美少女エルフと夢世界転移~Re:Frain~

したらば

文字の大きさ
29 / 29
ガロード編■魔法都市

27.油断

しおりを挟む

「アイナ、行くぞ!アイザックを助けるためにも、一刻も早くドラゴンゾンビの尻尾を切るんだ!」

「でも、あたし......あたし!!」

「奴のことが好きなら、早く会えるように全力を尽くせ」

「......うん!」



アイザックがパーティから外れ、俺達はドラゴンゾンビの尻尾を切るために、見つからない程度に大きく遠回りすることを余儀なくされた。

「アイザックのやつ、一人で行くなら俺たちに速度増加魔法をかけていけよ......!」

「でもガロード、あいつのそういう所が放っておけないんだろう?後でお仕置きが必要だがな」

「全くだ!」


俺は重力魔法で、自分たちの足元に引力とは反対に働く力である斥力を発生させた。
これにより地面の影響を受けることなく走ることが出来る上に、体重を気にしなくて済むため長時間走れる。







ドラゴンゾンビの全長は70mはあるだろうか、正面から見ると大した大きさには見えないのだが、横から見ると凄まじい迫力だ。

翼はないが、トカゲのように胴体から四肢が伸び、ドッシリとした太さと鉤爪からは、二足歩行には向かないが安定した走りを想像させる。


尻尾だけでも30mはありそうで、無数に生える棘は人間ほどの大きさがある。
これを振り回されれば軍隊も一瞬で潰されてしまうだろう。


被害を抑えつつ確実に切断するのならば、狙うは尻尾の先端ではなく、付け根だろう。


「ハミルトン、タゲを取りつつアイナを守ってやってくれ!俺は尻尾を切断する!」

「分かった、だが一撃でも喰らえばお陀仏だ、無理はするな!」

「分かっている!」


俺はドラゴンゾンビの尻尾の付け根に向けて、全力の真空魔法を放つ。

──ズガン!

小気味の良い破裂音がした。




──が、その尻尾は予想以上に硬く、あろうことか上皮に傷が付いた程度で、切断は出来そうにない。

「......チッ!風魔法は効き目が薄いか!」


「ガロード、ハミルトン!そのまま10秒耐えて!あたしに考えがあるの!」

「アイナ!?無茶だ、止めろ!」

「ハミルトン、何してる!早くアイナを守れ!」

「いいの!このまま行かせて!」



攻撃魔法を最低限しか持たないアイナに前線で出来ることは、本当に限られている。
それはパーティの誰もが知っているし、誰よりも本人が一番分かっているはず!

「アイナ、戻れ!!!」




アイナが呪文の詠唱を始めると、杖が白く光りだした。

純白の魔法陣が浮かび上がり、クルクルと回り出す。



──蘇生魔法!?



俺とハミルトンが驚く間もなく、アイナの杖から死者蘇生の魔法がドラゴンゾンビ目掛けて降りかかる。




「グォォォオオオオオオ!!!」



ドラゴンゾンビの咆哮。

皮と腐った肉がボトボトと剥がれ落ちる。

巨大な胴体が、ゆっくりと地面に激突する。



ペタンとへたり込むアイナの元へ、ハミルトンが駆けつける。

「蘇生魔法とは、良くやったぞアイナ!!」

「駄目、ハミルトン!まだ来ちゃダメーーー!!」

「ハミルトン、待て!!」




──ドガン!


『還した』はずのドラゴンゾンビの尻尾が急に動き出したかた思うと、先端の巨大な棘がハミルトンの大柄な盾を貫通し、身体に突き刺さる!

「ハミルトンーーーー!!」




──ドラゴンゾンビの尻尾ごと遠くへ吹き飛ばされたハミルトンは、動くことなく地面に伏した。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。 そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。 しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。 過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

それは思い出せない思い出

あんど もあ
ファンタジー
俺には、食べた事の無いケーキの記憶がある。 丸くて白くて赤いのが載ってて、切ると三角になる、甘いケーキ。自分であのケーキを作れるようになろうとケーキ屋で働くことにした俺は、無意識に周りの人を幸せにしていく。

処理中です...