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第一章 旅立ちの時
4 顕現
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朝と晩はみんな集まって食べるけど、お昼ご飯は仕事にきりをつけてから各自食べる。
手早く昼食を済ませたあたしはまた倉庫に戻ってくる。ご飯前までにしばらく箱を開けて探ってを繰り返したけど、あまり価値のありそうなものはなかった。
それどころか、ボロボロの古着とか、さっきの割れた陶器とかみたいな、何の役にも立たなそうなものばっかり出てくる。
……これなんのための倉庫なんだろ? なんか、変!
そんなこと考えながらほとんど一日中倉庫の近くに張り付いて、中に仕舞われた箱を出してその中身を見て、ってのを空が赤くなってくる時間帯くらいまでずーーっとやってたんだけど、結局あの錆びた剣以外はみんなガラクタのようなものばかりだった。
……とりあえずこの剣は執事長に見せて、他のものは明日以降に目利きの人に見てもらった方がいいかも。
一応あたしが朝来た時よりは中も整然とした感じになった倉庫の扉を閉めて、剣を携えたまま城の方に戻った。
「執事長。失礼します」
扉をとんとんと叩くと中からどうぞと言う声がした。
「お疲れ様です。倉庫の鍵はしっかり閉めてきてくれましたか?」
盗まれて困るようなもの、ないと思うけど。執事長も鍵が見つかって嬉しそうにしてたし、事実を知ったら少し残念に思うだろうな。
「もちろん。……倉庫のことなんですけど、貴重そうなものが出てきたので、見てもらいたくて」
「さっきから隠している、それですね? わかりました、見せてください。」
……見えないようにって思って持ってたんだけど、やっぱりわかるんだ。凄腕剣士の噂は伊達じゃないみたい。
「……これなんですけど、」
あたしが鞘付きの剣をテーブルの上に置いた瞬間、執事長は目を見開いた。
「こ、これは……!」
「倉庫の中、実はガラクタばっかりで……いや、あたしの見る目がないのかも知れませんけど。この剣は装飾も精巧だし、貴重なものかと思ったんです。しかし鞘だけじゃなくて刃の方もすっかり錆びちゃって……」
白いグローブの手で、執事長は剣を持ち上げ、じっと眺めた。
「……鞘が最初から外れていたのではなく、鞘から抜いて刃をみたのですか?」
執事長の声のトーンはなんかいつもと違う感じで、なんていうか、でかい声出したいのを無理やり押さえつけてる、みたいな。え、もしかして怒られ……?
ビビったあたしの声もつい小さくなる。
「そ、そうです」
「…………これはこれは、面白いことになりましたね……」
あたしの肯定を聞いた瞬間、執事長はいきなりくつくつと笑い始めた。どうしたのさ、執事長……普段とキャラちがうよ!
「え、どういうことですか……」
怯えるあたしの目の前で、執事長は右手で剣の柄、左手で鞘を握った。 もしかして斬られるの? 怖くて思わず逃げ腰になる。ど、どうしよう。
執事長の両手にグッと力が籠ったのがわかった。しかし剣を握るだけで、なぜか執事長は剣を抜かない。
「……やはり、私では抜けませんね」
「…………執事長、全然わけわかりませんよ……」
抜けない、って。たいして鍛えてないあたしでもあっさり抜けたのに、執事長にできないはずがない。
……もしかして、選ばれし者のあたしにしか抜けないとか、そういう感じ!?
「レイデ、驚かずに聞いてください。 ……これは聖剣です。本当にこれを鞘から抜くことが出来たというなら……貴方は、この地に600年ぶりに現れた『聖女』ということになります」
…………ギャグのつもりだったのに、ほんとに選ばれし者になっちゃったかもしれない。
手早く昼食を済ませたあたしはまた倉庫に戻ってくる。ご飯前までにしばらく箱を開けて探ってを繰り返したけど、あまり価値のありそうなものはなかった。
それどころか、ボロボロの古着とか、さっきの割れた陶器とかみたいな、何の役にも立たなそうなものばっかり出てくる。
……これなんのための倉庫なんだろ? なんか、変!
そんなこと考えながらほとんど一日中倉庫の近くに張り付いて、中に仕舞われた箱を出してその中身を見て、ってのを空が赤くなってくる時間帯くらいまでずーーっとやってたんだけど、結局あの錆びた剣以外はみんなガラクタのようなものばかりだった。
……とりあえずこの剣は執事長に見せて、他のものは明日以降に目利きの人に見てもらった方がいいかも。
一応あたしが朝来た時よりは中も整然とした感じになった倉庫の扉を閉めて、剣を携えたまま城の方に戻った。
「執事長。失礼します」
扉をとんとんと叩くと中からどうぞと言う声がした。
「お疲れ様です。倉庫の鍵はしっかり閉めてきてくれましたか?」
盗まれて困るようなもの、ないと思うけど。執事長も鍵が見つかって嬉しそうにしてたし、事実を知ったら少し残念に思うだろうな。
「もちろん。……倉庫のことなんですけど、貴重そうなものが出てきたので、見てもらいたくて」
「さっきから隠している、それですね? わかりました、見せてください。」
……見えないようにって思って持ってたんだけど、やっぱりわかるんだ。凄腕剣士の噂は伊達じゃないみたい。
「……これなんですけど、」
あたしが鞘付きの剣をテーブルの上に置いた瞬間、執事長は目を見開いた。
「こ、これは……!」
「倉庫の中、実はガラクタばっかりで……いや、あたしの見る目がないのかも知れませんけど。この剣は装飾も精巧だし、貴重なものかと思ったんです。しかし鞘だけじゃなくて刃の方もすっかり錆びちゃって……」
白いグローブの手で、執事長は剣を持ち上げ、じっと眺めた。
「……鞘が最初から外れていたのではなく、鞘から抜いて刃をみたのですか?」
執事長の声のトーンはなんかいつもと違う感じで、なんていうか、でかい声出したいのを無理やり押さえつけてる、みたいな。え、もしかして怒られ……?
ビビったあたしの声もつい小さくなる。
「そ、そうです」
「…………これはこれは、面白いことになりましたね……」
あたしの肯定を聞いた瞬間、執事長はいきなりくつくつと笑い始めた。どうしたのさ、執事長……普段とキャラちがうよ!
「え、どういうことですか……」
怯えるあたしの目の前で、執事長は右手で剣の柄、左手で鞘を握った。 もしかして斬られるの? 怖くて思わず逃げ腰になる。ど、どうしよう。
執事長の両手にグッと力が籠ったのがわかった。しかし剣を握るだけで、なぜか執事長は剣を抜かない。
「……やはり、私では抜けませんね」
「…………執事長、全然わけわかりませんよ……」
抜けない、って。たいして鍛えてないあたしでもあっさり抜けたのに、執事長にできないはずがない。
……もしかして、選ばれし者のあたしにしか抜けないとか、そういう感じ!?
「レイデ、驚かずに聞いてください。 ……これは聖剣です。本当にこれを鞘から抜くことが出来たというなら……貴方は、この地に600年ぶりに現れた『聖女』ということになります」
…………ギャグのつもりだったのに、ほんとに選ばれし者になっちゃったかもしれない。
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