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■フェーズ:038『あの夏を忘れない』
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Title:『あの夏を忘れない』
「水……水をくれないか、小山」
「ああ、すぐに用意するよ」
「小山くん……私の足、どこだろう?」
「飯塚さんの足は俺が必ず見つけるよ……」
「なぁ、小山。お前……そんなに老け顔だったっけ?」
「老けてるかな? でも、気持ちは皆と同じだよ」
「おい、小山……俺達のことは、もういいんだぞ?
先生な……最近ようやく、
そう思えるようになってきたんだ」
「先生……そんな寂しいこと言わないでくださいよ」
「機長、あの……小山さんていう人。誰と話しているんですか?」
「ああ、彼はどうやら死者の姿が見えるらしいんだ」
「死者……ですか?」
「私もあまり詳しくないんだが、
この世に未練を残して逝ってしまった者は、
自分が死んだことに気づかず、
同じ時間を何度も何度も繰り返すんだそうだ」
「なんだか悲しい話ですね……」
乗員乗客231人のうち、230人が死亡した飛行機墜落現場。
夏になると、僕は山深い場所にある慰霊碑を訪れる。
今年で事故から30年経つけれど、
あの日を忘れたことはない。
「また来年も来るから……」
未来を奪われたクラスメイト達に頭をさげ、
僕はひとり山を降りた。
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Title:『あの夏を忘れない』
「水……水をくれないか、小山」
「ああ、すぐに用意するよ」
「小山くん……私の足、どこだろう?」
「飯塚さんの足は俺が必ず見つけるよ……」
「なぁ、小山。お前……そんなに老け顔だったっけ?」
「老けてるかな? でも、気持ちは皆と同じだよ」
「おい、小山……俺達のことは、もういいんだぞ?
先生な……最近ようやく、
そう思えるようになってきたんだ」
「先生……そんな寂しいこと言わないでくださいよ」
「機長、あの……小山さんていう人。誰と話しているんですか?」
「ああ、彼はどうやら死者の姿が見えるらしいんだ」
「死者……ですか?」
「私もあまり詳しくないんだが、
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