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ひとりぼっちになってしまった寂しさもどこへやら。完全に男のペースに巻き込まれている。
「えー……と、あなたは?」
「っっっ!!!」
どっっっぱあぁぁぁ!
名前を聞いただけで歓喜の涙を流されるのはなぜだろう。
長い前髪で両眼が隠れちゃってるけど、どぱどぱ隠れたところから液体が流れているのだから涙で間違いないのだと思われる。
困惑するしかないけれども、大変喜ばれているらしい事実は理解した。少なくとも、目の前の青年はティキの目覚めをずっと待っていてくれたらしい。
永き眠りについた場所とはまったくちがう場所で目が覚めたことを考えても、眠っている間に保護してくれたとみてまちがいがない。
……もしかしたら、ティキの体内から病が消え去ったのは、この男のおかげかもしれないのだ。だから目ざめられたのだと考えると、合点がいく。
「古代種ちゃんがっ、ぼ、僕の名前をっ! 聞いてくれたっ!!」
しかもだ。
やはり男の話している言葉が理解できるようになっている。
魔力の混じりあった感じから考えて、先ほどのキスのおかげだと考えてまちがいがない。
ティキが話している言語は、永き時の流れとともに形を変えてしまったようだが、この男の魔力を通して、その言葉の意味を理解できるようだった。
キスを通して、舌に強い魔法術式を残されたようである。先ほどの舌が焼き付くような痛みはこれだったのだろう。
きっと、ティキと話をするためにちがいない。
どうにも歓喜に溺れすぎて会話するのに難儀はしそうだが、悪い人ではなさそうだ。
初対面でキスは正直驚いたが、話せるようにするためだとしたら理解はできる。というよりも、魔力の相性が相当いいらしく、悪い印象はない。
むしろ、この男はティキが目ざめたことがよほど嬉しかったらしく、こうも喜ばれてしまうと逆にどうすればいいのだろうか。
「あのっ、ぼっ……ぼく、僕はっ」
しっとりした黒髪の男だった。前髪が長くて目が隠れてしまっているけれど、不便ではないのだろうか。
年齢は――どれくらいだろう。二十代後半? もしかして三十代くらいなのだろうか? 部屋が薄暗いし、目元が隠れてしまっているためよくわからない。
そわそわ、そわそわ。彼はまったくもって落ち着きがなく、いろんな角度からティキの顔を見ている。そのうちに、はらりと前髪から目がのぞいた。
「!」
美しい瞳の持ち主だった。
彼は黄金色の美しい瞳をきらきら、きらきらと輝かせているようだった。
そのとても綺麗な目についついティキも目を奪われた。感激の涙で目が潤み、よけいに綺麗に見えてしまう。
言動はなにやら落ち着きはないけれども、悪いひとではない気がする。……もちろん、おそらく、だが。
「ロラン……ロラン・クーガって……いいますっ」
思いっきり声が裏返っている。
「古代種ちゃんとっ……お、お話できてっ…こ、光栄っでしゅ……ぐえ」
……思いっきり噛んでいる。大丈夫だろうか。
「えと……私は、ティキ・フィーエイル・エスティアルナ」
「!!」
「こ、古代種? 銀命族、の、生き残りです。まだ状況がぜんぜんわからなくて……あの、教えていただけた――」
「ティキ・フィーエイル・エスティアルナ!! ティキ!? やはりあの!? 眠りの魔女といわれた!? てぃっ……ふぁああああ!? ほんものっ!? やっぱり本物だった僕の予想は正しかったッ!!」
「!?!?!?」
がばっと思いっきり両手を握られ、ものすごい勢いで顔を近づけられる。黄金色の瞳がきらきら輝いていてそれはとても綺麗なのだけれど、圧が――圧がものすごい。
「紀元前――古代種が潰えたといわれ、その時代を記した文献もほとんどが失われたといわれる暗黒時代に残された数少ない史料イザレス手記の片隅に記された古代種を蝕む謎の病と古代種が唯一未来へと託した伝説の姫君! もしかしたら眠りについた君がそうなのではと思ってはいたけれども実のところ古代種かどうかも――そうだったフィンエールではないのかな正しい発音は君はフィーエイルと言っていたね、ああ言っていた! つまり長き歴史の中でやはり人々の発音ごと変わってしまったのか正しくはフィーエイル! フィーエイル! これは新事実だ。魔力が廻ってこの髪色おおおお! 銀青色とかロマンの塊じゃあないですか。なんて美しいんだ魔力の満ちたこの肢体――少女のようでありながら一族の使命を帯びてただひとり未来へと送り込まれた! あっでもこれはホント? イザレス手記は事実を書き示してあったのかどっちだ!? ねえティキちゃん! きゃああああ名前呼んじゃった!!!」
「は……はあ? ええと?」
早口すぎてなにを言っているのかさっぱりわからなかった。
わからないながら……なんだか、すっごく毒気を抜かれたのも事実だった。
「とりあえず、落ち着いて? ロラン……?」
「ふぁあああああ」
名前を呼ばれたあああ!!!
そう叫びながらロランは卒倒してしまった。
「え?」
ばしゃーん!
