流行りの異世界転生とやらに巻き込まれたら何故かぼっちのご令嬢にやたら気に入られましたなにこれ

緋宮閑流

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第1章 飛ばされたんだけどなにこれ

#3.アレヨアレヨ

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「まだ寝ているのかしら?!早く起きなさ……あら、起きていたの?」
「ど……どうも」

なにこれ。

目の前にいるのは多分間違いなく10代の女の子だ。けれど自分の知っているタイプの女子ではない。
ハーフアップにしているらしい頭の後ろから先が覗くほどのでっかいリボン、フリルとレースと金縁取りのやたら少女シュミなパステルブルーのワンピ……いや違うな、ドレスかソレ。

そしてその肩から溢れる金髪は……
「……縦ロール」
「巻き髪がどうか?」
「あっ、ううん、珍しいなと思って」
学生時代には先だけ巻いた子とかふんわりロールの子とか存在したと思うのだけど、これだけがっつりガチガチの縦ロールは初めて見た。
「巻き髪は淑女の嗜みよ?」
肩から払った巻き髪がポヨンと弾む。おぉ、かなりしっかり巻かれているんだな?

まぁ、それはともかくとして、だ。

「ところで、ちょっと状況が飲み込めないんだけど。ここはどこであなたは誰で私がなんでここに居るのか知りたい」
「ここはわたくしの私邸でわたくしはロザリィ・ロゼリアーナ、あなたがここに居るのはわたくしが召喚したからだわ」

即答かよ……って召喚しただぁ?
絶句して視線を向ければ、いかにも薔薇薔薇しい名前のお嬢様(予想)はどうだとばかりに胸を逸らし腰に手を当てて微笑んでいる。

「まぁいいけど、なんで私なの。言っとくけどオタクなだけでむっちゃ一般人だからたいしたことできないよ?」
「オタクというものが何かわからないけれど……何かできなきゃいけないのかしら?」

は?

「いやだって必要が無きゃ召喚とかしないでしょうよ。困りごとがあるとか世界を救えとか」
ジト目で問えばころころと笑い声が返る。
「そんな大仰な」

いや、じゃあむしろなんで呼んだ。

「何故って……面白そうだったから、かしら」
「はい?」
「書庫で古い研究書を見つけたの。精霊を呼ぶつもりだったのに先日はなにやら大きな幻獣を呼んでしまったから、再挑戦ね」
「幻獣」
「ええ。お庭のあずまやよりも大きくて…耳がひらひらして鼻が長くて」
待て、それはもしかして。
「あ、でも見た目は恐ろしげなのだけれどとても愛らしいのよ?」
……そうか、象の神隠しは君が原因ってこったな?
「……って、いやそれフツーに迷惑だから」
「迷惑?」
キョトンとした顔。
あ、なんか多分だけど、マトモに話通じないやつだこれ。そんな気がする。

「ところで」
ベッドマットが沈む。いやそんな乗り出さなくても……って、睫毛長いなー。
「……わたくしは貴女をなんて呼べば良いのかしら?」
「あ」

大きなブルーアイズに問いかけられて初めて、自分が自己紹介していないことに気付いたのだった。



──私はカナタ。
        しがない会社員で同人作家だ。
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