農民が山にこもって修業した結果

まーらいおん

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二章~首都へ~

17話 闇とは

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何も無い闇に染まった空間に、深紅の瞳が浮かび上がった。

そして次に、スポットライトを浴びたかのように小さな白い脚が現れる。

その次は黒光りする鎧だ。

次第に明かされるそれは三大魔公の一角、黒一色の玉座に座るグーシオンであった。

自慢の赤髪を弄りながらワイングラスを揺らし、香りを楽しんでいるようだ。

「面白いことになってきたね。君はこれからどうなると思う?」

グーシオンは闇に支配された『それ』に語り掛ける。

「...」

だが当然、『それ』からの返事はない。

「何か言ってよ~!つまんないな~!」

言葉を返さない『それ』に不貞腐れた表情を向けるグーシオンは、ゆっくりと玉座から立ち上がる。

そして何も無い空間から無造作に透明な水晶を取り出し、何やら呪文を唱える。

すると水晶にはグラドたちと談笑するキドの姿が鮮明に映し出された。

水晶なんて魔法を使えないインチキ占い師が使うだろうグッズである。

そんなものを取り出して魔法の媒体にするなど前代未聞である。

魔公に常識は通じないと痛感させる光景であった。

「まったく...僕の楽しみは君だけだよ…」

嬉しそうな吐息を漏らし、まるで宝物を眺める少女を思わせるものであった。

その一瞬、この場に似つかわしくない穏やかな空気が流れたように感じられた。

それだけを見れば誰も彼女が魔公だと気づきはしないだろう。

しかし、すぐにその表情は不敵な笑みへと変わる。

「キド...楽しみにしているよ。君が魔の道へ進むその時を...」

パチン!と響く音を中指と親指を弾いて鳴らす。

その音を最後に彼女は闇へと溶け込んでゆく。

闇とは恐怖を象徴するもの。

闇とは光と相対するもの。

闇とは悪に染まるもの。

闇とは魔を統べるもの。

闇とは...

魔公そのものである。







時同じくしてパールバティの道のりでは...

「で、お前達はなんで盗賊まがいのことをしてたんだ?それなりに事情はあるんだろ?」

キドが唐突に質問を投げかけていた。

よほど重大な理由がなければ犯罪行為を起こすなんてことはないだろう。

なぜなら、彼らは冒険者の手本となるAランカーであるからだ。

普通であれば有り得ない。

そのはずが、昨日のような出来事があった。

長い間山篭りしていたキドからしてみれば自分の常識が間違っていたのではないかと心配になる事件である。

キドは竹の筒からできた水筒で水を飲みながら横目でチラリとグラドたちを見る。

当の本人たちはビクッと背筋を震わせたかと思うと、まるで話を合わせてきたかのように三人の溜め息がシンクロする。

全員は暫く無言になりなり、気まずい空気が流れる。

だが、最初にその空気に切込みを入れたのはカイルであった。

「グラドさん。キドは今の俺たちについて知るべきだと思います。キール、お前も良いよな?」

「確かにそうだ。どちらにしろあとで知ることだしな。」

「当たり前だよ。カイル、俺たちの現状を教えてあげよう。」

三人の意思は一致したようだ。

カイルは言いずらそうに頭を掻いて、キドに真剣な眼差しを向ける。

「話は長くなるが大丈夫か?」

「もちろん大丈夫だ。」

「まあ、先に何故あんな事をしていたかについて話そう。一年前、パールバティのギルドではギルドマスターが新しく就任されたんだ。それは知っているか?」

「いいや、知らないな。」

「そいつの名はニコライ・ザンバルク。キド、お前と同じくらいの歳だと思う。やつは突如頭角を現し瞬く間にSランク冒険者となった。」

「ちょ、ちょっと待ってくれよ!Sランク冒険者ってのはそう簡単になれるものなのかよ!?しかもギルドマスターって...」

カイルの話を聞くに、彼は自分と歳が近いと言うではないか。

Sランク冒険者。

それは人としてのものさしでは測れない異端の領域に踏み入った者。

Sランカーが民衆から集めるものは畏怖。

Aランカーとは対局した存在である。

晴天の青空を上に、清々しい風で揺れる黒髪を手で抑え、ことごとく崩されてゆく自分の知識に目眩を起こしながらも慌てて話に割り込む。

「普通では有り得ないが奴が急速に強くなったのは事実だ。人が変わったようにな。確か天使の力だとか言っていたが...」

天使という単語にピクリと一瞬、キドの体が反応する。

天使と言えば伝説上の存在であり、神の使いとして有名だ。

かつて魔公とも死闘を繰り広げたなどの逸話もある。

ニコライの話が本当であれば彼は自分と同じ様に力を得たと考えられる。

そんなほいほいと似た境遇の奴がいるとは思えないが一応警戒した方が良いだろう。

突然右手を顎に添え、険しい表情で考え事を始めた。

「お、おい急にどうした?おーい!」

歩みを止め急にブツブツと独り言を喋り出したキドに戸惑うカイルは、キドの眼前に上下に手を振ってみる。

いつの間にかキドとカイルの先を歩くグラドとキールも後ろを振り返り、少し心配そうな面持ちをキドに向けてくる。

「ご、こめん!で、ニコライのせいで何かあったのか?」

我に返ったキドは慌てて話を合わせる。

カイルは不思議そうに首を傾げながらまた話始める。

そしてその返答は予想を遥かに上回るものであった。
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感想 14

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みんなの感想(14件)

九曜
2019.02.27 九曜

続き読みたいです( ˙-˙ )
書かれてないんですか?( ˙-˙ )( ˙-˙ )( ˙-˙ )

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2017.08.22 ユーザー名の登録がありません

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