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第8話・国王の勝つはずだった賭け
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ーーーそもそも、何故この会場の者が皆、特別留学生の顔を知らなかったのか、隣国からの大事なお客でパーティーの主役なのに、パールは招待された貴族達に混ざって立食していたのかと言えば、答えは単純明快。国王陛下の、『粋な計らい』であった。
どういうことかといえば、その答えも簡単だ。パールが美しかったから。
なんせ、ただ美しいだけではない。国の令嬢達の中でもトップレベルの教養とマナーを兼ね備えた、愛国心の強い優秀な淑女。バックにはファンクラブというものに入っている高位貴族令嬢(一部令息)達もおり、家柄も由緒正しき名門。
そんな、隣国ですら社交界のアイドルのようなパールが一般貴族に扮し、実は特別留学生でした、と言えば、周りの貴族は大層驚いて隣国の特別留学生という存在を強く印象に残すだろうし、なによりパールに、『好きにウチの国の貴族を査定してくれ』という意思表示でもあった。どんなにこの国が素晴らしいか、どんなにこの国を支える貴族達が思慮深いか、それを理解させ、納得してもらうための秘事。
ーーーだったのだが。
勿論、ミラベルのような令嬢と談笑していたのなら、パールはこの国に良い思いを抱いただろう。でも、
ーーー結果はどうだ?
ルゲインは曲がりなりとも公爵家の生まれであり、そしてこの国の宰相の息子。形だけは次期宰相という肩書を持つ、そこらの公爵子女子息よりよっぽど権力のある男児だ。
そんなルゲインを特別な、しかもルゲインの通う名門校に関するパーティーに招待しない訳にはいかず、何かと性格に難ありではあるがパーティーの参加を許したのだ。それは一重に、淑女教育の行き届いた令嬢達を信頼してのことでもあった。 ーーー結局、婚約者に断りもなくなくパートナーにリリーナを連れてくるという問題事を起こしたわけだ。いや、そもそもその婚約者との縁を切るために連れて来たのだから、許可なんて取るはずもないが。
そう、ルゲインはよりにもよって、国王が一か八かではなく十中八九の可能性で、パールがこの国の名門校に通う淑女達と仲良くなり利益があるだろうと踏んだ賭けを、大きく負けさせてしまったのだ。
「ーーーーっ、は、」
ルゲインも、その隣のリリーナも、パールの淑女らしい優雅な礼を、血の気の失せた顔で見つめた。
それを見て、パールは心のどこかがスッと愉快な気持ちになるのを感じる。
(反撃開始、とでも言っておこうかしら)
どういうことかといえば、その答えも簡単だ。パールが美しかったから。
なんせ、ただ美しいだけではない。国の令嬢達の中でもトップレベルの教養とマナーを兼ね備えた、愛国心の強い優秀な淑女。バックにはファンクラブというものに入っている高位貴族令嬢(一部令息)達もおり、家柄も由緒正しき名門。
そんな、隣国ですら社交界のアイドルのようなパールが一般貴族に扮し、実は特別留学生でした、と言えば、周りの貴族は大層驚いて隣国の特別留学生という存在を強く印象に残すだろうし、なによりパールに、『好きにウチの国の貴族を査定してくれ』という意思表示でもあった。どんなにこの国が素晴らしいか、どんなにこの国を支える貴族達が思慮深いか、それを理解させ、納得してもらうための秘事。
ーーーだったのだが。
勿論、ミラベルのような令嬢と談笑していたのなら、パールはこの国に良い思いを抱いただろう。でも、
ーーー結果はどうだ?
ルゲインは曲がりなりとも公爵家の生まれであり、そしてこの国の宰相の息子。形だけは次期宰相という肩書を持つ、そこらの公爵子女子息よりよっぽど権力のある男児だ。
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そう、ルゲインはよりにもよって、国王が一か八かではなく十中八九の可能性で、パールがこの国の名門校に通う淑女達と仲良くなり利益があるだろうと踏んだ賭けを、大きく負けさせてしまったのだ。
「ーーーーっ、は、」
ルゲインも、その隣のリリーナも、パールの淑女らしい優雅な礼を、血の気の失せた顔で見つめた。
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