書きの種 ’25(エッセイ)

佐藤遼空

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もしも人事になったら……

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ふと、高校野球なんかを見ていて、「ああ、チームプレイに慣れてる人間は、組織人として使いやすいなあ」とか思った。いや、申し訳ないのだが、僕自身は武道家でオタクで、完全なシングルプレイヤーで、チームプレイが大の苦手……という人種なのである。

が、客観的に考えると、会社組織というのは各自に役割があって、構成員は自らの役割を自覚して能動的にその役割を実行できる方がいい。組織としては、そういう人間こそ使い勝手がいい。そう考えると、やっぱりチーム制のスポーツをやっていた人なんかは、凄くいいんだろうと思った。

まず、努力できる人間である、という事も重要だ。運動部の人は、努力して自らを訓練する。過酷な状況に音を上げず、自分を鼓舞して成長を目指す。そういう人は、移り変わりの激しい現代社会のなかで、組織が生き残る術を見つけるために、必要な素養だ。

その上で、例えば部長やキャプテンをしていたら、全体を見通す視点を持ってると期待できる。部下の人心掌握も、いいかもしれない。エースだったら、ここぞという時に、臆することなく大勢の前でプレゼンしたり、新しい提案ができるかもしれない。

そんな事考えると、たとえ優秀でもシングルプレイヤーというのは、組織によっては敬遠するだろうな、と思った。まあ、これも会社や職種によるだろうけど。例えばスティーブ・ジョブズなんかは、「アイデアの出せる人間」だけを求めたという。完全な、シングルプレイヤー志向だ。

例えば『SOA』のキリトとか、凄い優秀かもしれないけど、会社としては使いづらいだろうな、とか思ったりしたのだ。皆がパーティー組んで攻略を目指してるのに、敢えてソロプレイにこだわったキリト。……けど、物語の主役としてはカッコいいんだよなあ。

ただ、『ブルーロック』みたいな作品もあるし、チームプレイの方でも変わってきてるかもしれない。みんな大谷翔平になりたいと思ってるのかもしれないし。けど組織というのは、やっぱり組織に順応する人間を求めるだろうなとは思う。元気な球児たちは、未来は明るいんだなと思ったのだった。
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