Dream of Alice

彩。

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少年との出会いと

プロローグ

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赤く染まっていく視界に自分は思った。

全て悪い夢だったら良かったのに。

そうすれば、あの言葉も出来事もなく、いつも通り笑いながら学校に行き、楽しく過ごしていたいのに。どうして、こうなってしまったのだろう。

ふと伸ばした手には、生暖かいのに冷たい何かに触れた気がした。

**

全て真っ白の世界だった。

気が付くと私は辺り一面真っ白な場所に立っていた。何でこんなところにいるんだろうと疑問に思い、周りを見渡すと白いうさぎがこちらを見ていた。真っ白な空間と同化し、気付くのが遅くなったようだ。
その吸い込まれるような赤い瞳を見ていると、視線を逸らされ白うさぎは走り出した。私はその走る姿を最初は目で追いかけていたが、この白うさぎを逃がしてしまえば大切な何かを失う気がして走り出していた。

白うさぎは追いつきそうだったが追いつけず距離は縮まらない。そのもどかしさを感じながら必死に走る。だって、逃がしたら私はきっと後悔をする。そう思い、白うさぎが目の前にあった穴へと飛び込んだ時も迷いもなく自分も一緒に落ちた。
穴には自分以外にもぬいぐるみやアクセサリーの小物や机やタンスなど様々なモノが上から落ちていた。どこから落ちてきたんだろうと考えながらそれらを視線で追いかけると、下にいき底が真っ暗で終わりがないのに気付き青くなる。
後先考えず穴に落ちたが、これは危ないのではないかと咄嗟に落ちていた棚に手を伸ばしかけると、そこには白いロングコートの着た黒髪で赤目の少年が悲しそうな顔で立っていて。

「貴方は……」
「    」

その彼の名前を言う前に、真っ白な光が辺りを包み込み眩しくて瞼を閉じてしまった。その時に、優しく撫でる手の感触がして、恐る恐る瞼を開けるとそこは……

「え?」

また白い場所……いや、壁も床も白い真っ白な部屋だった。先程までいた穴の先がこの場所だと信じれず辺りを見回すと、白いテーブルと椅子があるのに気付いた。そして、床に這いつくばり何かを探している黒髪の少年がいるのも。
少年はブツブツ何か文句をいいながら、部屋内を歩き回り何かを探しているのを見ていると、何を探しているのか気になった。

「あ、あの……」
「……」

勇気を出して、声をかけるとぐるんと少年の黒い瞳が私を見る。少年は黙って私を見て、私も次の言葉が出ず彼を見つめてしまう。どこでもいそうな普通の少年だ。数秒見つめあったかと思うと、不機嫌そうな顔になりまた前をみて言い放った。

「なんだ女か」
「!?」

それだけ言うと、また何かを探し始める。いきなり女が現れたら、色々聞いて来ないだろうか? 私なら聞く。今だって色々聞きたいことがあるのだから。でも……

「……」

視線を送っても無視し、壁をぺたぺたと触って話しかけるなオーラが出ている。はっきりいってこの人はなんか怖そうだ。
だけど、話しかけないとわからないことが多すぎるしと、私は決意しすぅっと息を吸うと声をかけた。

「あ、あの……」
「……」
「ここで何しているんでしょうか?」
「……」

やはり無視だ。聞こえると思う程の声なのに、完全無視し少年はテーブルの下を覗いている。私は仕方なく彼の後ろに近寄って行く。

「あの……」
「あ?」
「ひぃ……!」

声かけると睨まれ、私は部屋の隅まで走って逃げる。隠れられるなら隠れたかったがここは隠れられるような場所がなく、怯えながら壁に手を当てると少年は、その姿見てやり過ぎたと思ったのかため息を吐きながら言う。

「……探しているんだよ」
「え?」
「だーかーら! この部屋から出る鍵を探しているんだよ!」
「この部屋から……あ!」

少年に言われて、部屋に扉があるのに気付いた。それもそうだ。扉がないと外に出れなくずっとこの部屋にいないといけないのだから。

「それくらい考えればわかるだろう」
「す、すみません……」
「謝るくらいなら自分で考えろ」

また少年はぺたぺたと壁を触っている。隠し扉がないかと探していたのかもしれない。私は扉に近寄り、カチャカチャとロブを回すが開かない。鍵はどこかと、思ったらテーブルの上に置いてあった。近寄ると不思議な小瓶が置いてあり……

「! あ、もしかして……」

何かの童話で見たことがあると、鍵を持ち小さな扉を探すとやはりあり、鍵穴に鍵を差し込み開ける。そして、不思議な小瓶を持っていると、文句を言いながら少年がテーブルの方にやってきた。

「なんだよこのケーキは……eat meとかどう考えても怪しい……ってアンタ何やって……」

小瓶の蓋を開け、飲もうとしているのを見て慌てて少年が近寄ってくる。怖いが、悪い人ではないと思い小瓶の液体の半分は残してあげようと近い、目の前で飲む。

「あー! そんな得体の知れないものを……って、……!?」

みるみる小さくなっていく私に彼は驚いた表情で見つめる。私は彼に小瓶を渡し、小さな扉の前に行くと見上げ彼に言う。

「これなら……外に出れると思います」
「アンタ……」
「貴方もどうでしょうか?」

そう言って私は、小さな扉から外に出た。

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