同化進化型のナノボット「クリア」

クライン・トレイン

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オリヒメ編

37話 ルル国

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~ルル国~

転送された場所から見える景色は
ルル国を上空から見下ろせる場所

ルル国は崩壊を始めていた

エクスラ
「何があったんだ!?」

ドッペリアン
「ケルベリアンを放してやったんだ」

ルル国からは猛獣の雄叫びが聞こえる

エクスラ
「何してんだ!」

ドッペリアン
「だってその方が面白いでしょ」

エクスラ
「いいから解放しろ」

ドッペリアン
「でもあの国はその方が良さそうだ」

エクスラ
「どういう事だ?」

ドッペリアン
「つまりこういう事」

そしてドッペリアンの一人語りが始まる




~これまでのルル国の経緯~

赤ん坊エクスラによって破壊された国々は生き残っていた
有識者達が頑張ったおかげでこのルル国が建城されたのだ


「うーい、皆の者素晴らしい朝日を迎えて三千里 楽しんどるかいのー?」

そう、王は狂っていた
王が狂う前の事だ




残った有識者達は国民から絶大な支持を持っていた

有識者
「我々は国を失った!しかし我々は挫けるよりも前にするべきことがある!
それがルル国という新しい国の誕生だ!」

有識者達は絶大な支持を利用して国を建てる事にした
それしか残された道はないからだ

有識者
「赤ん坊エクスラのような脅威者指定から二度と壊されない為の国の建城だ
それが出来れば、二度と崩落する事は無いだろう」

だがそれには研究が必要だった
研究所で必要される試験体


国民
「俺達も協力するから、一緒に国を建造しよう」

国民はそれを受け入れた 試験体となる事を
試験体となる事を、受け入れたはずだった



国民
「おい、こんな大がかりに縛ってどうするんだ?」

試験体となる事にした国民が付いたのは
大きな部屋で、そこに束になって収納された

国民
「なんだこれは、命が!身体が!」

支持者は全員、身体を売り払い命を売り払った
いや、売り払う事を強制されたと言っていいだろう



そして研究所で大掛かりな改造が施された
支持者の身体と命を材料にクリアとの融合
支持者の売り払った金によって
有識者達の身体とクリアとの同化進化

有識者
「素晴らしい国民だった」
「この犠牲は一つの瓦礫も許してはならんぞ」
「あぁ分かっているとも」

そして完全無敵となった有識者達が王国を築く
その王国を大型機動兵器の雲を作った
大型機動兵器の物理的存在の雲に乗りながら王国は今日も稼働している



有識者
「雲形兵器は試験体として立候補した国民達」
「その上で私達は成り立ってるのだけど…王様となった私達のリーダーはもうすっかり変わりましたね…」

有識者は近衛兵代わりを務めていた
近衛兵など王に近い場所にいるのは有識者など兵器者として建造前からいた人物達だ

だから王が狂った状態であっても受け入れていた



有識者
「リーダーだった有識者である王様は一番国を築くのに懸命だった
自分の脳をいじくり、建造思考型兵器となったからな」

王は有識者のリーダー的人物
【建造思考型兵器】
≪建造するもののイメージ化のモデリングを
伝わった情報を元に思考の中で偶像して思い描いてマッピングする能力≫


有識者
「そのマッピング能力を酷使した結果
今の狂った状態がある もう兵器者としては使えない」

有識者は王の暗殺を目論んでいた
マッピング能力がもう使えないからだ
それに国民から王の評判が悪い


有識者
「狂った王は今まで国民を呼んでは嬲り殺してしている
いきなり殺したり酒を浴びせたり城から落としたりな」

最初はそれで良かったが、
国民から反旗を翻されない程までに浸食していたからもう我慢は出来ないでいた




兵士が有識者に走ってきていた

有識者
「どうした兵士よ」

兵士
