ーウクライナの民話ー 片足を怪我した子ガモのお話

みずっち82

文字の大きさ
1 / 1

ーウクライナの民話ー 片足を怪我した子ガモのお話

しおりを挟む
  


  昔、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
 2人には、子供がいなっかたので、寂しい思いをしていました。
 ある時、おじいさんがおばあさんに言いました。
「これから、キノコ狩りに行こうよ」2人は出かけて行きました。
 おばあさんがキノコを採っていると、草の根っこのところに
 カモの巣を見つけました。巣の中に、子ガモがうずくまっていました。
 おばあさんが、おじいさんに言いました。
「おじいさーん。ちょっと来てよ。すごくきれいなカモがいるよー」
 おじいさんは言いました。「家に連れて帰ろう」
 子ガモを手のひらに乗せてみると、片方の足の骨が折れていました。
 2人は注意深く子ガモを家まで持って来ると、巣をつくって、
 中に柔らかい羽根をしきつめて、そこに子ガモをそっと置きました。
 そして、二人はまた、キノコ狩りに出かけて行きました。
 二人が家に戻って来ました。するとおどろいたことに、家の中は
 きちんと片付いていて、しかも焼きたてのパンやボルシチが
 出来ていました。


                                          
 2人は近所の人に聞きました。
「誰か?見なかった?」
「見たよ。」
「井戸から、娘が水を運んでいたよ。すごくきれいな娘でさ~。
 でも、ちょっと足を引きずっていたよ」
 そこで、おじいさんとおばあさんは、考えて考えました。
「いったい、誰だろう?」
 でも、誰だかさっぱり思いつきません。
 おばあさんがおじいさんに言いました。
「おじいさん。どういうことだか?わかる?」
「分からん。」
「じゃあ。こうしようよ。2人でキノコ狩りに行くふりをしてさ。
 隠れて、誰が水を運んでいるのか、こっそり見てみようよ」
 そして、次の日、おじいさんとおばあさんはキノコ狩りに行く
 ふりをして納屋の後ろにかくれて、家の方を見ていました。
 しばらくすると、天秤棒をかついだ娘がおじいさんとおばあさんの
 家から出てきました。
 それは、それは美しい娘でした。
 でも、すこし、片足を引きずるように歩いていました。
 娘が井戸の方へ行ってしまうと、おじいさんとおばあさんは、
 こっそりと家の中に入って行きました。                       
 そして、巣の中を見ると、連れて来た子ガモはいなくて、羽だけが
 いっぱいありました。
 おじいさんとおばあさんは、カモの巣をストーブの中に
 投げ込みました。巣は燃えてしまいました。
 丁度、その時、水を汲んできた娘が戻ってきました。
 おじいさんとおばあさんを見ると、はっとして、巣の方に
 駆け寄りました。
 巣がなくなっているのを見ると、娘はいきなり泣き出しました。
 おじいさんとおばあさんは、いっしょうけんめい娘をなぐさめました。
「泣かないで、小鳥ちゃん、私たちの娘になって頂戴。
 本当の娘のように、だいじに、だいじにするから」
 娘は言いました。「もしも、おじいさんとおばあさんが、私の巣を
 燃やしたり、私の事をこっそり見たりしなっかたら、
 ずっと一緒に暮らしていたのに。
 でも、もう、一緒に暮らしたくないわ。                                           
 おじいさん。わたしにつむぎ車と紡錘(ぼうすい)を作ってちょうだい。
 私はお別れします」
 おじいさんとおばさんは泣きながら、
「行かないで!」と頼みました。
 おじいさんは、仕方がなく、娘のために、つむぎ車と紡錘(ぼうすい)を
 作ってやりました。
 娘は庭に腰かけてつむぎ始めました。
 その時、突然、子ガモの群れが飛んで来て、娘を見て
 飛びながら歌い始めました。
        エバは どこにいるの?
        ほら、あそこにいるよ。
        きれいに 掃除された庭で
        おじいさんが 作ったベンチに腰かけて
        つむぎ車が 音をたてている
        小さな紡錘(ぼうすい)も 音をたてている
        カタカタ カタカタ と
        娘に羽を1枚づつ 落としましょう
        私たちと 一緒に飛びましょう
                                          
 でも、娘は断った。
 皆は私を見捨てて、遠くへ飛んで行ってしまったわ。
 でも、鳥たちは、羽を1枚づつ 娘に、向けて落として、飛んで行った。
                                              
 2番目の鳥の群れが飛んで来て、歌を歌い始めた。
        エバはどこにいるの?
        ほら、あそこにいるよ。
        きれいに 掃除された庭で
        おじいさんが作ったベンチに腰かけて
        つむぎ車が 音をたてている
        小さな紡錘(ぼうすい)も 音をたてている
        カタカタ カタカタと
        娘に羽を 1枚づつ 落としましょう
        私たちと 一緒に飛びましょう
 でも、娘は断った。
 皆は、私を見捨てて、遠くへ飛んで行ってしまったわ。
 でも、鳥たちは羽を、1枚づつ娘に向けて、落として飛んで行った。

