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第二章 魔王と勇者、世界消失の謎
ダンジョン攻略
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この日、勇者アラン率いるパーティー一行はとあるダンジョンの攻略に向かっていた。
ダンジョン攻略は基本的にどんな人物、種族でも行っていいことになっている。理由は二つある。
一つは冒険者でないせいでギルドを介して収入を得ることが出来ない者でも、ダンジョン自体に収入となる財宝が眠っているので、ダンジョン攻略での報酬が期待できるからだ。
ただ冒険者であるアランたちは冒険者ギルドからのダンジョンの情報提供という依頼を受けているので、ギルドからの収入とダンジョンでの成果を合わせればかなりの報酬が見込めるのだが。
だがダンジョン攻略は割のいい仕事ではない。これが二つ目の理由。ダンジョン攻略は危険が大きすぎて常人にはまず不可能だという点だ。
ダンジョンには様々な財宝や珍しい魔道具などが存在しているが、それに見合う程の高レベルなモンスターが住まわっているのだ。
モンスターの障害を撥ねのけダンジョンを攻略するのは、かなり高レベルのパーティーでないと不可能だと考えられている。まずソロでダンジョンを攻略しようなんて考える者はいない。
それこそ一人でダンジョンを攻略しようとするなら、エルフや魔人の中でも最強の部類に入る者ではないと話にならないのだ。
それ程までにダンジョン攻略は危険を孕む仕事なのだ。
そんな危険な仕事をアランのパーティーが受けることを冒険者ギルドが認めたというのは、それ程までに実力を認められているということでもあるのだ。
そしてアランはこのダンジョン攻略に、収入以上のある目的を持っており、それを己の胸の内に秘めていた。
「今のところ低級モンスターしかいないようですね」
ダンジョンの道を進んで半刻ほどしたころ、エリンは周りを見渡しながらそう呟いた。このダンジョンは全五階層まであり、現在アランたちがいるのは一階層で二階層一歩手前といったところだ。
階層の数字が増えていくごとにモンスターのレベルも上がり攻略が困難になっていくダンジョンにおいて、現段階の攻略難度は易しい方だった。
事実現れるモンスターはスライムやゴブリンぐらいで、片手間に排除できるレベルだったのだ。
「あぁ。だがダンジョンでは様々なことが起こりうる。決して…………」
確かに一階層には低級のモンスターしか現れない。だが他の階層のモンスターが一階層まで足を運ばないとも限らない。その旨をアランがメンバーに伝えようとしたその時。
「油断しない方が得策だよね!」
「「……………………」」
アランの発言に重ねるように話したのは、何処からともなく現れた命だった。アランたちは驚きと、命に対して問いたださないといけない様々な事項が山積みになってしまったことで、思わずその口を噤み沈黙状態を作り出してしまった。
それに加え、命の何の含みもない満面の笑みを目の当たりにしたことで、何をどう切り出せばいいのかも分からなくなってしまったのだ。
「ん?みんなどうしたの?」
「…………あ、えっと……ミコトくん、いつからいたんだい?」
命のキョトンとした表情で漸く言葉を絞り出したアランはまずその質問をした。命の周りには誰もおらず、このダンジョンにたった一人で入ったことは明白で、それはアランからすれば自殺行為の何物でもない為、アランのその声は咎めるようなトーンだった。
「ん?いつからって最初から。お兄さんたちについてきただけだよ」
「「え!」」
命の言葉にアランたちは思わず声を上げた。最初からアランたちについていたのなら、然程の危険はなかったことは明らかな為、アランが命を咎める理由は無くなったのだ。
「最初からって……全く気配に気づかなかったぞ」
アランたちが驚いたのは、誰一人命の存在に今の今まで全く気付かなかったからだ。Sランクのパーティーメンバーである五人が長い間、命の存在に全く気付くことが無かったというのは、異常としか呼べない現象なのだ。