水びたしの床に仰向けに。
白目剥いて倒れてしまったロランを見おろし。
「えええええ?」
ティキはただひたすら困惑するばかりだった。
「えー……と、あなたは?」
「っっっ!!!」
どっっっぱあぁぁぁ!
名前を聞いただけで歓喜の涙を流されるのはなぜだろう。
長い前髪で両眼が隠れちゃってるけど、どぱどぱ隠れたところから液体が流れているのだから涙で間違いないのだと思われる。
困惑するしかないけれども、大変喜ばれているらしい事実は理解した。少なくとも、目の前の青年はティキの目覚めをずっと待っていてくれたらしい。
永き眠りについた場所とはまったくちがう場所で目が覚めたことを考えても、眠っている間に保護してくれたとみてまちがいがない。
……もしかしたら、ティキの体内から病が消え去ったのは、この男のおかげかもしれないのだ。だから目ざめられたのだと考えると、合点がいく。
「古代種ちゃんがっ、ぼ、僕の名前をっ! 聞いてくれたっ!!」
しかもだ。
やはり男の話している言葉が理解できるようになっている。
魔力の混じりあった感じから考えて、先ほどのキスのおかげだと考えてまちがいがない。
ティキが話している言語は、永き時の流れとともに形を変えてしまったようだが、この男の魔力を通して、その言葉の意味を理解できるようだった。
キスを通して、舌に強い魔法術式を残されたようである。先ほどの舌が焼き付くような痛みはこれだったのだろう。
きっと、ティキと話をするためにちがいない。
どうにも歓喜に溺れすぎて会話するのに難儀はしそうだが、悪い人ではなさそうだ。
初対面でキスは正直驚いたが、話せるようにするためだとしたら理解はできる。というよりも、魔力の相性が相当いいらしく、悪い印象はない。
むしろ、この男はティキが目ざめたことがよほど嬉しかったらしく、こうも喜ばれてしまうと逆にどうすればいいのだろうか。
「あのっ、ぼっ……ぼく、僕はっ」
しっとりした黒髪の男だった。前髪が長くて目が隠れてしまっているけれど、不便ではないのだろうか。
年齢は――どれくらいだろう。二十代後半? もしかして三十代くらいなのだろうか? 部屋が薄暗いし、目元が隠れてしまっているためよくわからない。
そわそわ、そわそわ。彼はまったくもって落ち着きがなく、いろんな角度からティキの顔を見ている。そのうちに、はらりと前髪から目がのぞいた。
「!」
美しい瞳の持ち主だった。
彼は黄金色の美しい瞳をきらきら、きらきらと輝かせているようだった。
そのとても綺麗な目についついティキも目を奪われた。感激の涙で目が潤み、よけいに綺麗に見えてしまう。
言動はなにやら落ち着きはないけれども、悪いひとではない気がする。……もちろん、おそらく、だが。
「ロラン……ロラン・クーガって……いいますっ」
思いっきり声が裏返っている。
「古代種ちゃんとっ……お、お話できてっ…こ、光栄っでしゅ……ぐえ」
……思いっきり噛んでいる。大丈夫だろうか。
「えと……私は、ティキ・フィーエイル・エスティアルナ」
「!!」
「こ、古代種? 銀命族、の、生き残りです。まだ状況がぜんぜんわからなくて……あの、教えていただけた――」
「ティキ・フィーエイル・エスティアルナ!! ティキ!? やはりあの!? 眠りの魔女といわれた!? てぃっ……ふぁああああ!? ほんものっ!? やっぱり本物だった僕の予想は正しかったッ!!」
「!?!?!?」
がばっと思いっきり両手を握られ、ものすごい勢いで顔を近づけられる。黄金色の瞳がきらきら輝いていてそれはとても綺麗なのだけれど、圧が――圧がものすごい。
「紀元前――古代種が潰えたといわれ、その時代を記した文献もほとんどが失われたといわれる暗黒時代に残された数少ない史料イザレス手記の片隅に記された古代種を蝕む謎の病と古代種が唯一未来へと託した伝説の姫君! もしかしたら眠りについた君がそうなのではと思ってはいたけれども実のところ古代種かどうかも――そうだったフィンエールではないのかな正しい発音は君はフィーエイルと言っていたね、ああ言っていた! つまり長き歴史の中でやはり人々の発音ごと変わってしまったのか正しくはフィーエイル! フィーエイル! これは新事実だ。魔力が廻ってこの髪色おおおお! 銀青色とかロマンの塊じゃあないですか。なんて美しいんだ魔力の満ちたこの肢体――少女のようでありながら一族の使命を帯びてただひとり未来へと送り込まれた! あっでもこれはホント? イザレス手記は事実を書き示してあったのかどっちだ!? ねえティキちゃん! きゃああああ名前呼んじゃった!!!」
「は……はあ? ええと?」
早口すぎてなにを言っているのかさっぱりわからなかった。
わからないながら……なんだか、すっごく毒気を抜かれたのも事実だった。
「とりあえず、落ち着いて? ロラン……?」
「ふぁあああああ」
名前を呼ばれたあああ!!!
そう叫びながらロランは卒倒してしまった。
「え?」
ばしゃーん!
水びたしの床に仰向けに。
白目剥いて倒れてしまったロランを見おろし。
「えええええ?」
ティキはただひたすら困惑するばかりだった。
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