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英雄は二度死ぬ
ブユネケン邸
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翌日の正午ごろ、イリーナ、クララの二人は、再びブユネケンの屋敷にやって来た。
ナターシャは洗濯をするということで宿屋にとどまることになった。
二人は歩いて屋敷に到着すると、屋敷の執事が出て来て対応をしてくれた。
二人は応接室に通される。ブユネケンは応接室のソファに座って待っていた。彼の貫禄のある口ひげは今日も健在だった。
応接室の隅に積みあがった箱が四つばかりあるのが見えた。
「やあ、来たね」
ブユネケンは三人を見て軽く挨拶をした。
「こんにちは」。
「倉庫に会ったものを出しておいたよ。この箱の中に、母の遺品が入っている。好きに見てもらってもいい」。
「ありがとうございます」。
早速、箱を開けようとすると、執事が飲み物を持ってきてくれた。
三人は飲み物を飲んで、少し話をする。
「ブユネケンさんは、帝国の復活をお考えなのですか?」
クララが気になっていたことを質問した。
「いや。そんなことは考えていないよ。昨夜のパーティーに参加者は私を支持してくれている者もいるが、もはや国民の支持を得ることは無理だろう。それに、そんなことができないように、私には政府の監視が付いているんだよ。それに、私は余生をゆっくり過ごしたいと思っているし、母が若くして皇帝に即位して苦労したのを聞いていたからね。国を支配するなんて大任はやりたくないよ」。
ブユネケンはそう言って笑った。
「ご家族はいらっしゃらないのですね」。
イリーナはブユネケンと執事以外に人の気配が無いのを感じて質問した。
「母とここに移住すると決めた時、私の妻と子供たちはプネルタバ王国の貴族なので、国を離れたくないと。だから、彼女たちはプネルタバ王国にいるよ」。
他にも少し会話をした後、ブユネケンは何か用事があるとのことで、何かあれば執事に言うように伝えて、自室の方へ向かった。
イリーナとクララは飲み物を飲み干して一息ついたので、箱の中身を調べるのにとりかかった。
多くが日記だった。三十年分近くの物があって、膨大な量だが、知りたいのは革命の起こった時期の事だ。一番古いものから探せば目的の物はすぐに見つかるだろうと思っていた。
二人は日記を読みふける。時間が限られているので、あまり細かくは読めない、斜め読みだ。
途中、執事が食事を持って来てくれたので、それを食べるため中断したしりした。
しかし、結局、数時間かけてすべてに目を通したが、日記については帝国から脱出した後のテレ・ダ・ズール公国やプネルタバ王国での生活の事ばかりで、ユルゲン・クリーガーについての記述は見当たらなかった
「全然、無いわね」。
「ひやー、疲れた」。
クララが大きく伸びをした。
ほどなくして、ブユネケンがやって来た。
「どうだった?」
「日記はすべて見ました。でも、何も見つかりませんでした」。
「そうか」。
「あとは、出版社とのメモです」。
「では、日記は倉庫に戻してしまうよ」。
ブユネケンはそういうと、執事に命じて日記の入った箱を仕舞うように伝えた。
イリーナとクララはしばらく休んでから、出版社とのメモを読むことに取り掛かった。
皇帝が子供の頃の事から、皇帝として即位し、プネルタバ王国に亡命した後の晩年まで、書かれていた。
「あっ! これ!」
イリーナが声を上げた。
出版社のためのメモでユルゲンの記述があるのが分かった。
クララはイリーナの声に驚いて、慌てて近づいた。
そのメモをゆっくり読んだ。
ユルゲン・クリーガーがモルデンで一人降伏した後、彼は首都アリーグラードに連行、投獄。
そして、皇帝イリア、イワノフ、ルツコイ、ムラブイェフ、アクーニナ達で交わされた会話が載っていた。
二人は、まず、最初のメモを見た。
ナターシャは洗濯をするということで宿屋にとどまることになった。
二人は歩いて屋敷に到着すると、屋敷の執事が出て来て対応をしてくれた。
二人は応接室に通される。ブユネケンは応接室のソファに座って待っていた。彼の貫禄のある口ひげは今日も健在だった。
応接室の隅に積みあがった箱が四つばかりあるのが見えた。
「やあ、来たね」
ブユネケンは三人を見て軽く挨拶をした。
「こんにちは」。
「倉庫に会ったものを出しておいたよ。この箱の中に、母の遺品が入っている。好きに見てもらってもいい」。
「ありがとうございます」。
早速、箱を開けようとすると、執事が飲み物を持ってきてくれた。
三人は飲み物を飲んで、少し話をする。
「ブユネケンさんは、帝国の復活をお考えなのですか?」
クララが気になっていたことを質問した。
「いや。そんなことは考えていないよ。昨夜のパーティーに参加者は私を支持してくれている者もいるが、もはや国民の支持を得ることは無理だろう。それに、そんなことができないように、私には政府の監視が付いているんだよ。それに、私は余生をゆっくり過ごしたいと思っているし、母が若くして皇帝に即位して苦労したのを聞いていたからね。国を支配するなんて大任はやりたくないよ」。
ブユネケンはそう言って笑った。
「ご家族はいらっしゃらないのですね」。
イリーナはブユネケンと執事以外に人の気配が無いのを感じて質問した。
「母とここに移住すると決めた時、私の妻と子供たちはプネルタバ王国の貴族なので、国を離れたくないと。だから、彼女たちはプネルタバ王国にいるよ」。
他にも少し会話をした後、ブユネケンは何か用事があるとのことで、何かあれば執事に言うように伝えて、自室の方へ向かった。
イリーナとクララは飲み物を飲み干して一息ついたので、箱の中身を調べるのにとりかかった。
多くが日記だった。三十年分近くの物があって、膨大な量だが、知りたいのは革命の起こった時期の事だ。一番古いものから探せば目的の物はすぐに見つかるだろうと思っていた。
二人は日記を読みふける。時間が限られているので、あまり細かくは読めない、斜め読みだ。
途中、執事が食事を持って来てくれたので、それを食べるため中断したしりした。
しかし、結局、数時間かけてすべてに目を通したが、日記については帝国から脱出した後のテレ・ダ・ズール公国やプネルタバ王国での生活の事ばかりで、ユルゲン・クリーガーについての記述は見当たらなかった
「全然、無いわね」。
「ひやー、疲れた」。
クララが大きく伸びをした。
ほどなくして、ブユネケンがやって来た。
「どうだった?」
「日記はすべて見ました。でも、何も見つかりませんでした」。
「そうか」。
「あとは、出版社とのメモです」。
「では、日記は倉庫に戻してしまうよ」。
ブユネケンはそういうと、執事に命じて日記の入った箱を仕舞うように伝えた。
イリーナとクララはしばらく休んでから、出版社とのメモを読むことに取り掛かった。
皇帝が子供の頃の事から、皇帝として即位し、プネルタバ王国に亡命した後の晩年まで、書かれていた。
「あっ! これ!」
イリーナが声を上げた。
出版社のためのメモでユルゲンの記述があるのが分かった。
クララはイリーナの声に驚いて、慌てて近づいた。
そのメモをゆっくり読んだ。
ユルゲン・クリーガーがモルデンで一人降伏した後、彼は首都アリーグラードに連行、投獄。
そして、皇帝イリア、イワノフ、ルツコイ、ムラブイェフ、アクーニナ達で交わされた会話が載っていた。
二人は、まず、最初のメモを見た。
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