もちろん命が完全に気配を消していたからなのだが、命がどんな存在かなんて知らないアランたちにとっては困惑する他なかったのである。
命が気配を消していたのは、ダンジョンをある程度進んだときにその姿を現せば、命が一人で帰る方が危険であると勝手にアランたちが心配してくれ、一緒にダンジョンを進めると思ったからだ。
「えへへ……僕勝手についていくから気にしないで。このダンジョンのお宝には興味ないから、君たちの収入を横取りしたりしないし」
「じゃあどうしてついてきたんだい?」
「友達を見かけたら一緒にいたいって思うのは普通でしょ?」
ダンジョン攻略についてくる理由など、報酬しかないと思っていたアランたち一行は一様に首を傾げた。だが命が語った理由を聞くと何も言えなくなってしまった。
確かに普通の道端で友人とばったり会えば、声をかけその後の道を共にするなんてよくあることだ。その場所がダンジョンなどで無ければ。だが命の実力がそこそこ以上なのはエリンの話でアランたちも理解している。ダンジョン攻略についていくというのも無謀な行為ではない。
それに加え、アランたちはエリンを救ってもらったお礼として、命の友人になって欲しいという望みを受け入れた立場だ。ついてきた理由に〝友人〟を出されると反論しずらかったのだ。
もちろんこの全てが命の思うつぼなのだが、アランたちにそれを知る術など無かった。
「はぁ……分かった。今から一人で帰すのも心配だし、俺たちについてくるといいよ。ただし、危険なことはしないように!」
(よし、おちた)
「うん!ありがとう、お兄さん」
命の有無を言わさぬその笑顔に完敗してしまったアランは、渋々命のダンジョン攻略同行を許した。心の中で命が随分と失礼なことを考えているなんて、アランたちには全く悟らせないその笑顔は、神々が見ていれば少し不気味と感じるものだっただろう。
ダンジョン攻略は命が手を出す間もなくどんどん進んでいった。そこは流石のSランクである。一人一人の実力はもちろん、このパーティーは連携もよくとれていて、お互いの長所を伸ばし短所をカバーし合えるようなパーティーだと命は感じた。
主な攻撃を担うのはもちろんアラン。その類稀なる魔法と、鍛錬してきた身のこなしや剣の腕も悪くない。アランは自分の優れた魔法に驕ることなく、他の攻撃手段も磨いていたのだ。
アランと共に敵に攻撃魔法を繰り出すのはエリンだ。彼女はアランのように魔法以外では特別目立った点は無いが、アランにはできないような変わった魔法攻撃も使える魔法のエキスパートだ。
モニアスは遠くからの遠隔魔法を得意としていて、防御力にも定評がある。彼女の作り上げる防御結界を破るのは至難の業なのだ。
最年少のサミュカは一度のダメージが大きい極大魔法を得意とする魔法使いだ。ただ魔法を発動するまでかなり時間がかかり、魔法を放った後はしばらく魔法を使えなくなってしまう為、アランたちが敵にダメージを与えた後の止めとして機能することが多い。
最年長のシリオスは治癒魔法を得意としている。戦闘中仲間の傷を癒したり、魔力を少しだが回復させることもできるためパーティーには無くてはならない存在だった。
そんなメンバーをそろえたアランのパーティーは危なげもなく五階層まで到達した。だがここからが問題なのだ。
ダンジョンはそれまでの階層と最終階層との差が歴然で、しかもこれまで戦闘してきた疲労が一番溜まっている時でもある。
もちろん攻略した四階層でしばらく休んでから五階層へと向かうのだが、いつ何が起こるか分からないこのダンジョンにおいて完全に気を休めるのは不可能なのだ。
五階層は今までのようにはいかない為、アランたちの警戒も強まった。
「もう五階層なんてやっぱりお兄さんたちは強いんだね!」
だがここに空気の読めない創造主が一人ほどいた。
ここまで命は本当に何もしておらず、ただアランたちの後をついているだけだった。もちろん自分に降りかかった火の粉は自分で払っているので、そこはアランたちも感心しているのだが。
「まぁ一応Sランクを名乗っているからね」
「あ!来ました!」
アランが苦笑いすると、敵の襲来に気づいたエリンが声を上げた。その合図で五人は一斉に警戒態勢を取り、攻撃を始めた。
