨二病全開のまどい面白い!
・新聞部たち酷くない!?
と思った方は、ぜひ♡とフォローお願いいたします!
美空ヶ丘学院中等部2年A組の空気が、一気に凍った。
出入りの業者のトラックの排気音が鮮明に聞こえるようになり、燦々と教室に差し込んでいた太陽光は翳り、さっきまでは心地よかったクーラーの冷風も肌を刺すようだった。
「えっと、私が好きなのは嘆きの谷のコウモリの生き血で…すごく綺麗な色で…あれ、どこいったかな…フヒっ、お、お待ちください…」
ボサボサ頭に濃いクマを作り、三白眼をひっきりなしにキョロキョロさせている彼女は、そう言うやいなや、スクールバッグを異様な勢いで漁り出した。
黒表紙にルーン文字が書かれたノートや、妙にキラキラ光る石のかけら、包帯の巻かれた歪なぬいぐるみなど、いかにもな物品がどんどん出てくる。
やがて彼女は、ドス黒い液体の入った牛乳瓶を取り出し、ドンと机に置いた。
「あった!!き、綺麗ですよね…も、もしよかったら、匂いも嗅いでみてください…!」
担任の伊藤は口を挟もうか逡巡し、結局何も言わずに口を閉じた。
テニス部の葛西は、友人と目を見開いて目配せしあった。
野球部の根岸は、口をぽかんと開けて彼女を食い入るように見つめた。
目の前の少女は、そんな空気に気づいていないのか、躊躇いなく言葉を続ける。
「えっと、や、休み時間などに声かけてくれたら…ヒヒヒっ、あっ、それと休日の趣味は深夜にお墓を見にいくことです…フヒっ、こ、こんな邪悪な魂ですが…、よろしくお願いします!」
この空気を作った張本人、黒森まどいはとびきりの笑顔…になり損なった、口角を思いっきり真横に引っ張り、上下に生え揃ったギザギザの歯を見せつける謎の表情で胸を張り…
「あ…あれ…なんかまずかったですかね?」
次の瞬間には、元の猫背に戻っていた。
──────そして放課後。
「超!最高のネタだぞ!鄙寺ァ!」
新聞部の部室に響き渡る声を張り上げたのは新聞部部長、巨大な黒縁メガネをかけ、短い髪を2つ結びにしている少女。
黒森と同じく2年A組の司馬こふでである。
「みんなあの転校生をつっついて遊びたいと思ってる!!あのよく分からない自称悪魔の設定を根掘り葉掘り聞いて、大いに笑い物にしたいと思ってるんだ!!これは我が新聞部の出番、早速インタビューするぞ!!」
丸めた原稿で埃の積もった机を叩いた司馬は、限界まで見開いた目を黒縁メガネの奥でギョロギョロさせ、鼻息荒くたった一人の部員に迫った。
低い身長と太い眉毛のせいで、その動きはどこかコミカルだ。
「…新聞部の出番というより、週刊誌の出番…というより、趣味の悪い晒し系YouTuberの出番って感じだけど。まあ、こふでがそうしたいなら良いと思う」
透明感すら感じさせる美しい薄茶色の長髪を弄りながら、新聞部副部長の鄙寺すすきが無気力に応える。
そして、すぐにさっきまで読んでいた付箋だらけの冊子に目を戻した。
「あなたがやろうとしてることは、当然下世話な行為だし、ただの厨二病をわざわざ拡散してやるなとは思うけど…」
鄙寺の口からは、薄幸の美少女然とした見た目には似合わない言葉が次々吐き捨てられていった。
「でもあの黒森って子、転校初日なのに誰にも話しかけられてないし…
まあ確かにあのバカみたいな厨二病真っ盛りの自己紹介の後でも、その後のコミュニケーション次第でリカバリーできるかもしれないけど…
ごく楽観的に考えれば、私たちがあの子を玩具にしようと大して影響ないと言えなくはない。」
「な、なんだよその言い方!?私はただ記者としてみんなが望む情報を提供しようとしてるだけだ!ジャーナリズムだジャーナリズム!」
こふでが不満げに太い眉を寄せる。
「事実を言ってるだけ…あなたのやりたいようにやればいい。だって」
大きなため息ののち、伏せられていた薄茶色の目が、不意に司馬の方をじっとりと見つめた。
「他の人なんてどうでもいい。私は、こふでと二人きりならそれでいい…別に、ここじゃなくても」
鄙寺はどこか熱っぽい表情で、机の上に置かれた司馬の手を握ろうと、じわじわと手を伸ばしていく。
「まあとにかく!明日の放課後は黒森を呼んでインタビューだ!!」
満面の笑顔を浮かべてガッツポーズをするこふで。鄙寺はさっきまで這い寄るように伸ばしていた手をサッと引っ込めた。
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