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地球が静止した日
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史実上、類を見ない異常気象に関するニュースが行われる中でその報せは電撃的に知らされた。
「番組の途中ですが、ここでこの異常気象の原因を知っていると名乗る団体からビデオメッセージが入りました。彼らはメシア機を所有する組織Aを語っています。彼らが一体、何を知っているのか、またこの事態に対して何を告げるのかノーカットで放送しますので御覧下さい」
そして、映像が回され、そこには豪雨が振り仕切る窓と目の前のデスクに座る男がいた。
張 黄燐その人だ。
「この放送を見ている全人類に告げる。わたしは組織Aの参謀をしている。張 黄燐と申します。この話をする前にわたしは予め言っておきます。我々のこれは警告だ。決して交渉などではない。我が組織のこの異常気象に対する解決策を既に用意している。しかし、それに人類の助力は必要としない。わたしがこれを告げるのはある男性の働きに免じて今一度警告しようと考えた為だ。間違っても我々と交渉しよう等と考えない事だ」
辛辣な前置きを済ませ、黄燐は本題に入った。
「さて、今回の異常気象ですが、結論を言います。これは人類が自らの罪に起こした宿業です。SWNと言う事象具現作用のある粒子による事象顕現による気象攻撃、それはこの異常気象の真実です。」
そのように言って画像の横にWN粒子の基礎理論と思われる物を羅列していく。
テレビを見た一部の量子力学者達の視線はその数式の論理性をすぐさま理解した。
「我々はこの世界にSWNが増大しないように様々な策を労した。我々の所属会社であるアーリア サイバーテクノロジーが提供したNOもその1つだ。NOはオンラインゲームを利用した他世界量子テレポートを可能とし別の世界プレイヤーを受肉させる事でその世界のSWNの塊であるエネミーを討伐する事でその削減に貢献させる為のシステムだ。」
それを聴いたNOプレイヤー達は驚愕した。
内容を整理すると「あの世界は並行世界の類であり現実の世界です。あなた達はSWNの削減活動させられていました」と言うモノだったからだ。
逆にその説明で得心できる事もあった。
あまりにリアルに造り込まれているのでアレが現実だと説明された方がどこか納得がいくプレイヤーもいた。
「我々、組織AはSWNによる事象災害を防止する為に活動する組織だ。その為に事象具現獣……あなた達が害獣と呼んだ敵をメシア機つまりは我々が保有する独自兵力APネクシルによって掃討していた。」
画面にはメシア機のカモフラージュを解いたネクシルの戦闘動画が出現した。
その機体はギデオンクラスターの機体である事を見抜くまでにそんなに時間はかからなかった。
良くも悪くもギデオンクラスターの名はアメリカ軍でも日本でも轟いていたからだ。
「しかし、あなた方は我々を今までの行動を無意味にした。我々はかつて、あなた方に警告した。10年前に宇宙に移し出された巨大な男と女の人影を通してそれを伝えたはずだ」
それは10年前の事だ。
宇宙空間に男と女が言い争いながら戦う姿が世界の全てに轟くように伝えられた。
女神と悪魔の戦いとも言われた戦いであった。
「あなた方はその警告を無視し悔い改めなかった。それにより世界のSWNは増大し害獣の出現やボストンで発生した疫病、更にはクリチャーの出現を許した!」
黄燐の口調が静かな口調から熱が籠ったような強気な口調に変わってきた。
「このようにSWNを無尽蔵に振り撒く行為そのものが我々からすれば害獣と変わりない。人類が害獣と言って良いだろう。その上であなた方、人類が選べる道は2つだ!」
黄燐は2本の指を立てた。
「害獣として今すぐ、駆除されるかそれともこの放送が終了してから10秒間一切例外なく誰1人として言葉を発しないか好きな方を選べ。前者を選択するなら我々は即座に報復行動を取る。NOの世界でアメリカ軍が量産したMk25核弾頭を全てアメリカ本土に返す。この意味が分かるか?アメリカ本土にある核発射基地に対して集中運用する。Mk25は安全性等は一切考慮されていない。落下の衝撃で誘爆するだろう。その放射能が基地の核爆弾を誘発させる。そうなれば、アメリカが自国の被害を抑える為に他国に核爆弾を発射するだろう。そうなれば、世界各地に核が降り注ぎ核保有国の核も誘爆する。そして、アメリカと同じ考えに至る。後はどうなるか言うまでもないだろう?我々にはそれを起こすだけの実行力がある。信じる信じないはあなた方の勝手だが、我々は確実に実行する。我々にとって人類は必要ない。その事を忘れずに選択すると良い。今から10秒後に法則を終了させる。世界人口の60%以上が沈黙しなかった場合、敵対行動と見做す。以上だ」