アラン、エリンが前衛。モニアス、サミュカ、シリオスが後衛といった感じで戦闘は始まった。敵はミノタウロスで体長は約二〇メートルにも及んだ。
ミノタウロスは四階層にもいたが、その時とは比べ物にならないほどの大きさとオーラを持っていた。
アラン、エリン、モニアスが攻撃を続ける中、シリオスはいつでも極大魔法を放てるように準備をしている。
するとシリオスの魔法攻撃が脅威になることを知ってか知らずか、ミノタウロスはその手に持った大きな斧を勢いよくシリオス目がけて投げつけた。
シリオスやアランたちがそれに気づいた時、今まで自分の身しか守っていなかった命が、目にも止まらぬ速さで向かってくるその斧を正確に狙い、思いきり回し蹴りすることで誰もいない地面へと斧は落ちていった。
「……大丈夫?」
「あ……ありがとう。ミコトくん」
シリオスが怪我をしていないか確認した命を、シリオスは茫然としながら見つめた。ダンジョンの最終階層に住まうミノタウロスの攻撃を魔法を使わず、素足で防いでしまったのだから当然だが。
命はあの攻撃からアランたちがシリオスを守ろうとするのでは間に合わないと判断し、漸く戦闘に少しだけ参加したのだ。
シリオスは命に守ってもらったことで再び極大魔法の準備に取り掛かった。それを確認して安心したアランたちも再びミノタウロスとの戦闘に集中した。
結局最後はシリオスの極大魔法が見事に効き、ミノタウロスは倒されたのだった。
ダンジョンの五階層攻略はなかなか骨が折れたが、アランたちの連携やたまに入る命の援護によって、このダンジョンのボスを倒すことが出来た。
ボスを倒した先には様々な財宝や珍しい魔道具があり、パーティーのメンバーはそれらをアイテムボックスに入れる作業に入った。
アイテムボックスは魔道具の一種で、その外見の何倍ものアイテムを収納することのできる冒険者の必需品である。
アイテムボックスは値段や所有者の魔力の量によって容量が変わる。その為Sランク冒険者で収入を多く得ていて、魔力を大量に保持しているアランのアイテムボックスはまだ限界というものを知らない。
そんなアランは財宝をアイテムボックスに収納しながら何かを探しているようで、その必死さにパーティーメンバーが首を傾げる中、その理由を知っているのは命ただ一人だった。
ダンジョン攻略は基本的にどんな人物、種族でも行っていいことになっている。理由は二つある。
一つは冒険者でないせいでギルドを介して収入を得ることが出来ない者でも、ダンジョン自体に収入となる財宝が眠っているので、ダンジョン攻略での報酬が期待できるからだ。
ただ冒険者であるアランたちは冒険者ギルドからのダンジョンの情報提供という依頼を受けているので、ギルドからの収入とダンジョンでの成果を合わせればかなりの報酬が見込めるのだが。
だがダンジョン攻略は割のいい仕事ではない。これが二つ目の理由。ダンジョン攻略は危険が大きすぎて常人にはまず不可能だという点だ。
ダンジョンには様々な財宝や珍しい魔道具などが存在しているが、それに見合う程の高レベルなモンスターが住まわっているのだ。
モンスターの障害を撥ねのけダンジョンを攻略するのは、かなり高レベルのパーティーでないと不可能だと考えられている。まずソロでダンジョンを攻略しようなんて考える者はいない。
それこそ一人でダンジョンを攻略しようとするなら、エルフや魔人の中でも最強の部類に入る者ではないと話にならないのだ。
それ程までにダンジョン攻略は危険を孕む仕事なのだ。
そんな危険な仕事をアランのパーティーが受けることを冒険者ギルドが認めたというのは、それ程までに実力を認められているということでもあるのだ。
そしてアランはこのダンジョン攻略に、収入以上のある目的を持っており、それを己の胸の内に秘めていた。
「今のところ低級モンスターしかいないようですね」
ダンジョンの道を進んで半刻ほどしたころ、エリンは周りを見渡しながらそう呟いた。このダンジョンは全五階層まであり、現在アランたちがいるのは一階層で二階層一歩手前といったところだ。
階層の数字が増えていくごとにモンスターのレベルも上がり攻略が困難になっていくダンジョンにおいて、現段階の攻略難度は易しい方だった。