「猛獣が!猛獣の兵器獣がいきなり現れて暴れ散らしています!」


「猛獣?はは、おもしろいのー!
ってかわしの出番じゃないか?いってくるよい!!」

王はそのままはしゃぎながら向かった 誰もそれは止めなかった



有識者
「街中に自動掃射兵器があるだろう?作動していてもか?」

街中にはあらゆる場所に自動掃射兵器が組み込まれている
これで兵器者が現れた所で一網打尽なのだ 完全な敵防衛がされている国である

兵士
「それが兵器獣には全く歯が立たなくてですねー
というか、撃たれる前に、兵器獣が砂塵を巻き起こして攻撃するので」

砂塵攻撃で、自動掃射兵器が影響で狂ってしまい作動しなくなっているという




有識者
「私達もこれまでですね」
「そうだな 俺達は融合して兵器者となり兵器獣と戦おう」

兵士に伝えた
この国は任せたと





猛獣ケルベリアンが暴れている中
王様がそこに現れる

無能だと皆に言われている王様がいつになく真剣だ



「貴様みたいな脅威がいるおかげで、
頭に残ってた自分の理性が少しばかり蘇ってきたぞ…

いやはや、情けない事をしでかし続けてきたわい
クリアを無理やり寄生させて切磋琢磨して王国を築いたはいいが
築いた後、王となったわしは今までクリアに思考ごと支配されていたわい」


王がクリアの支配から思考が逃れたのは
猛獣ケルベリアンの獰猛さに恐れをなした王様の中のクリアが要因だ



「まあ一時的なもんじゃからの
さてと、ケルベリアンに必要な檻のマッピングを始めようかのう」

有識者
「お供しましょう!」

有識者は駆けつけると王様が理性を持ち始めていたのをしりコラボする
有識者は、マッピング能力に対しての具現化能力だ

兵器能力全て、王国建造用にしている


有識者
「決して攻撃力は無いが、マッピングとマッピング具現化にだけは長けている」

物理攻撃は無いものの
ケルベリアンを防げる手立ては考えられる


「マッピングによる檻を完成!」

そのマッピングイメージを有識者へ送りつける

有識者
「マッピングの具現化生成!」

イメージ通りに具現化を融合同化した有識者達の心で生成を始める
ケルベリアンの周りがイメージが囲い、そしてそのイメージが具現化する

ケルベリアンが突進しまくる


有識者
「無駄だ ケルベリアン専用のプロテクトにしているからだ
専用のマッピングが出来る為、攻撃力も防御力も無いが、制御する事は出来る」

ケルベリアンは檻に閉じ込められたまま



国民
「王様、申し訳ございませんでした
今まで裸の王様とばかり思っていました」

王様
「いや、いいんだ それは事実だったからな
それに国民を試験体に使ったのも事実だ」

王様と有識者はケルベリアンと同じ檻に入っていた

国民
「どうして檻に入るのですか?
まだあなた達には使命が残っているはずじゃないですか!」
「私達では不可能です!一緒に建造しましょう」

有識者
「いや、もう充分だ
十分君らに任せていい頃合いだ そうだろう?赤ん坊エクスラよ」



エクスラ
「気付いていたのか」

その一部始終と王国建造の秘密をドッペリアンから聞かされていて
国民の中を隠れて潜入していた

有識者
「私達は決して君の過ちを赦す事は無い
赤ん坊だったあの頃の破壊は私達の全てを犠牲にしたのだからな」

国民も王も有識者を見ていた
しかし今のエクスラを責める事は無かった




「今の君はあのころとは別人だ
クリアに支配された状態なら誰だろうとそうなるだろう」

ドッペリアン
「それにエクスラ君は、試験体としてクリアとのシンクロ率が高い状態まで育成されていたのだからねー
そりゃ当然だよねー」

エクスラ
「エルドは許さなかった、俺はそれでいいんだ」

有識者
「エルド少佐か 彼は可哀想な奴だったし、幾らでも有効材料な人間だった
しかし彼はそれを拒んで復讐に勤しんだ」

ドッペリアン
「エルド少佐はまだ生きているよー
血染めの館に運んでおいたからねー
エクスラは次に行くのは血染めの館だろうけど、僕は別に止めないよー
それはそれで面白いからねー」


