流行りの異世界転生とやらに巻き込まれたら何故かぼっちのご令嬢にやたら気に入られましたなにこれ

緋宮閑流

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第1章 飛ばされたんだけどなにこれ

#2.ミギダメヒダリダメ

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いつのまにか寝落ちしていたらしい。
眠る前とは違ってよく温まったふかふかのお布団がやたらに気持ちいい……ってふっかふかだな、おい。

なんだ、まだ睡眠中か。夢かコレ。

それならばそれでもいい。現実でもこんなオステキオフトゥンで眠りたいものよのぉ。
さらっさらの枕カバーに頬擦りする。そういえば休日もゴロゴロしてばかりで布団も干せていない。
それどころか布団を運ぶのが重いからと奮発して布団乾燥機なるものを買ったこともあるのだが、埃を被った箱の中だ。つまり買っただけで満足して梱包も解かず部屋の隅に奉られている。

アレを使っていたらこの半分くらいはふかふかの布団で眠れたのだろうか……まぁ、捨ててしまったわけではないから次の休みにでも使ってみよう。
そんなことより今は目が覚めないうちにこの布団を満喫……もとい二度寝をだな……

ぱちり、と意識が覚醒する。
いや待て、ちょっと待て。夢にしてはなんだかちょっと生々しすぎませんかね?
手に触れた枕を撫でてみる。握ってみる。
生まれたときから多分触れたことも無いのにひと撫でで良いものと判る高級シルクのしっとりさらさらな肌触り。
先ほどまでは全くもって気にも留めていなかったけれど、アロマオイルのような良い香りも漂っている。

なにこれやばい。
なにこれやばい。

睡眠をとるには最高の環境であるにもかかわらず、こめかみに冷や汗が噴き出し眉間が冷えた。
なにこれやばい。
横向きだった身体をそーっと仰向けにひっくり返せば、目に入ったのはたっぷりの布で美しいドレープを描いた一面の布だった。


──知ってるぞ。コレ天蓋っていうんだ。俺は詳しいんだ。
もそもそと起き出してやたら広いベッドを這い、垂れ下がった布を引っ張る。
落ちては、こない。
ベッドの宮を、四隅の柱を触ってみたが間違い無く木の感触で、発泡スチロールだのプラスチックだのの手触りではない。ちょっと叩いてみたけれど、中身の詰まった硬質で響かない音がした。
大道具や舞台セットでもない。

いや、寝起きドッキリとか仕掛けてくるような知り合いも居ないが。そもそも女独り暮らしだし、そうそう合鍵をバラ撒いているわけもなく……
うん、心当たりが全く無い。
どうしよう。閉じられているこの天蓋、開けるのが怖いんですけど。
生地は光を完全に遮断するほど厚くはないものの、外を詳しくうかがい知れるほど薄くもない。

仕方ない……

そろそろと伸ばした指先、勢いよく布地が翻ったのはその矢先だった。

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