事実現れるモンスターはスライムやゴブリンぐらいで、片手間に排除できるレベルだったのだ。
「あぁ。だがダンジョンでは様々なことが起こりうる。決して…………」
確かに一階層には低級のモンスターしか現れない。だが他の階層のモンスターが一階層まで足を運ばないとも限らない。その旨をアランがメンバーに伝えようとしたその時。
「油断しない方が得策だよね!」
「「……………………」」
アランの発言に重ねるように話したのは、何処からともなく現れた命だった。アランたちは驚きと、命に対して問いたださないといけない様々な事項が山積みになってしまったことで、思わずその口を噤み沈黙状態を作り出してしまった。
それに加え、命の何の含みもない満面の笑みを目の当たりにしたことで、何をどう切り出せばいいのかも分からなくなってしまったのだ。
「ん?みんなどうしたの?」
「…………あ、えっと……ミコトくん、いつからいたんだい?」
命のキョトンとした表情で漸く言葉を絞り出したアランはまずその質問をした。命の周りには誰もおらず、このダンジョンにたった一人で入ったことは明白で、それはアランからすれば自殺行為の何物でもない為、アランのその声は咎めるようなトーンだった。
「ん?いつからって最初から。お兄さんたちについてきただけだよ」
「「え!」」
命の言葉にアランたちは思わず声を上げた。最初からアランたちについていたのなら、然程の危険はなかったことは明らかな為、アランが命を咎める理由は無くなったのだ。
「最初からって……全く気配に気づかなかったぞ」
アランたちが驚いたのは、誰一人命の存在に今の今まで全く気付かなかったからだ。Sランクのパーティーメンバーである五人が長い間、命の存在に全く気付くことが無かったというのは、異常としか呼べない現象なのだ。
もちろん命が完全に気配を消していたからなのだが、命がどんな存在かなんて知らないアランたちにとっては困惑する他なかったのである。
命が気配を消していたのは、ダンジョンをある程度進んだときにその姿を現せば、命が一人で帰る方が危険であると勝手にアランたちが心配してくれ、一緒にダンジョンを進めると思ったからだ。
「えへへ……僕勝手についていくから気にしないで。このダンジョンのお宝には興味ないから、君たちの収入を横取りしたりしないし」
「じゃあどうしてついてきたんだい?」
「友達を見かけたら一緒にいたいって思うのは普通でしょ?」
ダンジョン攻略についてくる理由など、報酬しかないと思っていたアランたち一行は一様に首を傾げた。だが命が語った理由を聞くと何も言えなくなってしまった。
確かに普通の道端で友人とばったり会えば、声をかけその後の道を共にするなんてよくあることだ。その場所がダンジョンなどで無ければ。だが命の実力がそこそこ以上なのはエリンの話でアランたちも理解している。ダンジョン攻略についていくというのも無謀な行為ではない。
それに加え、アランたちはエリンを救ってもらったお礼として、命の友人になって欲しいという望みを受け入れた立場だ。ついてきた理由に〝友人〟を出されると反論しずらかったのだ。
もちろんこの全てが命の思うつぼなのだが、アランたちにそれを知る術など無かった。
「はぁ……分かった。今から一人で帰すのも心配だし、俺たちについてくるといいよ。ただし、危険なことはしないように!」
(よし、おちた)
「うん!ありがとう、お兄さん」
命の有無を言わさぬその笑顔に完敗してしまったアランは、渋々命のダンジョン攻略同行を許した。心の中で命が随分と失礼なことを考えているなんて、アランたちには全く悟らせないその笑顔は、神々が見ていれば少し不気味と感じるものだっただろう。
ダンジョン攻略は命が手を出す間もなくどんどん進んでいった。そこは流石のSランクである。一人一人の実力はもちろん、このパーティーは連携もよくとれていて、お互いの長所を伸ばし短所をカバーし合えるようなパーティーだと命は感じた。
主な攻撃を担うのはもちろんアラン。その類稀なる魔法と、鍛錬してきた身のこなしや剣の腕も悪くない。アランは自分の優れた魔法に驕ることなく、他の攻撃手段も磨いていたのだ。