カウントダウンが始まった。
人類は試された。
自らの貪欲と妄信で世界を消すかそれとも救いに至る為に従順を選ぶか
従順と言うのはZWNを伴う。
黄燐の言葉に対してそれに従順するならZWNが生成される。
しかし、不従順はSWNを伴う。
この状況を打破するには最低でも60%は必須であった。
それに達しないならそれは全ての人類の責任であり誰の責任でもない。
10秒の間世界は混迷し焦り、突然の勧告に混乱した。
だが、これは決して理不尽ではない。
何故なら10年前に警告して無視し続けたのは人間だ。
警告を聴かなかったのはその人間の自己責任であり聴かないからこの土壇場で選択を迫られるのだ。
人間とは非常に愚かな生き物だ。
命に関わる警告をしても自分の貪欲で平然とそれを無視して警告者の憂いを平然と無視し嘲る。
人間の生存本能等所詮高が知れている。
人間の悔い改めとは、このように切羽詰まった環境に振り回されて選択するモノではなく災いに備えるように前もって準備し日頃から行うモノである。
ここで60%すら同意できないなら人類に生きる価値はさほどない。
人類を脅すような事を悪とする考えもあるかも知れないがそうなる前に行動しなかったのも悪である。
寧ろ、警告者が態々、反感を覚悟で再度、警告した事こそ慈悲と言える。
それに不平を抱く事が悪と言える。
人類はこの10秒の間に貪欲と生存の間で意志が揺れた。
従順したくないと言う貪欲的な罪の本能に従う獣となるとそれとも一時とは言え、従順になり獣のような本性を理性で抑えるかその狭間で大きく揺れ、大きく動揺した。
そして、カウントが0となった時……地球は静止した。
まるで全ての生命活動が停止したように世界に静寂が立ち込めた。
世界人口の70%が警告に従った瞬間だった。
それと共に嵐が静まった。
「番組の途中ですが、ここでこの異常気象の原因を知っていると名乗る団体からビデオメッセージが入りました。彼らはメシア機を所有する組織Aを語っています。彼らが一体、何を知っているのか、またこの事態に対して何を告げるのかノーカットで放送しますので御覧下さい」
そして、映像が回され、そこには豪雨が振り仕切る窓と目の前のデスクに座る男がいた。
張 黄燐その人だ。
「この放送を見ている全人類に告げる。わたしは組織Aの参謀をしている。張 黄燐と申します。この話をする前にわたしは予め言っておきます。我々のこれは警告だ。決して交渉などではない。我が組織のこの異常気象に対する解決策を既に用意している。しかし、それに人類の助力は必要としない。わたしがこれを告げるのはある男性の働きに免じて今一度警告しようと考えた為だ。間違っても我々と交渉しよう等と考えない事だ」
辛辣な前置きを済ませ、黄燐は本題に入った。
「さて、今回の異常気象ですが、結論を言います。これは人類が自らの罪に起こした宿業です。SWNと言う事象具現作用のある粒子による事象顕現による気象攻撃、それはこの異常気象の真実です。」
そのように言って画像の横にWN粒子の基礎理論と思われる物を羅列していく。
テレビを見た一部の量子力学者達の視線はその数式の論理性をすぐさま理解した。
「我々はこの世界にSWNが増大しないように様々な策を労した。我々の所属会社であるアーリア サイバーテクノロジーが提供したNOもその1つだ。NOはオンラインゲームを利用した他世界量子テレポートを可能とし別の世界プレイヤーを受肉させる事でその世界のSWNの塊であるエネミーを討伐する事でその削減に貢献させる為のシステムだ。」
それを聴いたNOプレイヤー達は驚愕した。
内容を整理すると「あの世界は並行世界の類であり現実の世界です。あなた達はSWNの削減活動させられていました」と言うモノだったからだ。
逆にその説明で得心できる事もあった。
あまりにリアルに造り込まれているのでアレが現実だと説明された方がどこか納得がいくプレイヤーもいた。
