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勇作編■邂逅
16.オフ会
しおりを挟むどうやらオフ会の会場は、小洒落た居酒屋のようだ。
ネットで調べた限りだと、辛口評価の食レポサイトでも★★★☆☆と、悪くなさそうだ。
そういえば、受付で何て言えばいいのか聞きそびれたぞ。
本名を言ったところで予約者と全く別人だし、『リフレインオフ会』とかで予約してるのか、はたまた別のイベント名称なのか。
やっちまったな、と思いつつ頭をポリポリかきながら店に入ると、幹事が百均で売ってそうなホワイトボードを掲げて待っていた。
『リフレインオフ会へようこそ』
──出来る。俺の直感が囁いた。
店員に案内してもらうと、そこは意外にもこじんまりとした七、八人入れれば良いような個室だった。
この値段で完全個室とは、良い店だ。
既に一人席に座っており、挨拶をして隣に座ると、相手も名乗り返す。
「こんにちわ! 宇多田さやかです! よろしくお願いします!!」
パァァアアア!!
みたいな花が咲く効果音がデフォルトで付いていそうな満天の笑顔。
──文節一つひとつに感嘆符が付くとは、なんと元気のいい子なんだろう。
太陽を擬人化したらこんな子なんだろうな。
「よ、よろしくお願いします」
俺も俺で、何で畏まってんの。
──時間になると、部屋には全部で六人が集まった。
俺、宇多田さん、幹事の男性。
それに、喫茶店にいたうちの二人もいる。
死んだ子とは知り合いではなかったのかな。どちらにしても二人とも寝ていたし、あの事故のことは知らないのかもしれない。
さっきの事が脳裏に浮かび少し吐き気を催したが、そんな感情など吹き飛ぶような人物が最後に部屋に入ってきた。
何ということか、同僚だった。
「言ってませんでしたっけ、あたし」
意外だ、意外すぎる。
あの真面目でツンデレな逢沢 美鈴が、リフレインユーザーだとは。
そういえば、美鈴の通勤用のリュックにはキャラのストラップが付いていたような気がする。
刀剣演舞、とか言ったかな。
あと、他の同僚と話してるのをたまたま耳にした事があったが、『猫』とか『太刀』とか言ってた。
そっち方面じゃないから分からないけど、多分腐女子だ。
「それより、水嶋さんも意外ですよ。もっとディープなVRMMOとかやってそうですけれど」
──なんというか、俺ってそんなイメージなの?
確かに秋葉原に住むくらいのキモオタではあるけどさ。
俺は苦笑いしつつ、乾杯の準備をするためにグラスを手に持った。
「皆さんお忙しい中のお集まり、ありがとうございます。今日は楽しみましょう、乾杯!」
幹事の男性が音頭を取ると、超絶元気のいい返事と、普通の返事と、少しだけ不機嫌そうな返事と、少し気まずい返事が部屋に鳴り響いた。
──とりあえず金額分楽しんだら、帰ってリフレインを不燃ごみ袋に入れよう。
俺は好きでもない『とりあえずの酒』を一気に飲み干した。
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