                                          
 3番目の子ガモの群れが飛んで来て、娘を見ていっせいに歌いだした。
         エバは どこにいるの
         ほら あそこにいるよ
         きれいに 掃除された庭で
         おじいさんが 作ったベンチに腰かけて
         つむぎ車 音をたてている                
         小さな紡錘(ぼうすい)も 音をたてている
         カタカタ カタカタと
         みんなで 娘にはねを 1枚づつ 落としましょう
         一緒に飛びましょう
         鳥たちは 羽を 1枚づつ 投げ落としました
 娘は羽で体を覆いました。
 そして、カモになって群れと一緒に飛んで行きました。
 おじいさんとおばあさんは、また2人だけになりました。
            これで おしまい。
               

                                                                                      
                                           
                ウクライナの民話(おとぎ話の木から)
                片足を怪我した子ガモのお話
                翻訳 みずっち82   















                         
しおりを挟む
感想 2

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(2件)

Mutukcha
2024.07.11 Mutukcha

ウクライナの話しにも鳥が娘になるのは面白かったです!
またいろいろな国の民話の翻訳を読ませていただきたいですねー。

解除
marie
2024.07.11 marie

せっかく綺麗な娘さんとして役に立つように接してくれたのに、巣を投げ込んでしまって代償が大きすぎましたね。おじいさん、おばあさんの嘆きが目に見えるようです。鶴の恩返しとはまた違う展開がお国柄も表すのでしょうか?面白いですね。

解除

あなたにおすすめの小説

まぼろしのミッドナイトスクール

木野もくば
児童書・童話
深夜0時ちょうどに突然あらわれる不思議な学校。そこには、不思議な先生と生徒たちがいました。飼い猫との最後に後悔がある青年……。深い森の中で道に迷う少女……。人間に恋をした水の神さま……。それぞれの道に迷い、そして誰かと誰かの想いがつながったとき、暗闇の空に光る星くずの方から学校のチャイムが鳴り響いてくるのでした。

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

青色のマグカップ

紅夢
児童書・童話
毎月の第一日曜日に開かれる蚤の市――“カーブーツセール”を練り歩くのが趣味の『私』は毎月必ずマグカップだけを見て歩く老人と知り合う。 彼はある思い出のマグカップを探していると話すが…… 薄れていく“思い出”という宝物のお話。

童話短編集

木野もくば
児童書・童話
一話完結の物語をまとめています。

このせかいもわるくない

ふら
絵本
以前書いた童話「いいとこ探し」を絵本にリメイクしました。 色んなソフトを使ったりすれば、もっと良い絵が描けそうだったり、未熟な点は多いですが、よろしくお願いします。

瑠璃の姫君と鉄黒の騎士

石河 翠
児童書・童話
可愛いフェリシアはひとりぼっち。部屋の中に閉じ込められ、放置されています。彼女の楽しみは、窓の隙間から空を眺めながら歌うことだけ。 そんなある日フェリシアは、貧しい身なりの男の子にさらわれてしまいました。彼は本来自分が受け取るべきだった幸せを、フェリシアが台無しにしたのだと責め立てます。 突然のことに困惑しつつも、男の子のためにできることはないかと悩んだあげく、彼女は一本の羽を渡すことに決めました。 大好きな友達に似た男の子に笑ってほしい、ただその一心で。けれどそれは、彼女の命を削る行為で……。 記憶を失くしたヒロインと、幸せになりたいヒーローの物語。ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:249286)をお借りしています。

そうして、女の子は人形へ戻ってしまいました。

桗梛葉 (たなは)
児童書・童話
神様がある日人形を作りました。 それは女の子の人形で、あまりに上手にできていたので神様はその人形に命を与える事にしました。 でも笑わないその子はやっぱりお人形だと言われました。 そこで神様は心に1つの袋をあげたのです。

わたしの婚約者は学園の王子さま!

久里いちご
児童書・童話
平凡な女子中学生、野崎莉子にはみんなに隠している秘密がある。実は、学園中の女子が憧れる王子、漣奏多の婚約者なのだ!こんなことを奏多の親衛隊に知られたら、平和な学校生活は望めない!周りを気にしてこの関係をひた隠しにする莉子VSそんな彼女の態度に不満そうな奏多によるドキドキ学園ラブコメ。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。