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序夜、日数に含まず

知らない天井から始まる

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 同性の友人が一人もいないのは地雷だ。
 火の立たない所には煙は立たない。
 俺はそれは格言で真実でしかないと実感させられている。

 俺は付き合って一か月の女性にプレゼントを渡したそこで、交際終了の宣言を突きつけられたのである。

  あかつきすももは、名前からして酸っぱい果実で、同性には忌み嫌われていた可愛い子で、そして、ビッチだと噂もある女性だった。

「俺が馬鹿なのはわかっているよ!」

 叫んだのは大学のサークルの部室だったはずだが、急にハッとして気が付いた俺は、自分の目が知らない天井を見つめている事にぞっとした。

 俺は転生か転移したのか?

 思考が現実を把握しようとしないのは、現実を把握してはいけないという俺の危険察知本能からかもしれない。
 いや、俺は半裸状態みたいで、どうして半裸状態だと認識させられているのかは、俺の裸の胸を色々とまさぐっている手があるからである。

 止めて!乳首をつままないでよ!

 その厭らしい手は、俺に背を向けて寝ている、失恋した俺を慰めて一緒に飲んでくれた 天野蝶子あまのちょうこさんによるものでは決してない。

「びくびくしながら寝たふりを頑張る君は可愛いね。」

 誰だ、お前!
 って、その手をさらに下に持っていくな!
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