流行りの異世界転生とやらに巻き込まれたら何故かぼっちのご令嬢にやたら気に入られましたなにこれ

緋宮閑流

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第1章 飛ばされたんだけどなにこれ

#1.ナカズトバズ

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私は底辺物書きである。名声はまだない。

というか、名声どころかたいして読まれもしない短編小説をつらつらとしたため細々と創作コミュニティに投稿する、しがない同人作家だ。本業は別に有るが創作業や出版業とは全くもって関連性が無い。
反応0は当たり前、まぁ稀にブックマークとかされちゃえば小躍りするけどそのあとが続かないからハイとノッドを駆け上がったり落っこちたり。

あー、どっかの石油王が『アナタノショウセツハサイコウデース!』とか言って宣伝してくれないもんかな。そうすればきっと出版なんかされて貯金も増えて承認欲求も満たされてウハウハなんだけど……って、古いな、ウハウハ。

今日も美しく一桁代に揃った閲覧数に嘆息しながらマイページを閉じる。初めのうちこそ欲望に任せて評価構わず書き殴っていたものの、伸びない数字に続きを書くのも億劫になってしまっていた。だってそうだろ。小説は読まれる為に生まれてくるんだから。

人気作品を検索しても並ぶのは二次創作か流行りのジャンルばかり。登場人物が違うだけの、判で押したような同じ話がずらりと並んでいて自分好みの作品も見つからない。流行りに乗れない私には読む楽しみも無いのか。

マグカップに直接ティーバッグで淹れた、味も素っ気も無い紅茶をすする。すっかり冷めきっているし、ティーバッグを入れっぱなしだったせいでどす黒く、苦い。
そろそろ引退かなぁ。
何か活動していたわけでもないのに引退もなにもないけど、このままズルズルと界隈に居続けることに虚しさを感じた。


寝よ。


不味くなった紅茶をティーバッグごとシンクに流す。水浸しのティーバッグはべちんと音を立ててシンクの底に張り付いた。
飲み頃を過ぎた紅茶はこうやって棄てられるべきなのだ。出涸らしのティーバッグが未練がましくシンクの緩い傾斜にしがみ付いているのは見苦しい。
カップはすすいだけれどティーバッグはそのままシンクに放置した。三角コーナーに突っ込まないのは最後の情けだ。知らんけど。

潜り込んだベッドは紅茶と同じように冷え切っていて冷たかった。布団に体温が移って暖かくなるまでにはそこそこ時間がかかりそうだ。
充電ケーブルを刺したスマホを起動させる。
SNSを立ち上げればトレンドワードに行方不明の象とかいうものが上がっていた。あんな馬鹿でかいモノでも神隠しにあうんだな。クワバラクワバラ。

うん、今日も作品への反応無し。
世知辛いねぇ、世の中ってやつぁ。


──ふと、魔が差した。


書いてみようか。流行りの異世界転生とやらを。
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