「おぬしは相変わらずじゃなドッペリアンよ」

ドッペリアン
「うん おっちゃんも元気?元気じゃないよね
だってもう思考兵器のクリアに支配されかかってるし、有識者も」



エクスラ
「だから檻の中って訳か」

エクスラはドッペリアンに聞かされた話を聞かせる

エクスラ
「王国を築いた後で条約されたのは王の生命が絶対というルール
思考型兵器の酷使によって脳に損傷が出た王は略奪殺戮を繰り返したという

有識者の王の側近達は、王の今までの功績を知っているので仕方ないと考えている

王は毎日発狂兵器となった頭のおかしい考えを有している
王の脳裏で感じていた思いや後悔が思考回路として稼働した状態


王は完全に理性を失っている
王は自分を罵倒しているのを褒めているとポジ思考で捉えている」





「はは、全部ほんとうじゃよ 全く愚かな日々だった事よ
おぬしらもよく我慢したな」

有識者
「それ程、あなたというリーダーがいなければここまでやれなかったのです」

国民
「確かにあなたに試験体となった人達を奪われました
だけど、国民皆、国を愛する気持ちは同じですから」



王と有識者は最後に笑った

王・有識者
「この国を建造して良かった――」

そして猛獣ケルベリアンに食い殺されたのだった

エクスラ
「この野郎!」

檻の中で食いついた猛獣ケルベリアンは涙を出していた

エクスラ
(心の中では抵抗しているんだろう)

檻を殴るだけで済ませるエクスラ
しかし、雲形兵器で囲んだルル国は音を鳴らし続ける

エクスラ
「おい、ケルベリアン お前いい加減にしろよ
って、お前では無いのか じゃあなんだこの揺れは」

エクスラは聴覚特化で辺りを聞き出す
雲の方角だ そちらへ向かうと蜘蛛型兵器が雲に巣を張り巡らしていた
そしてそれによって急降下させられていたのだ

エクスラ
「させてたまるか!
蜘蛛型兵器はラブゼリカの仇みたいなもんだ」

蜘蛛型兵器に対して攻撃を図る
糸を断ち切る
するとパラシュートするように飛び上がってルル国へと侵入した




エクスラが向かうと
猛獣ケルベリアンの檻を糸で巻いてから被り付いていた
すると檻は顎の筋肉だけで破壊されてしまう

エクスラ
「糸に錆能力が付いているのか」

錆能力の加えられた糸
そしてケルベリアンへと糸を突き付ける
ケルベリアンは砂塵で覆うが、抵抗虚しく糸に全て遮られて
そのまま糸でぐるぐる巻き状態


そして蜘蛛型兵器は移動を始める
急いで走るのをエクスラは追っていった



ドッペリアンに話を聞いていた

蜘蛛型兵器は異世界から仕入れた生物をクリアと同化進化させたのだ
餌を糧に生きている

食えば食うほど、成長していく 単純な弱肉強食型の兵器だ


蜘蛛の糸をそのまま悪魔武装によって追い続ける
糸を発射されまくっても避けまくる

エクスラ
「この糸には生命を込めているんだろ?
食っていったエネルギーを内部で貯め込んで成長していく貯め込み型の兵器
この生命は誰のだ?ラブゼリカの支援者か?誰だろうと許せねぇよ 玩具みたいに扱いやがるのはな!」

糸に生命を持ち込んで、その代償として精神攻撃と糸攻撃を繰り出せる
蜘蛛型兵器は走る最中、エクスラに攻撃を続ける



エクスラ
「この先にあいつがいるからこそ、俺は追うんだ」

蜘蛛の巣へと辿り着くと
そこには

エクスラ
「よう、オリヒメ 久しぶりだな 感覚なんて無いが」

殺戮女王のオリヒメがそこに待ち構えていた

オリヒメ
「久方振りの対面だ」

エクスラは一瞬で血を噴き出す
オリヒメは既に攻撃を開始していたのだ
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