新聞部は百合の温室だったはずなのに!自称悪魔の陰キャ女がライバル宣言!?

お茶をいっぱい飲みたい

文字の大きさ
1 / 3

第1話 コウモリの生き血とジャーナリズム!

しおりを挟む
「こ、この度魔界より転校してきました…黒森まどい、です…。一応、悪魔です。すみません…。す、好きな食べ物は、ヴァンシーの肋骨で…好きな飲み物は、コウモリの生き血です…。ふ、フヒっ。えっと、それで…」



美空ヶ丘学院中等部2年A組の空気が、一気に凍った。



出入りの業者のトラックの排気音が鮮明に聞こえるようになり、燦々と教室に差し込んでいた太陽光は翳り、さっきまでは心地よかったクーラーの冷風も肌を刺すようだった。



「えっと、私が好きなのは嘆きの谷のコウモリの生き血で…すごく綺麗な色で…あれ、どこいったかな…フヒっ、お、お待ちください…」



ボサボサ頭に濃いクマを作り、三白眼をひっきりなしにキョロキョロさせている彼女は、そう言うやいなや、スクールバッグを異様な勢いで漁り出した。



黒表紙にルーン文字が書かれたノートや、妙にキラキラ光る石のかけら、包帯の巻かれた歪なぬいぐるみなど、いかにもな物品がどんどん出てくる。



やがて彼女は、ドス黒い液体の入った牛乳瓶を取り出し、ドンと机に置いた。



「あった!!き、綺麗ですよね…も、もしよかったら、匂いも嗅いでみてください…!」



担任の伊藤は口を挟もうか逡巡し、結局何も言わずに口を閉じた。

テニス部の葛西は、友人と目を見開いて目配せしあった。

野球部の根岸は、口をぽかんと開けて彼女を食い入るように見つめた。



目の前の少女は、そんな空気に気づいていないのか、躊躇いなく言葉を続ける。



「えっと、や、休み時間などに声かけてくれたら…ヒヒヒっ、あっ、それと休日の趣味は深夜にお墓を見にいくことです…フヒっ、こ、こんな邪悪な魂ですが…、よろしくお願いします!」



この空気を作った張本人、黒森まどいはとびきりの笑顔…になり損なった、口角を思いっきり真横に引っ張り、上下に生え揃ったギザギザの歯を見せつける謎の表情で胸を張り…



「あ…あれ…なんかまずかったですかね?」



次の瞬間には、元の猫背に戻っていた。




──────そして放課後。



「超!最高のネタだぞ!鄙寺ァ!」



新聞部の部室に響き渡る声を張り上げたのは新聞部部長、巨大な黒縁メガネをかけ、短い髪を2つ結びにしている少女。

黒森と同じく2年A組の司馬こふでである。



「みんなあの転校生をつっついて遊びたいと思ってる!!あのよく分からない自称悪魔の設定を根掘り葉掘り聞いて、大いに笑い物にしたいと思ってるんだ!!これは我が新聞部の出番、早速インタビューするぞ!!」



丸めた原稿で埃の積もった机を叩いた司馬は、限界まで見開いた目を黒縁メガネの奥でギョロギョロさせ、鼻息荒くたった一人の部員に迫った。

低い身長と太い眉毛のせいで、その動きはどこかコミカルだ。



「…新聞部の出番というより、週刊誌の出番…というより、趣味の悪い晒し系YouTuberの出番って感じだけど。まあ、こふでがそうしたいなら良いと思う」



透明感すら感じさせる美しい薄茶色の長髪を弄りながら、新聞部副部長の鄙寺すすきが無気力に応える。

そして、すぐにさっきまで読んでいた付箋だらけの冊子に目を戻した。



「あなたがやろうとしてることは、当然下世話な行為だし、ただの厨二病をわざわざ拡散してやるなとは思うけど…」



鄙寺の口からは、薄幸の美少女然とした見た目には似合わない言葉が次々吐き捨てられていった。



「でもあの黒森って子、転校初日なのに誰にも話しかけられてないし…

まあ確かにあのバカみたいな厨二病真っ盛りの自己紹介の後でも、その後のコミュニケーション次第でリカバリーできるかもしれないけど…

ごく楽観的に考えれば、私たちがあの子を玩具にしようと大して影響ないと言えなくはない。」



「な、なんだよその言い方!?私はただ記者としてみんなが望む情報を提供しようとしてるだけだ!ジャーナリズムだジャーナリズム!」



こふでが不満げに太い眉を寄せる。



「事実を言ってるだけ…あなたのやりたいようにやればいい。だって」



大きなため息ののち、伏せられていた薄茶色の目が、不意に司馬の方をじっとりと見つめた。



「他の人なんてどうでもいい。私は、こふでと二人きりならそれでいい…別に、ここじゃなくても」



鄙寺はどこか熱っぽい表情で、机の上に置かれた司馬の手を握ろうと、じわじわと手を伸ばしていく。



「まあとにかく!明日の放課後は黒森を呼んでインタビューだ!!」



満面の笑顔を浮かべてガッツポーズをするこふで。鄙寺はさっきまで這い寄るように伸ばしていた手をサッと引っ込めた。



────────────

第1話、読んでいただきありがとうございます!!



・続きが気になる!

・厨二病全開のまどい面白い!

・新聞部たち酷くない!?



と思った方は、ぜひ♡とフォローお願いいたします!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった

白藍まこと
恋愛
 主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。  クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。  明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。  しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。  そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。  三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。 ※他サイトでも掲載中です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

白雪様とふたりぐらし

南條 綾
恋愛
高校1年生の紫微綾は、生きることに疲れ、雪の山で自らの命を終えようとしたその瞬間―― 美しい御小女郎姿の少女・白雪が現れ、優しく彼女を救う。 白雪は実は古の仏神・ダキニ天の化身。暇つぶしに人間界に降りた彼女は、綾に「一緒に暮らそう」と提案し……? 銀髪の少女と神様の、甘く温かなふたりぐらしが始まる。 【注意事項】 本作はフィクションです。 実在の人物・団体・宗教・儀礼・場所・出来事とは一切関係ありません。 作中で登場する神仏や信仰に関する表現は、物語の雰囲気づくりを目的とした創作によるものであり、特定の宗教や思想を推進・否定する意図は一切ございません。 純粋なエンターテイメントとしてお楽しみいただければ幸いです。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

処理中です...