人気俳優に拾われてペットにされた件

米山のら

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おまけ

転がるミケ

ゴロゴロゴロゴロー、ゴロゴロゴロゴロー・・・

オレ、超絶人気俳優・白瀬洸のベッドで、呪いの上下を着て転がってる。

「あれ? ミケさん、最近よく転がってるっすね?」

不健康マネージャーの梅ちゃん(ついに名前覚えた!)が不思議そうに見てくる。

「うん、最近ハマってるようだね」

そう、オレ、最近ハマってる。ひたすらゴロゴロ。

「運動っすか?」

「特に意味はないみたいかな」

そう、意味はない。

ゴロゴロゴロゴロー、ゴロゴロゴロゴロー・・・

「真顔で転がるもんなんっすね」

そう、オレ、真顔で転がる。

「ミケ、そろそろ行くよ」

洸が手を伸ばす。スタタタッ――ぴょーん! 
ガシっと洸にしがみつく。イメージはコアラ。

「ミケ、本は選んだ?」

あっ、忘れてた。ぴょーんと飛び降りて、マイ図書館へ。

猫カフェの後、洸が買ってくれた童話全集がずらり。
パトラッシュとラスカルの仲間たちが揃ってる。

ふむふむと考えて、一冊を選び、梅ちゃんに渡す。

「お、小鹿物語っすか。いいっすね。ミケさんに癒されるっす。俺も猫飼いたくなったっす~」

その瞬間。

洸が無言ですたすたと近づいてくる。そしてオレをひょいっと抱き上げ――胸にぎゅ。
そのまま、梅ちゃんを鋭く見下ろす。

「ミケ、しっかり挨拶して。……梅田くんは、今日が担当最後だから」

「えっ、な、なんでっすか!? えっ!? 猫っすよ!? ミケさんじゃなくて、一般的な……普通の猫っす!!」

洸はいつものキラキラ笑顔――でもその目は、一切笑っていない。

「つまり……ミケは普通じゃなくて……特別ってことだよね?」

「違っ……す! 洸さんにとって特別ってことで……! ていうか、普通の猫もダメっすか!?」

オレ、思わず吹き出す。

「けけっ……」

「ミケさん、笑ってないで助けてくださいっす! 俺とミケさんの仲じゃないっすか!」

「つまり……私の知らないところで深い関係を築いてるってことかな?」

「違っ……! ただの、楽屋トーク仲ってだけっす!!」

「つまり……私が撮影してるあいだ、二人っきりで楽屋で……ってことだよね?」

「けけけっ……」

もう笑いが止まらなくて、オレは洸の首にしがみついたままケタケタ笑う。

「ミケさん、マジ小悪魔っす! 猫いらないっす、もう充分っす!!」

洸の腕がさらに強くなる。

「つまり……ミケが小悪魔的に魅力的だと認めたうえで、私に挑戦してるってことかな?」

「もう無理っす!! 洸さん、マジで面倒くさいっす!!」

梅ちゃん、天を仰いで絶叫した。


***


で、いろいろあったけど、梅ちゃんの首はつながって、いつものように楽屋で待機中。

オレ、小鹿物語を読んでる。でも、そろそろ……

ぴょいっ。

洸のサングラスを取り出して、梅ちゃんにうりうり。

「これ洸さんの撮影用じゃないっすか。なんでミケさんが持ってんすかー」

梅ちゃん、さっと取り上げて、出口へ。

「すぐ戻るんで、待っててくださいっす。電流流れて危ないっす」

パタリ。閉まる扉。

……よしっ。

広くなった畳の上を――

ゴロゴロゴロゴロー、ゴロゴロゴロゴロー……

……そのとき。

コンコンッ。

「洸さぁん、あかりでぇす♡」

あまったるい声。

ガチャ。

細長い女、登場。

「あれぇ、洸さぁん、いませんかぁ?」

目が合う。

ぱちくり。

「……ちっ、ミケだけかよ」

おっ、猫かぶり、外した。

「ってかさぁ、ここ仕事場だって分かってんの? あんた、毎回何しに来てんの?」

オレ、本読んで、ゴロゴロしてる。

「今日も飲み会あるのに、あんたがいるから洸さん来ないってよ。あんた、空気乱してんの。足ひっぱってるって、いい加減気づけよ」

……そっか、オレ、洸の足……ひっぱってたんだ。

「てか、あんた仕事してんの? いい年して、いつまで洸さんに寄生してんの?」

……オレ……寄生虫。

うん、細長い女が正しい。

「……分かったんなら出てけよ」

……分かった、オレ、出ていく。

小鹿……少し悩んだけど、お前は全集の仲間たちといた方が幸せだね。

オレはそっと出ていく――

バチバチバチバチ!!!

――静電気がさく裂して、すべてが途切れた。
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