書きの種 ’25(エッセイ)

佐藤遼空

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『わたしの愛した歴代ゲゲゲ』 ――が、なかなか楽しい

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ふと気づいて、『わたしの愛した歴代ゲゲゲ』を見た。この回は京極夏彦が選んだ、第四期の『ギターの戦慄! 夜叉』。そして前回は、この番組のOPを唄ってるAdoのセレクトで、第五期の『妖怪スィーツ! バレンタイン作戦』であった。

アニメの『ゲゲゲの鬼太郎』は五期あるということである。最初は、その五期の変遷を紹介解説するSP番組かと思って録画したのだが、そうではなかった。そうではなく、各セレクターが一篇ずつセレクトし、それを放映するという内容だったのである。

セレクターが京極夏彦というのは、まあ頷ける。京極夏彦は水木しげる先生の弟子であり、もっとも『ゲゲゲの鬼太郎』に詳しい人物だからだ。だからその京極夏彦が、どんな話をセレクトするのか? は、結構、興味津々だった。

京極夏彦が言うには、第四期というのは都会と鬼太郎をいかにマッチさせるか、という課題を持ったシリーズだったという。この『ギターの戦慄』では、都市の裏通りに夜叉という妖怪が潜み、人間を非婚でその魂を食べている。しかしこの回では、夜叉がまず捉えたのは、こともあろうにネズミ男の魂だった。

薄暗い裏通りで、ギターが鳴り響くと人の魂が抜かれる。そんな幻想を書いたのは雪室俊一さんだ。雪室さんというと、僕は実は『サザエさん』を沢山書いた脚本家、という印象だ。鬼太郎に関わってるとは知らなかった。雪室さんのホンというのは、どっか優しい印象を与えるお話だが、これはネズミ男の存在感や、ネコ娘の活躍などそれぞれのキャラ配分が完璧だった。

対して『バレンタイン作戦』の方は、ネコ娘が鬼太郎にチョコを送ろうと頑張る、というおよそ原作にないテイストのホンで、これは脚本が僕の大好きな三条陸さんだった。三条さんは『仮面ライダーW』や、『ダイの大冒険』を書いた人だが、その健康的でハートフルな世界観が好きなライターさんだ。

この回のネコ娘はいやに可愛く、Adoもそこがお気に召したようだった。古い水木ファンならイマイチかもしれないが、これも中々いいんじゃないかと思った。何より、このシリーズは鬼太郎が少年漫画の主役っぽく、カッコよく戦うのが特徴だ。EDの氷川きよしの歌は、小室哲哉の作詞作曲で素晴らしい!
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