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次の日。
クラスに入ると、教室はどこか異様な空気に包まれていた。
女子たちも男子たちも、ひそひそとかたまって話していて……
その視線の先には、ひとり、離れた席でポツンと座るみゆきちゃん。
誰も声をかけようとせず、むしろ、見るたびにまたひそひそと声が上がる。
「隣のクラスの担任とも関係してたんでしょ」
「ていうか、私たちのこと、さんざん書いてたよね……」
「サイテー」
俺は、そんな空気にもまったく動じず、分厚い英語の本を読んでいる宗のもとへと歩いていった。
そのとき――
ガタンッ!
大きな音を立てて、みゆきちゃんが立ち上がった。
まるで悪鬼にとり憑かれたような形相で、俺の前に立ちはだかる。
顔を真っ赤にして、怒りを全身にまといながら、バシッと机を叩いた。
「あんたでしょ!」
「……え?」
「あんたが私の裏アカをばらしたんでしょ?!
成宮くんだって、前の二人だって……あんたにちょっかいかけたら、みんな消えた。
あんたが裏で手を回してるって、私、知ってるんだから!!」
静まり返る教室。
みんなが俺を遠巻きに見つめる。
「犬飼……こえぇ……」
「しっ……目をつけられたら、同じ目にあうぞ」
「やべぇ……まじで消される」
ひそひそ声すら止まり、教室は、音を失ったみたいに静まり返った。
(俺……なにも知らないのに……)
「俺……なにも……」
「きゃっ……!」
「もう、しゃべんなよ……こえぇな……」
(ひどい……)
消えてしまいたい。
心から、そう思ったそのとき――
「行くよ」
冷たいのに、どこか安心する手が、俺の手をしっかりと握った。
静かに、でも力強く、俺を教室から引き離していく。
***
視聴覚室。
俺は、宗にしがみついていた。
「俺、何も知らない……俺じゃない……!」
宗は、俺をしっかりと抱きしめて、耳もとでささやく。
「うん、分かってるよ、ユズじゃないって。
……私が、ユズのこと、分かってるから。
怖かったね……でも、大丈夫。私がいるから」
「うう……」
その言葉に、安心した。
涙がぽろぽろと流れ落ちる。
これは、安心の涙。
宗は、きっと分かってくれるって思ってた。
俺には、どんなに周りが敵になっても――
絶対に俺を理解してくれる人が、ここにいる。
それだけで、救われた。
宗の腕の中で、俺はすべてを委ねるように、
世界を遮断するように、そっと目を閉じていった。
――そして。
気づけば俺は、知らない部屋のソファの上にいた。
宗のひざに座らされて、
しっかりと、まるで壊れ物を守るように抱きしめられていた。
「あれ……?」
クラスに入ると、教室はどこか異様な空気に包まれていた。
女子たちも男子たちも、ひそひそとかたまって話していて……
その視線の先には、ひとり、離れた席でポツンと座るみゆきちゃん。
誰も声をかけようとせず、むしろ、見るたびにまたひそひそと声が上がる。
「隣のクラスの担任とも関係してたんでしょ」
「ていうか、私たちのこと、さんざん書いてたよね……」
「サイテー」
俺は、そんな空気にもまったく動じず、分厚い英語の本を読んでいる宗のもとへと歩いていった。
そのとき――
ガタンッ!
大きな音を立てて、みゆきちゃんが立ち上がった。
まるで悪鬼にとり憑かれたような形相で、俺の前に立ちはだかる。
顔を真っ赤にして、怒りを全身にまといながら、バシッと机を叩いた。
「あんたでしょ!」
「……え?」
「あんたが私の裏アカをばらしたんでしょ?!
成宮くんだって、前の二人だって……あんたにちょっかいかけたら、みんな消えた。
あんたが裏で手を回してるって、私、知ってるんだから!!」
静まり返る教室。
みんなが俺を遠巻きに見つめる。
「犬飼……こえぇ……」
「しっ……目をつけられたら、同じ目にあうぞ」
「やべぇ……まじで消される」
ひそひそ声すら止まり、教室は、音を失ったみたいに静まり返った。
(俺……なにも知らないのに……)
「俺……なにも……」
「きゃっ……!」
「もう、しゃべんなよ……こえぇな……」
(ひどい……)
消えてしまいたい。
心から、そう思ったそのとき――
「行くよ」
冷たいのに、どこか安心する手が、俺の手をしっかりと握った。
静かに、でも力強く、俺を教室から引き離していく。
***
視聴覚室。
俺は、宗にしがみついていた。
「俺、何も知らない……俺じゃない……!」
宗は、俺をしっかりと抱きしめて、耳もとでささやく。
「うん、分かってるよ、ユズじゃないって。
……私が、ユズのこと、分かってるから。
怖かったね……でも、大丈夫。私がいるから」
「うう……」
その言葉に、安心した。
涙がぽろぽろと流れ落ちる。
これは、安心の涙。
宗は、きっと分かってくれるって思ってた。
俺には、どんなに周りが敵になっても――
絶対に俺を理解してくれる人が、ここにいる。
それだけで、救われた。
宗の腕の中で、俺はすべてを委ねるように、
世界を遮断するように、そっと目を閉じていった。
――そして。
気づけば俺は、知らない部屋のソファの上にいた。
宗のひざに座らされて、
しっかりと、まるで壊れ物を守るように抱きしめられていた。
「あれ……?」
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