【R18】千年の眠りからさめた古代種ですが、ど変態研究者につかまっていたようです!

浅岸 久

文字の大きさ
3 / 14

−3−

しおりを挟む
「ごめんなさい、ごめんなさいっ。無駄な魔力を使わせてしまいまして、はあああでもティキちゃんの魔力まぢ美……ありがとうございます!!!」
「は、はあ……」

 あのあと。
 無事に魔力脈に力が戻ったティキは、気を失ったロランに回復魔法をかけてみたわけなのだが。――目がさめた彼は挙動不審になりながら、ティキに必要以上に頭を下げまくっているわけである。

 それから場所移動を試みたが、やっぱり大変だった。
 なんせ、ティキは素っ裸。
 お互いにいろんな方向へ意識が飛んでいたため、裸であることにまで気が回っていなかったのだが――当然、その事実にはっきりと意識が向いた瞬間、ロランは鼻血で綺麗に弧を描きながら再びぶっ倒れた。

 気を失っているひとの物を奪うのは気が引けたけれども、彼が羽織っていた白い上着を引っ剥がして、ティキは身にまとうことに成功する。ついでに鼻血で残念なことになった白衣も魔法で綺麗にしてしまう。うん、魔力の廻りは好調だ。
 それから回復魔法2回目。
 目ざめたロランはやっぱりロランで、ティキが裸の上にロランの白衣をまとっていることに気がついた瞬間、はだか白衣いいいいい! と叫びながら気を失いかけた。
 というわけで、回復魔法3回目。

 …………ロランを落ち着かせるだけでものすごーく時間がかかったわけだが、それはまあいい。
 ようやくロランも、ティキと相対することに慣れてきたようである。いちいちクラクラしているものの、ようやく気絶することなく状態が安定してきた。たぶん。……これではどちらが病人かわからない。

 ただ、このロランという青年が非常に純朴(?)で、ティキに対して好感情を抱いてくれていることは理解した。
 そのあとようやく、建物の地下室から生活スペースである2階まで連れて行ってもらい、今に至るわけだ。
 そう…………ようやく。
 ようや……く……。


 …………というか、なんだこれ。
 なんだこの部屋――と、ティキはその部屋の内装を見た瞬間怖じ気づいた。

 ふりっふりのレースたっぷりの白と、あわいピンク色で誂えられた、大変少女趣味なお部屋だった。
 どの家具も大変美しい装飾がはいっており、ソファーやベッドのシーツなどの手触りも最高のひとこと。ティキが眠っている間に文化や技術がどれほどの進化をとげたのかはさっぱりわからないが、素晴らしい品質の調度品の数々である。

 くたくたになったシャツとズボンをまとった、目元すらも隠れてよく見えないぼんやりしたロランの姿からは想像もできないような完璧な部屋である。

「てぃっ、ティキ、ちゃんが、いつか目ざめたらって。僕、がんばりました!」

 目ざめなくても、お部屋を誂えて妄想ごにょごにょ、と余計なセリフが聞こえた気がするけれども、そろそろスルースキルを身につけてきたティキである。さくっと聞かなかったことにしてずかずかと部屋の中に入ると、後ろからひゃああああ! と歓喜の声が聞こえてきた。
 この部屋にティキがいる――その事実だけでロランは盛り上がれるらしい。

 ……どうもここは、ティキのためだけの部屋、ということなのだろう。
 眠りについていたときからずっと、いつか目ざめる日のことを考えて、ここまで用意してくれた……らしい。
 あまりの気合いの入りように、もはや好意という単純な言葉で表現していいのかどうかもわからなくなってきた。

 けれどもティキは族長の娘。誰かに傅かれることには慣れている。
 ひとりがけのもっふもふのソファーにこしかけて、肘掛けにそれぞれ手を置いた。うむ、たいへん座り心地がいい。
 はだか白衣でお姫さまちっくな部屋におさまっているティキの様子を見て、ロランはひゃあああとさらに大騒ぎだ。
 ばたばたばた、とその場で駆け足しつつ、そのまま、ちょっと待って!!! と慌てて隣の部屋へ立ち去った――かと思うと、光の速さでなにか四角い機械を持って帰ってきた。

「スゴい! ティキちゃん! 眠りの魔女さまーッ!!」

 パシャパシャパシャ!!!

(!? 眩しいっ!?)

 激しいフラッシュに驚きながらも、動かないで! と言われてしまえば動けない。

「ティキちゃん! 完璧すぎますっ。ちょっと小首を傾げて……そうっ!! あ、となりのうさぎさんのぬいぐるみ持って……そ、そうっ!!!」

 いわく、写真というものを撮影されているらしい。

 ……意味がわからないが、あまりにもロランが幸せそうなのでつっこまずにいることにする。
 ……いや……ほんとに、つっこまなくていいのだろうか、むしろ。
 このまま流されていたらいつまでたっても事情は聞けないぞ……と不安に思いながらも、なんだか実に楽しげな彼に水を差したくない気持ちもあり。
 みなが病に侵されていた一族の青年からはついぞ見たことのないような笑顔(ばっちり目元は隠れているけれども)が微笑ましくて、目元が緩んでしまう。

 そんな何気ないティキの笑顔に、さらにロランは発狂するわけだが、それもおかしくてティキは笑った。
 彼が満たされるまでひたすら写真撮影につきあったのち、ようやく……ほんとうの、ほんとうに、今度こそ、事情を聞くのに成功したのである……。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

淫紋付きランジェリーパーティーへようこそ~麗人辺境伯、婿殿の逆襲の罠にハメられる

柿崎まつる
恋愛
ローテ辺境伯領から最重要機密を盗んだ男が潜んだ先は、ある紳士社交倶楽部の夜会会場。女辺境伯とその夫は夜会に潜入するが、なんとそこはランジェリーパーティーだった! ※辺境伯は女です ムーンライトノベルズに掲載済みです。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

処理中です...