アランと共に敵に攻撃魔法を繰り出すのはエリンだ。彼女はアランのように魔法以外では特別目立った点は無いが、アランにはできないような変わった魔法攻撃も使える魔法のエキスパートだ。
モニアスは遠くからの遠隔魔法を得意としていて、防御力にも定評がある。彼女の作り上げる防御結界を破るのは至難の業なのだ。
最年少のサミュカは一度のダメージが大きい極大魔法を得意とする魔法使いだ。ただ魔法を発動するまでかなり時間がかかり、魔法を放った後はしばらく魔法を使えなくなってしまう為、アランたちが敵にダメージを与えた後の止めとして機能することが多い。
最年長のシリオスは治癒魔法を得意としている。戦闘中仲間の傷を癒したり、魔力を少しだが回復させることもできるためパーティーには無くてはならない存在だった。
そんなメンバーをそろえたアランのパーティーは危なげもなく五階層まで到達した。だがここからが問題なのだ。
ダンジョンはそれまでの階層と最終階層との差が歴然で、しかもこれまで戦闘してきた疲労が一番溜まっている時でもある。
もちろん攻略した四階層でしばらく休んでから五階層へと向かうのだが、いつ何が起こるか分からないこのダンジョンにおいて完全に気を休めるのは不可能なのだ。
五階層は今までのようにはいかない為、アランたちの警戒も強まった。
「もう五階層なんてやっぱりお兄さんたちは強いんだね!」
だがここに空気の読めない創造主が一人ほどいた。
ここまで命は本当に何もしておらず、ただアランたちの後をついているだけだった。もちろん自分に降りかかった火の粉は自分で払っているので、そこはアランたちも感心しているのだが。
「まぁ一応Sランクを名乗っているからね」
「あ!来ました!」
アランが苦笑いすると、敵の襲来に気づいたエリンが声を上げた。その合図で五人は一斉に警戒態勢を取り、攻撃を始めた。
アラン、エリンが前衛。モニアス、サミュカ、シリオスが後衛といった感じで戦闘は始まった。敵はミノタウロスで体長は約二〇メートルにも及んだ。
ミノタウロスは四階層にもいたが、その時とは比べ物にならないほどの大きさとオーラを持っていた。
アラン、エリン、モニアスが攻撃を続ける中、シリオスはいつでも極大魔法を放てるように準備をしている。
するとシリオスの魔法攻撃が脅威になることを知ってか知らずか、ミノタウロスはその手に持った大きな斧を勢いよくシリオス目がけて投げつけた。
シリオスやアランたちがそれに気づいた時、今まで自分の身しか守っていなかった命が、目にも止まらぬ速さで向かってくるその斧を正確に狙い、思いきり回し蹴りすることで誰もいない地面へと斧は落ちていった。
「……大丈夫?」
「あ……ありがとう。ミコトくん」
シリオスが怪我をしていないか確認した命を、シリオスは茫然としながら見つめた。ダンジョンの最終階層に住まうミノタウロスの攻撃を魔法を使わず、素足で防いでしまったのだから当然だが。
命はあの攻撃からアランたちがシリオスを守ろうとするのでは間に合わないと判断し、漸く戦闘に少しだけ参加したのだ。
シリオスは命に守ってもらったことで再び極大魔法の準備に取り掛かった。それを確認して安心したアランたちも再びミノタウロスとの戦闘に集中した。
結局最後はシリオスの極大魔法が見事に効き、ミノタウロスは倒されたのだった。
ダンジョンの五階層攻略はなかなか骨が折れたが、アランたちの連携やたまに入る命の援護によって、このダンジョンのボスを倒すことが出来た。
ボスを倒した先には様々な財宝や珍しい魔道具があり、パーティーのメンバーはそれらをアイテムボックスに入れる作業に入った。
アイテムボックスは魔道具の一種で、その外見の何倍ものアイテムを収納することのできる冒険者の必需品である。
アイテムボックスは値段や所有者の魔力の量によって容量が変わる。その為Sランク冒険者で収入を多く得ていて、魔力を大量に保持しているアランのアイテムボックスはまだ限界というものを知らない。
そんなアランは財宝をアイテムボックスに収納しながら何かを探しているようで、その必死さにパーティーメンバーが首を傾げる中、その理由を知っているのは命ただ一人だった。
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