書きの種 ’２５(エッセイ)

腐敗している組織の構造

日産の騒動が興味深い。というか、参考になる。何の？　…ダメな組織の。

そもそもだけど、ホンダと合併話進んでて、いきなり「やっぱりヤメで」ですか。え？　それまでに社内調整してないの？　「１００％子会社は考えてなかった」とか言うのかもしれないけど、あらゆる可能性を考えた上で協議って始めるもんじゃないわけ？

まあ、けどそれは仕方なかったとしても。その後の社長の記者会見で「救済という言葉は使ってほしくない」って――どの口が言う！？　いや、８００億とか赤字出してるみっともない収益なのは、日産だけですけど。どういう感覚でいたら、そんなプライド高い状態でいられるんだろう。

確かに日産というのは、過去は凄かった。ＧＴＲにフェアレディに、ダットサントラックで、国内でも国外でも人気だった。けどだよ、収益は完全に落ち込み、企業規模はホンダの五分の一まで縮み、特許申請数ではトヨタ、ホンダ、マツダ、スバルの次の５位！　しかも数から言うと、全然、けた違い。

にも関わらず、役員数は６０人越え！　トヨタで十数人、ホンダは十人以下。その状態で６０人の役員に役員報酬払うって……おかしいでしょ？　重きを置く場所が。で、役員報酬の平均額が８０００万とか。……いや、他に回すべきだろう。どう考えたって、会社の経理を圧迫してるだろ。

けど、つまるところ日産というのは、財閥系なんだろう。古い体質なのだ。で、恐らく、天下りの官僚を役員として受け入れた挙句、それがぶくぶくと水太りしたのだろう。政府と癒着関係にあるから自分たちを『偉い』企業だと思ってる。けど、本当の競争力はどんどん無くしていく。そして天下り連中は、退職金もらって逃げれば済む話だと思ってるから責任感はゼロだ。

こういう組織に、本当の成長は存在しない。不正会計した東芝とか日立にも、ちょっと見られる傾向だ。官製受注ばっか引き受けてそれに頼ってるうちに、国際競争力を無くしていく。けど、本当の競争力はなくなってるのに、上層部のプライドと私欲だけは衰えることがない。腐敗している組織の見本みたいなもので、非常に勉強になる。いや、日産の話だけじゃなくて、日本自体が同構造なんだけどね。……で、ツケはいつも、下の方にまわってくる。