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ガロード編■魔法都市
27.油断
しおりを挟む「アイナ、行くぞ!アイザックを助けるためにも、一刻も早くドラゴンゾンビの尻尾を切るんだ!」
「でも、あたし......あたし!!」
「奴のことが好きなら、早く会えるように全力を尽くせ」
「......うん!」
アイザックがパーティから外れ、俺達はドラゴンゾンビの尻尾を切るために、見つからない程度に大きく遠回りすることを余儀なくされた。
「アイザックのやつ、一人で行くなら俺たちに速度増加魔法をかけていけよ......!」
「でもガロード、あいつのそういう所が放っておけないんだろう?後でお仕置きが必要だがな」
「全くだ!」
俺は重力魔法で、自分たちの足元に引力とは反対に働く力である斥力を発生させた。
これにより地面の影響を受けることなく走ることが出来る上に、体重を気にしなくて済むため長時間走れる。
ドラゴンゾンビの全長は70mはあるだろうか、正面から見ると大した大きさには見えないのだが、横から見ると凄まじい迫力だ。
翼はないが、トカゲのように胴体から四肢が伸び、ドッシリとした太さと鉤爪からは、二足歩行には向かないが安定した走りを想像させる。
尻尾だけでも30mはありそうで、無数に生える棘は人間ほどの大きさがある。
これを振り回されれば軍隊も一瞬で潰されてしまうだろう。
被害を抑えつつ確実に切断するのならば、狙うは尻尾の先端ではなく、付け根だろう。
「ハミルトン、タゲを取りつつアイナを守ってやってくれ!俺は尻尾を切断する!」
「分かった、だが一撃でも喰らえばお陀仏だ、無理はするな!」
「分かっている!」
俺はドラゴンゾンビの尻尾の付け根に向けて、全力の真空魔法を放つ。
──ズガン!
小気味の良い破裂音がした。
──が、その尻尾は予想以上に硬く、あろうことか上皮に傷が付いた程度で、切断は出来そうにない。
「......チッ!風魔法は効き目が薄いか!」
「ガロード、ハミルトン!そのまま10秒耐えて!あたしに考えがあるの!」
「アイナ!?無茶だ、止めろ!」
「ハミルトン、何してる!早くアイナを守れ!」
「いいの!このまま行かせて!」
攻撃魔法を最低限しか持たないアイナに前線で出来ることは、本当に限られている。
それはパーティの誰もが知っているし、誰よりも本人が一番分かっているはず!
「アイナ、戻れ!!!」
アイナが呪文の詠唱を始めると、杖が白く光りだした。
純白の魔法陣が浮かび上がり、クルクルと回り出す。
──蘇生魔法!?
俺とハミルトンが驚く間もなく、アイナの杖から死者蘇生の魔法がドラゴンゾンビ目掛けて降りかかる。
「グォォォオオオオオオ!!!」
ドラゴンゾンビの咆哮。
皮と腐った肉がボトボトと剥がれ落ちる。
巨大な胴体が、ゆっくりと地面に激突する。
ペタンとへたり込むアイナの元へ、ハミルトンが駆けつける。
「蘇生魔法とは、良くやったぞアイナ!!」
「駄目、ハミルトン!まだ来ちゃダメーーー!!」
「ハミルトン、待て!!」
──ドガン!
『還した』はずのドラゴンゾンビの尻尾が急に動き出したかた思うと、先端の巨大な棘がハミルトンの大柄な盾を貫通し、身体に突き刺さる!
「ハミルトンーーーー!!」
──ドラゴンゾンビの尻尾ごと遠くへ吹き飛ばされたハミルトンは、動くことなく地面に伏した。
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