「我々、組織AはSWNによる事象災害を防止する為に活動する組織だ。その為に事象具現獣……あなた達が害獣と呼んだ敵をメシア機つまりは我々が保有する独自兵力APネクシルによって掃討していた。」
画面にはメシア機のカモフラージュを解いたネクシルの戦闘動画が出現した。
その機体はギデオンクラスターの機体である事を見抜くまでにそんなに時間はかからなかった。
良くも悪くもギデオンクラスターの名はアメリカ軍でも日本でも轟いていたからだ。
「しかし、あなた方は我々を今までの行動を無意味にした。我々はかつて、あなた方に警告した。10年前に宇宙に移し出された巨大な男と女の人影を通してそれを伝えたはずだ」
それは10年前の事だ。
宇宙空間に男と女が言い争いながら戦う姿が世界の全てに轟くように伝えられた。
女神と悪魔の戦いとも言われた戦いであった。
「あなた方はその警告を無視し悔い改めなかった。それにより世界のSWNは増大し害獣の出現やボストンで発生した疫病、更にはクリチャーの出現を許した!」
黄燐の口調が静かな口調から熱が籠ったような強気な口調に変わってきた。
「このようにSWNを無尽蔵に振り撒く行為そのものが我々からすれば害獣と変わりない。人類が害獣と言って良いだろう。その上であなた方、人類が選べる道は2つだ!」
黄燐は2本の指を立てた。
「害獣として今すぐ、駆除されるかそれともこの放送が終了してから10秒間一切例外なく誰1人として言葉を発しないか好きな方を選べ。前者を選択するなら我々は即座に報復行動を取る。NOの世界でアメリカ軍が量産したMk25核弾頭を全てアメリカ本土に返す。この意味が分かるか?アメリカ本土にある核発射基地に対して集中運用する。Mk25は安全性等は一切考慮されていない。落下の衝撃で誘爆するだろう。その放射能が基地の核爆弾を誘発させる。そうなれば、アメリカが自国の被害を抑える為に他国に核爆弾を発射するだろう。そうなれば、世界各地に核が降り注ぎ核保有国の核も誘爆する。そして、アメリカと同じ考えに至る。後はどうなるか言うまでもないだろう?我々にはそれを起こすだけの実行力がある。信じる信じないはあなた方の勝手だが、我々は確実に実行する。我々にとって人類は必要ない。その事を忘れずに選択すると良い。今から10秒後に法則を終了させる。世界人口の60%以上が沈黙しなかった場合、敵対行動と見做す。以上だ」
カウントダウンが始まった。
人類は試された。
自らの貪欲と妄信で世界を消すかそれとも救いに至る為に従順を選ぶか
従順と言うのはZWNを伴う。
黄燐の言葉に対してそれに従順するならZWNが生成される。
しかし、不従順はSWNを伴う。
この状況を打破するには最低でも60%は必須であった。
それに達しないならそれは全ての人類の責任であり誰の責任でもない。
10秒の間世界は混迷し焦り、突然の勧告に混乱した。
だが、これは決して理不尽ではない。
何故なら10年前に警告して無視し続けたのは人間だ。
警告を聴かなかったのはその人間の自己責任であり聴かないからこの土壇場で選択を迫られるのだ。
人間とは非常に愚かな生き物だ。
命に関わる警告をしても自分の貪欲で平然とそれを無視して警告者の憂いを平然と無視し嘲る。
人間の生存本能等所詮高が知れている。
人間の悔い改めとは、このように切羽詰まった環境に振り回されて選択するモノではなく災いに備えるように前もって準備し日頃から行うモノである。
ここで60%すら同意できないなら人類に生きる価値はさほどない。
人類を脅すような事を悪とする考えもあるかも知れないがそうなる前に行動しなかったのも悪である。
寧ろ、警告者が態々、反感を覚悟で再度、警告した事こそ慈悲と言える。
それに不平を抱く事が悪と言える。
人類はこの10秒の間に貪欲と生存の間で意志が揺れた。
従順したくないと言う貪欲的な罪の本能に従う獣となるとそれとも一時とは言え、従順になり獣のような本性を理性で抑えるかその狭間で大きく揺れ、大きく動揺した。
そして、カウントが0となった時……地球は静止した。
まるで全ての生命活動が停止したように世界に静寂が立ち込めた。
世界人口の70%が警告に従った瞬間だった。
それと共に嵐が静まった。
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